きのうの村上氏の会見で驚いたのは、ライブドアの話を「聞いちゃった」ことが、結果的には証取法違反になる、という法解釈をみずからしたことだ。村上ファンドのウェブサイトにある公式発表でも同様の解釈論が書かれているが、わざわざ自分に不利な法解釈をする容疑者というのは、見たことがない。
証取法167条でいう「公開買い付けに準ずる行為」とは、同法施行令31条で「当該株式に係る議決権の数の合計が当該株券等の発行者である会社の総株主の議決権の数の100分の5以上である場合における当該株券等を買い集める行為」と定義されている。2004年11月8日に、ライブドアの宮内氏が「ニッポン放送株ほしいですね。経営権取得できたらいいですね」といったことが「100分の5以上買い集める行為」にあたるかどうかは、常識的にはグレーゾーンだろう。磯崎さんも指摘するように、そういう話を聞いただけで、その株の取引をやめなければならないとしたら、投資家は危なくて茶飲み話もできない。
たぶん本当の争点は、そこではないのだ。ライブドアとの会話が「公開買い付けに準ずる行為」の告知だったかどうかを法廷で争うと、彼らの会話や交渉の経緯が、電子メールなどで洗いざらい出てくるだろう。そうすると、この話の主役が村上氏であることが明らかになって、情状酌量の余地はなくなる。これまでの取調べでも、ライブドア側は「村上さんが『一緒にニッポン放送の経営権をとろう』と持ちかけてきたのに、05年2月8日の時間外取引のあと株が値上がりしたら、市場で売り逃げてしまった」と村上氏の「裏切り」を批判しているらしい。
ここに村上氏の二面性がよくあらわれている。これまでも「ものいう株主」の顔は株価を上げるテクニックで、最後は「投機筋」の顔になって売り逃げる、というパターンだった。こういう「グリーンメール」自体は違法ではないが、今度の事件は、グリーンメーラー仲間を利用してインサイダー取引をやるという悪質な手口だ。村上氏は「聞いちゃった」というストーリーの調書に署名して、うまく逃げたつもりかもしれないが、朝日新聞でも検察幹部が「その気にさせて、その気になったのを知ったインサイダー。聞いちゃったという話ではない」と語っているように、検察が村上氏の筋書きに乗るとは思えない。
追記:『ヒルズ黙示録』の著者、大鹿靖明氏がGyaOに出演して、「村上氏を有罪にするのは非常にむずかしい」とコメントしている。ライブドアの熊谷元取締役も、テレビ朝日のニュースで「ニッポン放送の経営権を取得するという連絡を村上氏にしたのは1月28日だ」と述べ、その連絡を受けた村上氏は、28日にニッポン放送株を買うのをやめた。11月8日の段階ではライブドアの一取締役の「願望」にすぎなかった、という主張は十分可能だ。それを会見で「11月8日に5%以上買うという意味の話を聞いた」とまで言い換えたのは不可解だ。他によほど知られたくないことがあるとしか考えられない。
証取法167条でいう「公開買い付けに準ずる行為」とは、同法施行令31条で「当該株式に係る議決権の数の合計が当該株券等の発行者である会社の総株主の議決権の数の100分の5以上である場合における当該株券等を買い集める行為」と定義されている。2004年11月8日に、ライブドアの宮内氏が「ニッポン放送株ほしいですね。経営権取得できたらいいですね」といったことが「100分の5以上買い集める行為」にあたるかどうかは、常識的にはグレーゾーンだろう。磯崎さんも指摘するように、そういう話を聞いただけで、その株の取引をやめなければならないとしたら、投資家は危なくて茶飲み話もできない。
たぶん本当の争点は、そこではないのだ。ライブドアとの会話が「公開買い付けに準ずる行為」の告知だったかどうかを法廷で争うと、彼らの会話や交渉の経緯が、電子メールなどで洗いざらい出てくるだろう。そうすると、この話の主役が村上氏であることが明らかになって、情状酌量の余地はなくなる。これまでの取調べでも、ライブドア側は「村上さんが『一緒にニッポン放送の経営権をとろう』と持ちかけてきたのに、05年2月8日の時間外取引のあと株が値上がりしたら、市場で売り逃げてしまった」と村上氏の「裏切り」を批判しているらしい。
ここに村上氏の二面性がよくあらわれている。これまでも「ものいう株主」の顔は株価を上げるテクニックで、最後は「投機筋」の顔になって売り逃げる、というパターンだった。こういう「グリーンメール」自体は違法ではないが、今度の事件は、グリーンメーラー仲間を利用してインサイダー取引をやるという悪質な手口だ。村上氏は「聞いちゃった」というストーリーの調書に署名して、うまく逃げたつもりかもしれないが、朝日新聞でも検察幹部が「その気にさせて、その気になったのを知ったインサイダー。聞いちゃったという話ではない」と語っているように、検察が村上氏の筋書きに乗るとは思えない。
追記:『ヒルズ黙示録』の著者、大鹿靖明氏がGyaOに出演して、「村上氏を有罪にするのは非常にむずかしい」とコメントしている。ライブドアの熊谷元取締役も、テレビ朝日のニュースで「ニッポン放送の経営権を取得するという連絡を村上氏にしたのは1月28日だ」と述べ、その連絡を受けた村上氏は、28日にニッポン放送株を買うのをやめた。11月8日の段階ではライブドアの一取締役の「願望」にすぎなかった、という主張は十分可能だ。それを会見で「11月8日に5%以上買うという意味の話を聞いた」とまで言い換えたのは不可解だ。他によほど知られたくないことがあるとしか考えられない。
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