本書は、昨年のピュリッツァー賞や全米図書賞をはじめ多くの賞を受賞した名著であり、今さら私が推薦するのは蛇足かもしれない。しかし「経済敗戦」とか「第二の敗戦」といわれる現在の日本を考える上で、本書の描く「第一の敗戦」の教訓に学ぶことは重要だ。
これまでの日本人の敗戦に対する態度は、それを軍国主義の帰結ととらえてアジアへの「謝罪」を求める側と、こうした立場を「自虐史観」として批判する側にわかれ、今なお対立が続いている。本書は、そうしたイデオロギー論争とは無縁な外国人歴史家の見た、明るい敗戦の風景だ。
その特徴は、著者が日本語版の序文で強調するように、日本人の多様性を膨大な一次資料にもとづいて生き生きと描いている点にある。本書には「集団主義」で保守的なステレオタイプの日本人はほとんど登場しない。
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これまでの日本人の敗戦に対する態度は、それを軍国主義の帰結ととらえてアジアへの「謝罪」を求める側と、こうした立場を「自虐史観」として批判する側にわかれ、今なお対立が続いている。本書は、そうしたイデオロギー論争とは無縁な外国人歴史家の見た、明るい敗戦の風景だ。
その特徴は、著者が日本語版の序文で強調するように、日本人の多様性を膨大な一次資料にもとづいて生き生きと描いている点にある。本書には「集団主義」で保守的なステレオタイプの日本人はほとんど登場しない。
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