日本はゾンビ企業の保護で「部門間シフト」が足りない(アーカイブ記事)

日本の労働生産性が低い一つの原因は、医療・介護などの生産性の低い分野の労働人口が増え、生産性の高い製造業の労働人口が減ったことだ。

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ハイエクは1974年の論文で「失業は部門間の労働の配分の不均衡が残っている状態だ」と論じた。これは彼が1930年代から論じていた問題で、のちに部門間シフト(sectoral shift)として理論化された。

労働市場が機能していれば、供給過剰の企業から不足している企業に労働移動が起こって生産性は均等化するはずだが、労働組合が人員整理に抵抗すると不均衡が残る。大恐慌が長期化したのも、1935年にニューディールで労組のストライキ権などを認めたことが原因だ、というのがRBC派の意見である。

RBCの世界ではこのような不均衡が20年も続くことは考えられないが、日本では深尾京司氏も指摘するように、製造業と非製造業の生産性(TFP)の格差は縮まらない。続きを読む

円安の根本原因は高市政権の「インフレ税」

政府が為替介入で円安にブレーキをかけても、円相場はすぐに戻ってしまう。介入で円は一時155円台まで急伸したが、その後は再び157円前後へ戻した。市場は政府の「円安阻止」の本気度を試しているのだ。

なぜ為替介入はきかないのか。答は単純である。片足でブレーキを踏みながら、片足でアクセルを吹かしているからだ。そのアクセルこそ、高市政権の「積極財政」である。

高市首相は、2026年度予算について、危機管理投資や成長投資に大胆に予算を増やしたと説明している。これは通貨市場から見れば円安要因だが、高市氏はそれを否定せず「円安で外為特会はホクホクだ」と述べた。

しかもイラン戦争による原油価格上昇に対して、高市政権はガソリン価格を170円程度に抑えるため補助金を出している。補助がなければ価格は200円を超える水準で、足元の補助額は1リットルあたり約40円に達している。これは物価高対策ではない。物価高の先送りである。

本来、円安と原油高でガソリン価格が上がれば、消費者は節約し、企業も省エネや代替調達を考える。価格には需給を調整する機能がある。ところが政府が補助金で価格を抑え込んだので、消費は減らず、輸入代金は増え、貿易収支は悪化し、さらに円安圧力がかかる。

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日本は「収奪的」な社会か(アーカイブ記事)

日本経済の死角 ――収奪的システムを解き明かす (ちくま新書)
実質賃金が上がらないのは日本経済の最大の問題の一つだが、その原因について定説はない。よくあるのは「労働生産性が低いからだ」という説明だが、著者も指摘するように日本の生産性(時間あたり実質GDP)上昇率はG7の平均程度で、それほど低いわけではない。

ところが実質賃金は1990年代からほとんど上がっていない。これは他の国では賃金が生産性とほぼパラレルに上がっているのと対照的な日本の特異性である。

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OECDデータ(BNPパリバ証券)

この原因は何かという問題も、多くのエコノミストが論じてきた。考えられる原因は
  • 労働分配率の低下
  • 円安による交易損失
  • 内部留保の増加
労働分配率はそれほど下がっていない。交易損失は大きいが、2010年代に限られる。著者が指摘するのは内部留保(利益剰余金)の増加である。続きを読む

「負の所得税」と消費増税で透明で公平な税制に

社会保障国民会議が迷走していますが、筋の悪い消費減税の複数税率なんかやめて、簡易型の給付つき税額控除をやってはどうでしょうか。これなら今すぐ全国民に毎年10万円配ることもできます。



問題は13兆円の財源ですが、消費税率を5%上げれば、所得税の減税とプラスマイナスゼロです。定額給付金のは低所得者ほど所得に占める比率が高いので、所得再分配の効果もあります。捕捉率に大きなゆがみがあり、半分以上の人が払っていない所得税を減らし、誰でも同じ率で払う消費税に代えれば、税は透明で公平になります。

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アゴラセミナー「エネルギー危機と日本経済:スタグフレーションは来るか」

アメリカとイスラエルのイラン爆撃に対して、イランは周辺諸国の米軍基地爆撃やペルシャ湾の機雷封鎖で対抗し、タンカーが炎上するなど、戦争は泥沼化の様相を見せてきました。ホルムズ海峡は閉鎖されたままで、原油・LNG価格も大きく上がっています。



最悪の場合は、日本の原油輸入の9割を占めるペルシャ湾から原油が入ってこなくなる事態も想定する必要があります。日本がエネルギー危機に巻き込まれると、ガソリン価格や電気代の上昇だけではなく、製造業の国際競争力が低下し、円安が進行します。高市政権はガソリン補助金でインフレを助長し、スタグフレーションの危険もあります。

他方、EU(欧州連合)のフォン・デア・ライエン委員長は「脱原発は戦略の誤りだった」と演説し、ホンダは今年3月期決算で最大6900億円の赤字を計上して、電気自動車から撤退を決めました。これはこの10年、欧州を中心に続いてきた脱原発・脱炭素化の動きが挫折したことを示しています。

思えば1973年にも日本は石油ショックで激しいインフレに見舞われ、大きな経済的ダメージを受けました。その経験を踏まえて原子力などエネルギーの多様化を進めてきたのですが、民主党政権が原発を止めてしまい、今も全国で20基が止まったままです。

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アメリカはイラン空爆を欧州には事前通告していた

ネトウヨ界隈で「テレ朝がバカな質問をして恥をかいた」と騒いでいるが、元駐米大使までこんな初歩的な間違いをテレビで語っている。
今回の空爆は、トランプが議会も国連も無視してやったが、それを同盟国に知らせるのは別の問題だ。アメリカは、イギリスには空爆の1週間前に、インド洋のディエゴガルシア基地の使用許可を求め、スターマー首相はそれを断った。

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資源インフレがやってくる:積極財政はやめて総需要を抑制すべき

イラン戦争でホルムズ海峡が閉鎖され、日本の輸入する原油の9割が止まる。LNGは1割だが、どちらも国際価格は2割近く上がり、ウクライナ戦争のときのような資源インフレが起こることは確実だ。ドル円も157円台になった。



高市政権の積極財政も野党の減税要求も、インフレを加速するだけ。財政・金融政策を転換し、総需要を抑制するときだ。

高市首相の「円安課税」で大企業の株主以外の国民は貧しくなる

政府は日銀の審議委員に「リフレ派」といわれる2人を提示したが、このうち浅田統一郎氏はリフレというよりMMTで、藤井聡氏と一緒に動画に出ている。

もう一人の佐藤綾野氏は無名だが、彼女の「責任ある積極財政を推進する議員連盟」での講演(2023年2月)は、高市首相のよく使うフレーズが出てくるので興味深い。



全体としては、15年前のリフレ派の話を聞いている感じだ。佐藤氏の主張は図1に要約されるが、これを2023年に描いているのは唖然とする。


図1(佐藤綾野氏)

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消費減税のアリバイづくりの「国民会議」なんていらない

高市政権のつくる予定の「社会保障と税の国民会議」への参加に、野党が難色を示している。これは少数与党だった石破政権が超党派で給付つき税額控除をやるために設置しようとしたものだが、高市政権は衆議院の2/3を取ったので、こんなものは必要ない。

大人になれないまま死んでゆく団塊左翼の老人たち

今回の選挙を「リベラルの敗北」などと言う人がいるが、これはお門違いである。立民も中道も本来の意味でのリベラルとは無関係な、戦後日本の特殊な左翼集団に過ぎない。今どきこんな恥ずかしいポスターを出すセンスは信じがたい。



リベラルという言葉は、18世紀のイギリスでバークやヒュームが唱えた古典的自由主義の思想だが、ルーズベルト以降のアメリカで誤用され、「大きな政府」の代名詞になった。

日本では社会主義という言葉のイメージが悪くなった社会党が、リベラルという言葉を使い始めた。「憲法9条を守れ」という空想的平和主義はリベラルと無関係だが、団塊の世代が子供のころ教わった素朴な正義感と一致したからだ。

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