参政党はオーガニック信仰から生まれた情弱マーケティング

共同通信の「トレンド調査」の比例投票先で、参政党が自民党に次いで野党第1党になりました。



ちょっと前まであやしげな泡沫政党だと思われていたのですが、国会議員が5人になって政党要件を満たしたため、既成政党に飽き足りない人々の注目を集めたのでしょう。でもその中身はほとんど知られていないので、チャットGPTに聞いてみました。

Q. 参政党はどんな政党ですか?

  • 参政党の成立と経緯
    • 2020年に設立された新しい保守系政党。
    • 幹部の多くが内部対立で離脱。
    • トランプ支持、バイデン不正選挙論などQアノンの陰謀論が主流に。
  • 政策と主張
    • 3つの重点政策:「教育」「食と健康」「国のまもり」。
    • 特に「食と健康」では、有機農業や無添加食品などのオーガニック信仰が中心。
    • 外国人参政権の反対、外国資本の規制などの国粋主義もある。
  • オーガニック信仰の影響
    • 食品添加物、農薬、人工甘味料などを「病気の原因」とみなす。
    • オーガニック食品の好きな専業主婦に人気がある。
    • コロナワクチンへの反対姿勢も強く、反ワクチンと結びついている。
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  • 「曖昧な予算制約」によるバラマキが国を滅ぼす

    コルナイ・ヤーノシュ自伝: 思索する力を得て
    参院選は「給付金か消費減税か」というバラマキ合戦になってきたが、これは今に始まったことではない。20世紀に慢性的なインフレが続いた大きな原因はケインズ政策による政治家のバラマキで、その反省から総需要のコントロールは金融政策でおこなうことになった。

    しかし21世紀にはゼロ金利で金融政策がきかなくなり、財政の時代が戻ってきた。かつてはそれに財政赤字の制約があったが、今は低金利でそれがなくなり、曖昧な予算制約(soft budget constraint)の時代になったのだ。これはコルナイが、社会主義の崩壊した原因として指摘したものだ。

    ハンガリーでは「モノバンク」と呼ばれる国営銀行がすべての国営企業に資金を供給したので、企業に予算制約はなく、生産は政治で決まった。赤字が出ても国営企業がつぶれることはなく、モノバンクが紙幣を印刷すればいい。

    それが社会主義の最大の欠陥だった。破綻しない国営銀行は政治的に声の大きい企業に資金を提供し、赤字になっても追い貸しで延命する。その結果、多くの非効率な企業が生き残り、無駄な商品の膨大な在庫が積み上がる一方、必需品には行列ができた。

    日本の社会保障が問題なのは、財政が破綻するからではない。日銀が国債を買えば、デフォルトは起こりえない。問題は曖昧な予算制約(SBC)で過剰投資が起こり、資源配分がゆがむことなのだ。それはかつて社会主義を滅ぼし、日本でも医療・介護の労働人口は900万人で、2030年代には製造業を超える最大の産業になる。その膨大な非効率性が日本経済の衰退の原因である。

    きょうから始まるアゴラセミナー「人生100年時代」でも、このような経済問題として社会保障を考えたい。

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    少子化の原因は女性の地位向上(アーカイブ記事)

    参政党の神谷代表の「高齢女性は子供を産めない」という発言が話題を呼んでいるので、2008年の記事を再掲する。

    本書のタイトルは、ハンチントンの『文明の衝突』へのアンチテーゼである。かつて世界の人口爆発は指数関数的に加速すると予想されたが、そういうことは起こらなかった。最近の人口予測では、ますます増加率が低くなっている。この原因としてもっとも有意な説明変数は女性の識字率である、と著者はいう。

    経済発展によって女性の教育水準が上がると、避妊を禁じる宗教的なタブーの拘束力が弱まり、産児制限が進む。こうした人口の抑制によって一人当たり所得も上がって社会保障も充実し、知的・経済的な近代化が始まるのだ。

    その結果、大多数が文盲で宗教的権威の影響が圧倒的に強い旧世代と、科学的知識を身につけた新世代の衝突が起こる。現在のイスラム原理主義は、一見ムハンマドの時代に戻る反動的な運動のようにみえるが、その担い手は知識層である。続きを読む

    与野党とも物価を上げる政策ばかり公約するのはなぜ?

    きょうは参議院選挙の公示。7月20日の投開票に向けて、選挙戦が始まりました。

    国民の最大の関心事は最近のインフレですが、与党の公約は給付金、野党は消費減税。これって「物価高対策」になるんでしょうか? チャットGPTに聞いてみました。

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    ゴータマはいかにしてブッダとなったのか

    本当の仏教を学ぶ一日講座 ゴータマは、いかにしてブッダとなったのか (NHK出版新書)
    今週から始まるアゴラセミナー「人生100年時代」では、長すぎる老後の生き方についても考えたい。その際、キリスト教はあまり役に立たない。そこでは死は天に召される救いであり、30歳前後で死んだイエスは老いについては何も語っていないからだ。

    それに対して仏教では「老い」と「病い」と「死」がテーマである。その原因は、ブッダの生まれた環境にある。紀元前600年ごろ、インド社会を支配していたのはバラモン教だった。これはアーリア人がインドを征服したとき先住民を差別した身分制度であり、それが今もカースト制として続いている。

    これを批判する反バラモン教の分派(沙門宗教と呼ばれる)もたくさんあったが、ブッダの教団はその一つだった。ブッダという尊称は複数形でも使われたので特定の個人ではなく、ゴータマは教祖の集合名詞だと思われる。

    ゴータマがシッダッタという一族の王子で、80歳まで生きたというのも伝説だが、大事なのはゴータマが実在したかどうかではなく、その言葉が「ブッダの教え」として多くの人に口頭で伝承されたことである。その原因は、バラモン教を超える普遍的な救いを求める人が多かったからだろう。続きを読む

    西浦博氏の「接触8割削減」は計算違いだった

    コロナ対策の政策評価 日本は合理的に対応したのか
    新型コロナ感染対策でよく議論になるのはワクチン接種だが、これについては医学的な結論がまだ出ていない。明らかに過剰だったのは、初期の緊急事態宣言などの行動制限である。本書はこれに絞って、経済学的に検証したものだ。

    中でも大きな影響があったのは、2020年4月に西浦博氏の発表した「何もしないと42万人死ぬ」という被害予測である。彼はそれにもとづいて「接触の8割削減が必要だ」と主張し、安倍首相に直訴して、緊急事態宣言の発令が決まった。

    結果は42万人どころか、60日間で800人しか死者は出ず、緊急事態宣言で多くの飲食店が廃業するなど膨大な社会的コストが発生した。本書の中心は西浦モデルの欠陥を詳細に明らかにすることだ。

    特にひどいのは(当時から指摘されたことだが)西浦氏が新規感染者数(フロー)としてカウントした数字が、実は既存の感染者を含む感染者数(ストック)だったことである。


    SIRモデルでは、接触に比例して新規感染者が減るので、右の図のように接触を8割減らすと、ただちに新規感染者数は8割減るはずだが、西浦モデルでは数十日かけてゆるやかに減ることになっていた。これは感染したまま治癒していない患者をカウントしたからだ。

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    法人所得税を廃止して「法人売上税」20%に

    トランプ米大統領は20日、国際的な法人最低税率協定は「アメリカでは効力を持たない」と宣言した。これはバイデン政権が約140カ国と交渉して2021年に締結した、最低税率を15%とする租税カルテルから離脱するものだ。


    これはそれほど予想外の政策ではない。彼の1期目にも共和党は、法人税を20%に下げて国境調整税(連邦消費税)を創設する税制改革を提案したが、民主党の反対で葬られ、トランプは減税だけをつまみ食いした。

    今度は連邦消費税の代わりに、関税で税収をおぎなうつもりらしい。それは無理だが、トランプ関税をやめて法人税(法人所得税)をゼロにすればアメリカは世界最大のタックスヘイブンになり、トランプの望むように投資が世界から集中して税収は増えるだろう。

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    世界は「関係」でできている

    世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論
    量子力学の解釈をめぐっては100年前から大論争が続き、いまだに決着がつかないが、最近は少し様子が変わってきた。量子コンピュータの実験が成功したからだ。その原理は、従来の半導体とはまったく違う量子もつれ(本書では「エンタングルメント」と呼んでいる)である。

    量子力学ではシュレーディンガー方程式の解は確率分布で表現され、観測するまで電子は「もつれ」状態にあって位置と運動量は一義的に決まらない。これは電子のペアが宇宙の端と端にあっても、観測で同時に決定される非局所的な相互作用があることを意味する。

    これは理論が不完全だからで、決定論的な「隠れた変数」があるはずだという理論が提唱された。ベルの不等式はこれを確かめる思考実験だが、3人の物理学者がこの不等式が成り立たない(量子もつれが存在する)ことを実験で証明し、2022年のノーベル賞を受賞した。

    これはエーテルが存在しないことを証明したマイケルソン=モーリーの実験のようなものだが、それでは遠隔作用を媒介しているのは何かが問題になる。この謎を解いたのはアインシュタインだった。

    では量子もつれで、光速を超える非局所的な相関をもたらすものは何か。この謎を解いた物理学者はまだいない。本書はその答をナーガールジュナの縁起説からボグダーノフの反実在論に至る関係主義に求める。

    続きは6月30日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

    【更新】生活保護と国民年金は「負の所得税」に統合すべきだ

    国が2013年から生活保護を減額したのは憲法違反だとして生活保護の受給者などが起こした国家賠償訴訟で、最高裁は減額は違法だという判決を出した(賠償は認めず)。これを受けて更新した。



    生活保護の受給額は単身世帯で月額10~13万円。国民年金の受給額5.6万円よりはるかに高く、医療費はゼロである。これでは最初から保険料を払わないモラルハザードをまねくと批判が強かったが、司法が制度のゆがみを追認してしまった。

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    啓蒙は「カント的理性主義」ではない

    啓蒙とはなにか:忘却された〈光〉の哲学
    啓蒙という言葉は多義的に使われる。広い意味では「科学」一般をさして使うこともあるが、本書はこのような濫用をいましめ、これを同時代の文脈に即して考える。啓蒙という訳語ではわかりにくいが、18世紀にフランスでディドロやダランベールなどが使い始めたlumièreは「光」という意味である。

    啓蒙は無神論と結びつけられることが多いが、この場合の光はもともと神の啓示という意味で、キリスト教的な含意があった。それに対して過激な無神論をとなえた「ラディカル啓蒙」と呼ばれる一派があり、その教祖がスピノザだった。彼自身がこういう運動にかかわっていたわけではないが、神と自然を同一視する彼の汎神論は、唯物論と受け止められたのだ。

    ドイツでは啓蒙はAufklärungと訳され、これも「明るくすること」という意味である。この言葉を広めたのはカントの『啓蒙とは何か』で、彼の定義は有名である。

    啓蒙とは何か。それは人間が、みずから招いた未成年の状態から抜け出ることである。[…]人間が未成年の状態にあるのは、理性がないからではなく、他人の指示をあおがないと、自分の理性を使う決意も勇気ももてないからだ。

    ここでは人間が等しく理性をもっていることが前提とされているが、それはフランスの啓蒙ともヒュームの経験論とも違っていた。現代人が(肯定的にせよ否定的にせよ)語る啓蒙は、カント的なバイアスをもっているが、晩年のフーコーがのべたように啓蒙の本質は批判精神であり、それをカント的な理性主義に矮小化するのは間違いである。

    続きは6月30日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)


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