2005年08月

地上デジタル放送についての情報通信審議会第2次中間答申に対する意見

きょう次のようなパブリック・コメントを情報通信政策フォーラムとして提出した:

意見:放送のデジタル化は、当該放送地域内に限定せず、全国にひろく伝送できるIPの特長を生かすべきである。

理由:今回の答申で「伝送路の融合」が強調され、IPマルチキャストや通信衛星の利用が提言されているのは、大きな前進である。とりわけIP伝送について、「条件不利地域」にかぎらず積極的に導入すべきとする答申の方針は、高く評価できる。その物理的なインフラは光ファイバーである必要はなく、DSLや無線LANなども活用すべきである。

問題は、IP伝送が「当該放送地域内に限定される」ことを条件としている点である。IPの特長は低コストで情報を全世界に伝達できる点にあり、これを人為的に制限することは、その特長を減殺し、視聴者の選択の幅を狭める。現在でも放送地域外で見ている視聴者は多く、県域放送の原則は厳密に守られているわけではないし、守る意味もない。

放送局は、放送地域外にIP伝送されれば地方局の既得権が脅かされると考えているのだろうが、問題は逆である。現在のデジタル化では新たな収入源はほとんどないが、県域を超えてIP伝送できるようになれば、全国127社の民放がすべて全国放送でき、放送業界に競争が導入され、新たな収入源ともなろう。これによって番組が多様化し、民放にデジタル化のインセンティブが生まれれば、普及が急速に進むかもしれない。

あと6年でアナログ放送を無条件に止めるというのは、世界にも例のない方針であり、視聴者に理解されなければ実現は不可能である。したがって第一に配慮すべきなのは、放送局の既得権ではなく、視聴者にとっていかに魅力的な放送を低コストで行うかということである。このためには、既存の方針を大胆に見直し、多様なインフラを活用することが望まれる。

私はなぜNHKを辞めたのか

「あなたはなんでNHKのようないい会社をやめたのか?」という質問は、今まで50回ぐらい受けた。たしかに公平にみてNHKは、仕事が楽で給料が高いという点では、日本で一番いい会社だったと思う。それをなぜ辞めたのかは、正確に答えると大変なので笑ってすませていたが、最近また聞かれたので、昔の原稿で答えておこう。続きを読む




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