総務省の委託でインテックネットコアなどが調べたIPv6の普及度調査の結果が、ウェブサイトに出ている。それによれば、図のように、v6のトラフィックは2002年の2.5%をピークとして減少し、今年は0.1%にも満たない。
RFC2460(v6の基本仕様)が出てから8年たってもこういう状況では、もう「次世代のアドレス体系」ではありえない。WIDEでも最近は「v4をv6に置き換える」という表現をやめて「v6を普及させる」としているようだ。v6はローカル・アドレスと割り切れば、それなりの用途はある。v4サイトから見えないぶん、安全だというメリットもある。
Windows Vistaには、出荷時からv6のアドレスがつく予定だが、これは混乱のもとになる。NTTやIIJなどの一部のv6専用サービス(閉じたネットワーク)で、すでにv6のアドレスをもっているユーザーは、1つのホストに2つのグローバル・アドレスをもつことになるからだ。ローカルのサーバにアクセスしたらVistaのアドレスで同定されてはじかれる、といったトラブルが起こるおそれが強い。これはマイクロソフトがVistaの仕様で複数のv6アドレスの優先順位を決めるなどの対応をするしかないが、マイクロソフトはその気はないという。
こういう混乱が起こるのは、しょせんローカル・アドレスでしかないv6をWIDEが「次世代」のアドレスとして宣伝したり、それを真に受けた政府が「国策」としてv6を推進したりした結果だ。v4のアドレスが「涸渇」することはありえない、という事実は、山田肇氏と私が4年前の論文で指摘したことだ。この論文は1年で3万回もダウンロードされ、IETFのシンポジウムでもテーマになったが、事実関係は村井純氏も認めた。
ところが霞ヶ関では、まだこの程度の基本的な認識もない。あるとき某省の審議官にv6についてのレクチャーを求められ、「v6はv4と完全互換ではない。v4のサイトからv6のアドレスは見えない」と説明したら、審議官が「それは本当か」と驚いていた。こんな初歩的なことも知らないでv6に100億円以上の補助金をつける無謀さには、こっちが驚いた。v6をめぐる混乱は、要素技術に政府が介入するとろくなことにならないという好例である。
RFC2460(v6の基本仕様)が出てから8年たってもこういう状況では、もう「次世代のアドレス体系」ではありえない。WIDEでも最近は「v4をv6に置き換える」という表現をやめて「v6を普及させる」としているようだ。v6はローカル・アドレスと割り切れば、それなりの用途はある。v4サイトから見えないぶん、安全だというメリットもある。
Windows Vistaには、出荷時からv6のアドレスがつく予定だが、これは混乱のもとになる。NTTやIIJなどの一部のv6専用サービス(閉じたネットワーク)で、すでにv6のアドレスをもっているユーザーは、1つのホストに2つのグローバル・アドレスをもつことになるからだ。ローカルのサーバにアクセスしたらVistaのアドレスで同定されてはじかれる、といったトラブルが起こるおそれが強い。これはマイクロソフトがVistaの仕様で複数のv6アドレスの優先順位を決めるなどの対応をするしかないが、マイクロソフトはその気はないという。
こういう混乱が起こるのは、しょせんローカル・アドレスでしかないv6をWIDEが「次世代」のアドレスとして宣伝したり、それを真に受けた政府が「国策」としてv6を推進したりした結果だ。v4のアドレスが「涸渇」することはありえない、という事実は、山田肇氏と私が4年前の論文で指摘したことだ。この論文は1年で3万回もダウンロードされ、IETFのシンポジウムでもテーマになったが、事実関係は村井純氏も認めた。
ところが霞ヶ関では、まだこの程度の基本的な認識もない。あるとき某省の審議官にv6についてのレクチャーを求められ、「v6はv4と完全互換ではない。v4のサイトからv6のアドレスは見えない」と説明したら、審議官が「それは本当か」と驚いていた。こんな初歩的なことも知らないでv6に100億円以上の補助金をつける無謀さには、こっちが驚いた。v6をめぐる混乱は、要素技術に政府が介入するとろくなことにならないという好例である。