インフレ税がいろいろ話題になっているので、理論的な背景を整理しておこう。これは新しい理論ではなく、1990年代からFTPL(物価水準の財政理論)として知られている。これはMMTのようなトンデモ理論ではなく、その発案者クリストファー・シムズはノーベル経済学賞の受賞者である。

物価水準=名目政府債務/プライマリー黒字の現在価値 (1)
ここで名目政府債務は1300兆円だから、物価が1前後で安定しているということは、投資家が日本政府は将来1300兆円のプライマリー黒字を出すと予想していることを示す。
これは明らかに不可能だから、政府(財務省)は過剰に信頼されている。いずれ投資家は間違いに気づくだろうと思って、多くの専門家が金利上昇とインフレを予想したが、ことごとく外れた。なぜだろうか?続きを読む

「人為的な財政インフレ」は可能か
彼は2017年に来日して、安倍首相に「消費税の増税を延期すればインフレになる」と提言した。話が奇想天外なので、さすがの安倍氏も乗らなかったが、シムズはハイパーリカーディアンというおもしろい言葉で、日本の現状を表現している。この種の議論をする際によく持ち出されるリカーディアン均衡(リカードの等価定理)的な考え方では、追加的な政府支出の効果は将来の増税予測によって相殺されるというが、現在は[日本では]相殺どころか、それ以上の増税を予測する「ハイパーリカーディアン」とでも呼ぶべき「期待」がむしろ広がってしまっている。FTPLはインフレを貨幣的現象ではなく財政的現象と考える理論である。ここでは物価水準を無限の将来にわたる税収(プライマリー黒字)の割引現在価値で決まるものと考え、その均衡条件は、
物価水準=名目政府債務/プライマリー黒字の現在価値 (1)
ここで名目政府債務は1300兆円だから、物価が1前後で安定しているということは、投資家が日本政府は将来1300兆円のプライマリー黒字を出すと予想していることを示す。
これは明らかに不可能だから、政府(財務省)は過剰に信頼されている。いずれ投資家は間違いに気づくだろうと思って、多くの専門家が金利上昇とインフレを予想したが、ことごとく外れた。なぜだろうか?続きを読む




