
アル・ゴアの映画『不都合な真実』が、ドキュメンタリー部門でアカデミー賞を受賞した。彼は、今年のノーベル平和賞の有力候補と目されている。Economist誌は、いま彼が出馬すれば、民主党の候補になれると予想している。タイムマシンで過去に戻れるとすれば、アメリカ国民は2000年を選ぶだろう。その後の調査によれば、あのときフロリダ州のパームビーチ郡の無効票が計算しなおされていれば、ゴアが選挙に勝っていた。
彼が大統領になっていれば、アフガニスタンに対する戦争は行ったが、イラク戦争は行わなかっただろう(彼は開戦に反対した)。京都議定書は批准され、発効しただろう。マイクロソフトは司法省との訴訟に敗れて分割され、地域電話会社も再分割されただろう。ゴアの「大きな政府」路線を批判したブッシュが、戦争と金持ち減税によって史上最悪の財政赤字を作り出してしまったのは皮肉である。
NBCの「サタデーナイト・ライブ」は昨年、アル・ゴアの大統領演説を放送した。「京都議定書が批准され、地球温暖化は止まったが、氷河が増えて困っている。」「最高裁判事に指名したマイケル・ムーア氏の議会承認は困難だった。」「野球はステロイド問題で混乱しているが、コミッショナーのジョージ・W・ブッシュ氏は、電話を盗聴してステロイド使用者を見つけ出すといっている。」選挙演説も、これぐらいウィットがあればよかったのにね。