大統領選挙で「アメリカの分断」はさらに深まる

カマラ・ハリスが民主党の大統領候補に指名されることが確実になり、個人攻撃の応酬が始まった。共和党のヴァンス副大統領候補は「カマラのように子供のいない「猫女」はみじめな人生を送る」という。


これに対してハリスは「トランプは犯罪者だ。検察官だった私はそれを知っている」。



この選挙戦はネガキャン合戦になりそうだが、これはアメリカ社会で深まる分断を反映している。それは単なる人種対立ではなく、イデオロギーでもない。その亀裂はこれからますます深まるだろう。

続きはアゴラサロンでどうぞ(初月無料)

弥助は「黒人奴隷から成り上がった侍」だったのか

アサクリ問題が歴史学界に延焼しているので、整理しておこう。最初に断っておくが、アサシン・クリードというゲームがどんな荒唐無稽な設定をしても、それがフィクションだと断っていれば何の問題もない。問題はその原作者、トム・ロックリー(日大准教授)がそれを事実だと主張し、Wikipediaなどを改竄したことだ。



おかげでデービッド・アトキンソンなど、それを信じる人が出てきた。マスコミが小説を史実として報道すると、慰安婦問題の吉田清治のように大変なことになる。こういう問題は初期消火が大事なので、あえて細かい事実関係を書いておく。

続きはアゴラ

弥助は「黒い侍」だったのか

アサクリ問題は近世の日本史をめぐる歴史論争になったが、ほとんどの専門家の結論は「黒人が武士になることはありえない」ということで一致している。唯一ロックリーの歴史小説を詳細に検討したOliver Jiaのブログ記事の一部を自動翻訳で紹介しておく。

2d461c56-1270-4d4f-9d86-401f31139c46_1000x750
弥助の死後に描かれた絵

まず戦国時代の日本に黒人が来て、弥助と呼ばれたことは事実である。

弥助の本名、生年月日、出身国など、その詳細の大部分は謎のままだが、彼の存在は何世紀にもわたって知られている歴史的事実である。

私たちが確かに知っていることは、弥助が東アジア全域での布教活動で有名なイタリアのイエズス会司祭アレッサンドロ・ヴァリニャーノの従者として1579年に日本に来たということだ。

弥助がポルトガル人の奴隷だったという証拠はない。日本の大名が黒人奴隷を使ったこともない。

弥助が奴隷だったのか、年季奉公人だったのか、それとも喜んでヴァリニャーノに仕えることを選んだ自由人だったのかは明らかではないが、戦国時代の日本に弥助が登場したことは、両国にとって彼の存在を記録するのに十分な注目に値する出来事であったことは確かである。

彼は宣教師ルイス・フロイスとともに織田信長に謁見した。フロイスの記録にはこう書かれている。

信長は黒い男を見て嬉しそうに笑い、肌の色は本物ではなくトリックだと思い、頭から帯まで裸にさせた。彼の息子たちや甥さえも彼が楽しんでいるところを見たいと思った。

では弥助は、ロックリーの描いたような「黒い侍」だったのか?

0488fa30-70e1-47f5-83e2-3a26e40da083_662x1000 (1)

続きは7月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

優生保護法が「団塊の世代」を生んだ

きょう岸田首相が優生保護法で不妊手術を受けた人々に謝罪した。


最高裁判決では、優生保護法そのものを憲法違反としたが、これには疑問がある。まず優生保護法は1996年に母体保護法と名前を変え、障害者の不妊手術の規定を削除したが、妊娠中絶は現在も行なわれている。「経済的理由」で中絶できるので、実質的に自由である。

続きはアゴラ

トランプ大統領を生んだアメリカ社会の闇

ヒルビリー・エレジー~アメリカの繁栄から取り残された白人たち~ (光文社未来ライブラリー)
トランプ前大統領は、副大統領候補にJ.D.ヴァンス上院議員を選んだ。39歳で、まだ2年目の無名の新人である。その一つの理由は彼が激戦区オハイオ州の出身だからだが、最大の理由は彼が「トランプのクローン」と呼ばれるほど忠実な子分だからだろう。

しかしヴァンスが2016年に書いたこの回想録には、そんな面影はない。中西部のプアホワイトの家庭に生まれ、父親が何人も替わり、母親が麻薬中毒という複雑な家庭で育った彼の生活を通じて、トランプ大統領を生んだ中西部の田舎者(ヒルビリー)の実像が描かれている。

アメリカ経済は1990年代以降、ITとグローバリゼーションで復活したが、その中で中西部の白人は取り残された。製造業の工場が海外に移転して失業者が増え、麻薬中毒やアルコール中毒が増え、犯罪が横行した。

image-1720329647694
アメリカの人の死亡率(Deaton)

こうしたプアホワイトは、彼らの職を奪ったのは黒人を優遇するリベラルだと考え、オバマ政権を憎んだ。人種間の対立が激化し、移民を排斥するトランプが彼らの本音を代弁する政治家として、伝統的な共和党とはまったく違う階層から予想外の支持を得たのだ。

ヴァンスは2016年にトランプが立候補したとき、彼を「ファシスト」と呼んだが、上院議員に立候補するとき転向して、トランプのクローンになった。機会主義者とバカにされているが、本書にはトランプを生んだアメリカ社会の暗部が描かれている。

続きは7月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

トランプ再選は「脱炭素化」という幻想から常識への回帰

アメリカ共和党の大会が開かれ、トランプを大統領に指名するとともに綱領を採択した。トランプ暗殺未遂事件で彼の支持率は上がり、共和党の結束も強まった。彼が大統領に再選されることはほぼ確実だから、これは来年以降のアメリカの政策と考えてもいいだろう。


産経新聞より

続きはアゴラ

「内部留保」550兆円の謎

日本経済の故障箇所
共産党などがよくいう「内部留保を取り崩して労働者に分配しろ」という話は、専門家には相手にされない。企業会計に内部留保という項目はないからだ。

しかし法人企業統計では内部留保を「利益留保、引当金、特別法上の準備金、その他の負債(未払金等)の調査対象年度中の増減額」と定義している。つまり内部留保は利益準備金などのフローの増加額なので、「内部留保550兆円」というのは誤りで、2022年度の内部留保は56兆円である。

問題はそこではなく、2010年代に内部留保のうち人件費や有形固定資産がほとんど増えず、投資有価証券が大きく増えたことだ。これは門間一夫氏のいう「その他固定投資」に含まれる。


企業の資産構成(法人企業統計)

法人企業統計は国内企業の決算を単純に合計したものだから、海外子会社の設備投資や人件費は含まれない。このため海外直接投資を含む総額が「内部留保」として過大に表示され、混乱のもとになっている。

これが大幅に伸びたのは、国内の決算に記載されない海外子会社への投資が伸びたためと思われるが、その内訳がはっきりしない。それは利益を生んだのだろうか。本書は意外なことに、海外直接投資はほとんど利益を生んでいないという。

続きは7月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

慰安婦は「性奴隷」だったのか(アーカイブ記事)

慰安婦性奴隷説を ラムザイヤー教授が完全論破
マーク・ラムザイヤーが国家基本問題研究所の「日本研究賞」を受賞したことで、本書がまた話題になっているが、この受賞を唯一報道している産経新聞が「「慰安婦=性奴隷」学術的に否定、バッシングにも負けず」と書いているのは誤解である。性奴隷かどうかは争点ではない。

ラムザイヤーを批判したゴードン=エッカートが「陸軍が慰安婦を徴発(強制連行)した」というのは事実無根であり、それを示す文書は一つもない。これはゴードンらも認め、元慰安婦と自称する女性の「証言」だけを根拠にしている。その信憑性は疑わしく、このコアの部分についてはラムザイヤーは正しい。

問題は、それが自発的な契約だったというラムザイヤーの論文(本書の第1論文)にも、それを示す文書がないことだ。この点については双方が同意しているので、慰安婦が強制連行されたというゴードンの説も、自発的な契約だったというラムザイヤーの説も同様に疑わしいというのが論理的な結論である。

だが問題はそこではない。最近は(たとえば)NYタイムズは人身売買は奴隷だという定義によって慰安婦を性奴隷としている。この定義によれば朝鮮半島の慰安婦のかなりの部分が、親の借金の担保として娘が民間業者に身売り(年季奉公)する人身売買だった。これは秦郁彦氏も指摘している。

続きは7月15日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

エンタメ化した政治がシルバー民主主義を破壊する

東京都知事選挙の得票を世代別にみると、石丸伸二氏は10代・20代で1位、30代でも小池百合子氏とほぼ同じだった。支持政党別では、無党派層で最大の支持を得た。


NHKより

これまでどの党も取れなかった無党派の若い世代というブルーオーシャンを、彼が初めて取ったのだ。都知事選で、無名の新人が160万票以上とったのは初めてである。これが今回、最大のサプライズだった。

続きはアゴラ

安芸高田市で石丸市長は何をしたのか

落選後のテレビ中継で「石丸構文」をたたかれた石丸伸二氏が、一転して「いい人アピール」を演じているが、このように相手を見下して攻撃するのが、自閉スペクトラム症候群(ASD)特に尊大型ASDの特徴である。

彼が安芸高田市でやったことは多くの動画に記録されている。まず先週、最高裁まで上告して敗訴した裁判。72万円の未払い金で最高裁に上告するというのが尋常ではない。

問題の発端は、議会で居眠りする議員。こんな風に彼を英雄として絶賛する動画が拡散した。



居眠りしていた武岡議員は「居眠りではなく脳梗塞の症状だった」という診断書を出したが、石丸市長は読まないでシュレッダーにかけてしまう。


武岡議員は今年1月に死去したが、石丸市長はとむらいの言葉もかけなかった。

続きは7月15日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)


スクリーンショット 2021-06-09 172303
記事検索
Twitter
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
Creative Commons
  • ライブドアブログ