「医薬分業」をやめて処方薬は自動販売機で売ればいい



薬学部なんかいらないという私のツイートに900以上のコメントが来た。ほとんどが「薬剤師は袋詰めやってるだけじゃない」という反発だが、薬剤師がいかに大事な職業であろうと、それ以外の人が薬を出すことを禁じる業務独占は必要ない。

免許制度をやめてドラッグストアで処方薬が買えるようにすれば、調剤薬局は減り、32万人もいる薬剤師は削減できるが、それだけでは医療費はあまり削減できない。薬価や技術料は保険点数で決まっており、処方薬は医師の診察を受けないと買えないからだ。

海外では、処方薬も病院内の自動販売機で売っている。病院の診察カードに処方箋データを書き込み、それを自販機に読ませるだけだ。すべての処方薬を自販機で売ることはできないが、他の処方薬は窓口でレセコン(レセプトを発行するコンピュータ)で出せば、薬剤師はいらない。

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日本でも大衆薬は自販機で売っているので、処方薬も同じことができるが、やっている病院はない。厚労省が医薬分業のため、院外処方箋を出して調剤薬局で薬を出すよう指導しているからだ。

続きは7月25日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

薬学部も薬剤師免許もいらない


このツイートが炎上しているが、私は薬剤師が不要だといっているわけではない。処方箋の通り薬を出すのに職業免許は必要なく、薬学部で6年も勉強する必要はない。専門学校で2年ぐらい勉強して資格認定すれば十分だといっているのだ。

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22世紀の民主主義

22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる (SB新書)
ヨーロッパ型の議会制民主主義が行き詰まっているという議論は多い。特に中国やロシアなどの独裁国家との制度間競争に勝てるかどうかは大きな問題である。

これは経済学でも昔から論じられており、アロウの一般不可能性定理が有名だが、その結論は大ざっぱにいうと、合理的な社会的選択の方法は独裁しかないということである。

著者の研究も、これを裏づけている。「民主主義指数」を横軸に、GDP成長率を縦軸にとると、民主的な国ほど成長率が低い。

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これは21世紀の現象である。20世紀には民主国家は独裁国家より成長率が高く、アセモグルのいう「インクルーシブ」な国家が成長の必要条件だと思われていたが、その傾向がこの20年で逆転した。その原因は何だろうか。

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「政教分離」というフィクション

日本の宗教と政治 ― ふたつの「国体」をめぐって
統一教会をめぐってマスコミが騒がしくなってきたが、その根幹に勘違いがある。近代国家では政教分離が原則だというのはフィクションであり、日本にはもともと「政教一致」した歴史もない。

創価学会は公明党として政権の一角に参加している。安倍首相が靖国神社を参拝して「政教分離の原則に反する」と批判を浴びたこともあるが、それが政治に影響を及ぼすことはない。国家神道はヨーロッパ的な意味での宗教ではなく、明治政府のつくった「表の国体」にすぎないからだ。

信教の自由は「自由にものをいう権利」ではない。それはジョン・ロックの『寛容についての手紙』(1689)以来の異教徒への寛容で戦争を防ぐ原理だった。近代の内戦のほとんどはカトリック教会への反逆だったが、教会は国家と癒着して既得権を守ったので、戦いは決着がつかないまま200年以上続いた。それを収拾するために内面の信仰と外的な政治を分離する妥協案が政教分離と信教の自由だった。

しかし日本ではそんな必要はない。そもそも日本人が(キリスト教のような意味での)宗教をもった歴史もない。日本人を統合してきたのは、本書の言葉でいうと古代から続く裏の国体だからである。これは丸山眞男の言葉でいえば、まつりごとの構造だろう。続きを読む

ウクライナ戦争の最悪の結果はロシアが勝つことではない

ミアシャイマーの講演は、よくも悪くも戦争前と変わらないが、彼の見通しはますます悲観的になっている。

明らかに、両国が勝つことはできない。 さらに一方がひどく負け始めるという深刻な可能性がある。アメリカの政策が成功し、ロシア人が戦場でウクライナ人に負けた場合、プーチンは状況を救うために核兵器に目を向けるかもしれない。CIA長官のアヴリル・ヘインズは、5月に上院軍事委員会に、これがプーチンにウクライナで核兵器を使用させる可能性のある2つの状況の1つであると語った。

プーチンが不合理な独裁者で、大ロシアを回復するためにウクライナ征服をめざしたという説には説得力がない。もしプーチンがウクライナ東部を併合するつもりなら、2014年のミンスク合意のときやっていたはずだ。

あのときウクライナ軍は弱体で、ドンバス地方はクリミアと同じように、容易にロシアに併合できただろう。そのとき自重したプーチンが、今年2月に侵略を決意したのはなぜか。

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安倍晋三氏の勝利は朝日新聞の敗北

ネット上では統一教会の話が騒がれているが、これは筋違いである。自民党と統一教会に関係があることは周知の事実で、統一教会が犯罪をおかしたことも事実だが、それはテロを正当化する理由にはならない。



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原発再稼動って何?

きのうは岸田首相が記者会見で「原発を冬に最大9基稼働する」と発表して、一瞬「新たに9基も動くのか」と思った人が多く、東電の株価も上がりましたが、会見を最後まで聞くと、すでに再稼動した10基のうち9基が予定通り動くというだけの話でした。この問題はややこしいので、わかりやすく解説しましょう。

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岸信介と統一教会をつないだ「裏の国体」

安倍晋三氏の死去で驚いたのは、それを公然と祝賀する人が多いことだ。反原発派として有名だった小出裕章氏(元京大助手)はこう書く。

アベさんにはこれ以上の悪行を積む前に死んでほしいとは思ったが、殺していいとは思っていなかった。悪行についての責任を取らせることができないまま彼が殺されてしまったことをむしろ残念に思う。多くの人が「民主主義社会では許されない蛮行」と言うが、私はその意見に与しない。

これにFacebookで5000以上も「おすすめ」がついている。最近では安倍氏以外の政治家に、ここまで憎まれた人はいない。彼はそういうリスクを承知の上で「右寄り」のポジションを取ったのだろう。それは彼の世代(私と同じ)では特異な感覚で、岸信介の孫という使命感が強かったのだと思う。

岸と統一教会が深い関係にあったことは周知の事実だが、これには特殊な要因があった。それは彼を支えたのが、戦後日本の裏の国体だったことだ。拙著でも書いたように、丸山眞男が戦後日本の「表の国体」を体現したとすれば、その「裏の国体」を体現したのが岸だった。続きを読む

日本の原子力産業は「余命10年」



きのうのシンポジウムでは、ホリエモンの原子力についての話が印象的だった。3・11から11年たち、全国の原発には動いていた時期を知らない人も多い。もっと深刻なのは、原子力開発を志す若者がいなくなったことだ。その教訓を航空機産業に学ぶことができる。

三菱重工が国産ジェット機(MRJ)の開発を開始したのは、2008年だった。これは座席100席程度で地方路線を飛ぶ「リージョナル・ジェット」で、YS-11で成功した航空機技術を生かし、日本がジェット機に進出しようというものだった。

日本の航空機は、かつてはゼロ戦のように高い技術をもっていたが、敗戦で航空機メーカーが解体された。1950年代に開発が許可され、1965年には戦後初の国産航空機、YS-11が就航した。日本の製造業は自動車のように部品が3万点以上だと優位性を発揮するが、航空機の部品は100万点以上で、日本の得意分野だった。

YS-11は部品の50%以上を分担する三菱など7社が各部品を分担して開発したが、商業的には成功しなかった。1980年代以降の航空自由化の中で価格競争が激化して海外では赤字受注になり、市場が国内に限られたからだ。

それから40年をへて、国交省が支援して三菱が開発したのがMRJだが、開発は難航し、2020年に事業が凍結された。その原因は複雑だが、ホリエモンが指摘したのは、YS以来40年の技術の空白だった。航空機のように複雑な製品になると、要素技術だけでなく、それを組み合わせる総合調整力が必要になる。それが途切れてしまったのだ。

原子力技術は今のところまだ日本が世界のトップだが、今のままでは航空機と同じ運命をたどるおそれが強い。原発は部品1000万点に及ぶ巨大プロジェクトであり、しかも日本はそのほとんどを国内で調達している。このサプライチェーンがいったん失われると、再構築はむずかしい。ホリエモンの見立てでは「原子力産業の余命はあと10年」だという。続きを読む

安倍政権の残した「動かない原発」



安倍晋三氏の首相としての業績は不滅である。特に外交・防衛に関して日米安保をタブーとした風潮に挑戦して安保法制をつくったことは他の首相にはできなかったが、彼がやり残した課題も多い。その最たるものが、今の電力危機の原因になっている「動かない原発」の問題である。

この根本的な原因は、民主党政権が原子力規制委員会というバカの壁をつくったことだが、法的には再稼動は規制委員会の権限ではなく、内閣が「安全審査は運転と並行してやってください」といえばすむことだった。田中俊一委員長も、2014年2月の答弁書で「委員会が再稼動を認可する規定はない」と答弁した。

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