節電ポイントより「再エネピーク課金」を

夏の電力不足の対策として、政府が苦しまぎれに打ち出した節電ポイントが迷走し、集中砲火を浴びている。「原発を再稼動したら終わりだ」という批判が多いが、問題はそう簡単ではない。原発を動かしても電力危機は終わらないのだ。



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ファクターXは「幸運」だった

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか
日本のコロナ致死率は、OECD諸国の中で最少だった。その原因として、マスクとか公衆衛生とか遺伝とか、いろんな理由があげられたが、どれも100%説明できない。ファクターXは幸運だったのだ。

日本の歴史は、宝くじに続けて当たったような幸運の連続だった。大陸から隔てられたおかげで、縄文時代には1万年も平和が続いた。戦争には弱かったが、海のおかげで遊牧民の攻撃をまぬがれ、たった2回の攻撃も悪天候などの幸運で助かった。

幕末にはアメリカの植民地になってもおかしくなかったが、たまたま南北戦争が起こって助かった。日清・日露戦争も弱体化した帝国との戦いで、勝ったのは幸運だった。それを実力と勘違いした日米戦争は大失敗だったが、戦後の占領は幸運だった。戦争のへたな日本人が、世界最強のアメリカという用心棒を雇うことができた。

なぜ日本人はこんなに幸運なのだろうか――というのは愚問である。成功のほとんどはまぐれ当たりなのだ。経済学では、株式市場の情報はすべて株価に織り込まれているので、市場に勝つことはできないと教える。ではバフェットやソロスは、魔法でも使ったのだろうか?

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明治政府はなぜ昭和に暴走したのか

軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル (朝日新書)
近代史の最大の謎は、明治維新で奇蹟的な成功を収めた日本が、なぜ昭和に暴走したのかという問題である。司馬遼太郎はこの謎が解けず、昭和を舞台にした小説はほとんど書かなかった。その後も右派は「自虐史観」を批判するだけで、この問題の答を出せない。

よくいわれるのは、学歴社会が日本をだめにしたという説である。明治政府は長州閥だったが、帝国大学や陸軍士官学校は点数主義だったので、次第に官僚機構も軍も秀才が集まるようになった。特に陸軍が反長州閥で結束した結果、組織を掌握できない学校秀才がエリートになり、軍が暴走したという。

しかしこれだけでは、昭和の戦争の国民的エネルギーを説明できない。戦争はエリートだけではできない。それは何よりも国のために死ぬという不合理な行動であり、江戸時代までは武士だけの仕事だった。農民は一生平和に暮らしたので、戦争を恐れる。

それを戦争に(精神的にも経済的にも)動員することが、近代戦の最大の課題であり、ナポレオンの最大の革新は、国民主権という物語で全国民を戦争に動員したことだった。デモクラシーとは、何よりも「国民が自衛する」という意識をつくる戦争装置だったのだ。

それに対して傭兵に頼る帝政は国民意識が弱く、デモクラシーに勝てなかった。だが大日本帝国は、民衆を戦争に動員することに成功した。それはなぜだろうか。

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EVは内燃機関を駆逐するか

ガソリンエンジンが電気自動車(EV)に置き換わるかどうかは、日本の産業の今後を左右する重要な問題である。日本電産の永守会長の発言が、大きな反響を呼んでいる。


これは技術的には正しい。ドライバーの9割は航続距離30km未満なので、1000kmも走る車のマーケットは小さい。そういう特殊な車を除外すれば、今ある技術で十分で、大量生産すればコストは下がる。これは日本電産のようなモーターの市場では明らかだ。

これに対して賛否両論が湧き上がった。今のEVは、内燃機関にはるかに劣る。燃費だけ考えても、10万km走行まではハイブリッド(HV)のほうが効率的だ。次世代の主流がHVになることはすべてのメーカーのコンセンサスだと思うが、そこから先は意見がわかれる。

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消費税の増税は法人税減税のためではない

NHKの日曜討論で、高市政調会長が切れた。


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西欧圏とユーラシア圏の「再分岐」

道徳と宗教の二つの源泉 (ちくま学芸文庫)
いま日本が直面している変化は、江戸時代から続いてきた閉じた社会が、いろんな意味で開かれた社会にならざるをえないということだろう。本書はこの二つの概念を最初に提示した本である。

ベルクソンは、閉じた社会は過去に終わった社会ではないと指摘し、それは今も人々の心に中に残り、偏狭な愛国心として戦争の原因になると考えた。しかし閉じた社会は、戦争を抑止するシステムだった。それは農業なき定住社会として1万年の平和を維持した縄文時代が示している。

それに対して中国の開かれた社会は、軍事国家だった。梅棹忠夫の図式でいうと、遊牧民から農耕文明を守るために中国(Ⅰ)、インド(Ⅱ)、ロシア(Ⅲ)、イスラム圏(Ⅳ)では専制国家が発達し、18世紀以降、西欧とユーラシアの大分岐が起こった。

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冷戦の終了をわれわれは「民主国家の勝利」と考え、中国がグローバル市場に参入して大収斂が起こると考えたが、今ウクライナで起こっているのは、その再分岐である。この二つの文明圏は、和解不可能なのだろうか。

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1ドル=150円で「人と資本のインバウンド」を

ゆうべはスイス中銀の利上げで一時的に円高になったが、きょうの金融政策決定会合で日銀は、0.25%のYCC(イールドカーブ・コントロール)の維持を決め、1ドル=134円台に戻した。これは金融政策としては異常だが、長期的には1ドル=150円ぐらいになると、ISバランスは均衡するかもしれない。



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日銀はいつまでYCCを維持できるのか

日銀は7年物から10年物まですべての国債を毎日3兆円を超える規模で買っているが、長期金利は0.25%を少し上回る水準で推移している。

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10年物国債の金利(Trading Economics)

常識的には、ソロスがイングランド銀行を売り崩した外為市場とは違い、日銀は円建ての国債を買う資金を無限にもっているので、ヘッジファンドが勝てるはずはないが、空売りをかけたブルーベイは勝てると考えている。日経のインタビューによると

米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めに積極的なタカ派的な姿勢を強めており、世界の金利には上昇圧力がかかっている。その中で日銀だけが長期金利の上限を0.25%にとどめようとしているが、このような環境下ではそれは難しい。7~9月のどこかで、長短金利操作(YCC)政策を修正するのではないか。

我々が日本国債を売り始めたのは、1ドル=130円を超えて円安が進み出したときだ。円安が進むと日本の物価は上昇し、政治的な問題になるはずだ

日銀の国債買い支えは、理論的には限界がないが、政治的には限界がある。日銀が国債を無限に買い支えると、日米の金利差が拡大して円安が加速するので、指し値オペは円売り介入と同じ円安誘導なのだ。政権が「岸田インフレ」を恐れているとき、日銀が輸入インフレの原因になる円安誘導を無限に続けることはできない。


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アゴラ経済塾「エネルギー危機の時代」



ウクライナ戦争をきっかけに、世界はエネルギー危機の時代に入りました。これは一時的な出来事ではなく、少なくとも今後10年は続く覚悟が必要でしょう。その発端は戦争ですが、本質的な原因は世界の分断によるグローバリゼーションの逆転と、ヨーロッパ主導で行われている脱炭素化の動きです。

日本がエネルギー危機に巻き込まれると、大停電や電気代の上昇だけではなく、製造業の国際競争力が低下します。最近の円安は、それを反映したものでしょう。戦争で世界が分断されると、経済安全保障が外交の中心になり、日本の地政学的な立ち位置は見直しを迫られます。

今回の資源インフレは1970年代の石油ショックに似ていますが、当時の日本は世界の成長を牽引するリーダーでした。しかし今は一人当たりGDPで韓国にも抜かれた「衰退途上国」です。これからはインバウンドや対内直接投資で、世界に「開かれた国」にする必要があるでしょう。

7月から始まるアゴラ経済塾「エネルギー危機の時代」では、今回のエネルギー危機の原因は何か、それはどう展開するのか、日本経済はどうなるのか、そしてみなさんの生活と資産を守るにはどうすればいいのかを考えます。

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失敗した電力自由化の「巻き戻し」が必要だ

電力危機の話で、わかりにくいのは「なぜ発電所が足りないのか」という問題である。原発が再稼動できないからだ、というのは正しくない。もちろん再稼動したほうがいいが、火力発電設備は十分ある。それが毎年400万kWも廃止されるから、足りなくなるのだ。

なぜ、まだ使える発電所が廃止されるのか。それは稼働率が落ちて、採算がとれなくなるからだ。これについてたそがれ電力氏の説明がわかりやすいので、紹介しておこう。

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