リニア中央新幹線って必要なの?

静岡県の川勝知事が辞任して、一番ほっとしているのはJR東海の社員でしょう。2027年に開業する予定だったリニア中央新幹線の名古屋までの路線も、ようやく工事を再開できそうです。でもそれは本当に必要なんでしょうか?



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河野太郎氏の「脱工業化社会論」の錯覚

再エネタスクフォースをめぐる問題の根底には、河野太郎氏の急進的な再エネ推進がある。彼はもとは反原発派ではなく、その出発点は核燃料サイクルをめぐる電力会社の自民党支配に疑問をもったことだった。2011年5月のBLOGOSチャンネルで私と対談した貴重な記録が残っていた。



池田:今は太陽光発電のコストは、1kWhあたり40円。それが、石炭火力だと6円です。本当に再生可能エネルギーが、石炭に匹敵するようなものになるのか。ならない場合に、補助金をいつまで続けるのか。今の仕組みだと電気料金に上乗せされてしまいますよね、それは結局は、日本の産業の国際競争力に跳ね返ってしまうのでは。

河野:日本はまだまだ重厚長大型の産業が残っている。欧米はそこからソフトウェアに変わったり、もう少し知価革命が進んできている。重厚長大でやってきた部分は、中国やインドの追い上げを考えると、どこかの段階でそれを受け渡して、新しいところに出て行かなきゃいけない。

そうすると、産業の中でエネルギーコストの部分も段々小さくなる方向に行くだろうと思います。日本経済が発展するためには、小さくなる方向に動いていかなきゃいけない。 再生可能エネルギーを可能な限り伸ばしていくと、それが伸びていけば新しい日本の産業にもなって輸出できるわけです。

河野氏は日本が脱工業化してハイテク産業に特化すればエネルギー消費が減り、電気代が高くなってもいいと思っていたわけだ。彼は日本には珍しい「大きなビジョン」を語る政治家であり、この考えはその後も変わっていないだろう。だがその後、世界の現実は大きく変わった。ハイテク産業こそ最大の電力集約産業になったのだ。

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死の恐怖を克服する「賢者の石」はあるのか

自殺について (角川ソフィア文庫)
子供のころ、自分も死ぬのだということに気づいて、毎日おびえていたことがある。その恐怖を解決するために本書を読んだが、「死によって人は世界の本質的な「意志」に回帰する」というペシミズムによけい恐くなった。

死の恐怖は人間のもっとも強い感情だが、それが文献に出てくるのは意外に新しい。中世までの社会では、個人は共同体に埋め込まれていたので、人は死を自然に受け入れた。キリスト教では死後に永遠の生命が得られることになっているので、問題は死ではなく天国に行けるかどうかだった。

死が恐怖の対象になったのは、近代ヨーロッパで人々が神を失ってからだ。モンテーニュは死について考え続けて『エセー』を書き、パスカルは「無限の宇宙の永遠の沈黙が私をおののかせる」と書いた。

ヘーゲルは「絶対精神」によって人は神に同化し、永遠の生命を得ると論じたが、ショーペンハウエルはそれを否定するペシミズムを主張した。本書は彼の主著『意志と表象としての世界』の応用として自殺を考えたものだが、ここで彼は「死の恐怖を解決する賢者の石を手に入れた」と主張した。

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「大東亜共栄圏」はアジア諸国を解放したのか

大東亜共栄圏 帝国日本のアジア支配構想 (中公新書)
自衛隊の公式サイトが「大東亜戦争」という言葉を使ったことが問題になっているが、自衛隊では以前から使っていたようだ。これはGHQのプレスコードで禁止されただけで、占領はとっくに終わったのだから、GHQの指令を守る必要はない。

問題は「大東亜」という言葉に、独特のコノテーションがあることだ。これに「アジア侵略」という意味をもたせる人がいる一方、アジア諸国を欧米の植民地支配から解放したという人もいるが、どちらも正しくない。

この言葉を最初に使ったのは、1940年8月の松岡洋右外相の談話だが、当時はヨーロッパでドイツが破竹の快進撃を続けてフランスが占領され、イギリスが敗れるのも時間の問題だと思われていた。この情勢認識のもとに松岡は三国同盟を結び、世界を自給圏に分割しようとした。

これはブロック経済で、アメリカの「モンロー主義」は南北アメリカ大陸を一つの自給圏とする構想だった。それに対して日本は太平洋の西側を自給圏とし、ドイツを中心とするヨーロッパの自給圏と、それぞれの圏内の権益を相互承認する条約を結ぼうというのが松岡の構想だった。

ここではアジア諸国は、日本の支配下にある保護国であり、民族自決の原則は認めなかった。各国の民族独立運動と連携して旧宗主国を日本軍が追放したが、代わりに日本軍がその国に駐留した。各国は日本軍にとっては自給圏の階層秩序の一部だったが、彼らにとっては日本軍は完全独立をさまたげる存在だった。

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プラトンは「哲人政治」を理想としたのか

国家 上 (岩波文庫)
本書は英米圏の1000人の哲学者が選んだ西洋哲学の古典の第1位に選ばれた。これはそれほど意外な結果ではないが、最後まで読んだ人はほとんどいないだろう。

私も学生時代に読んだが、挫折した。古典の第2位に選ばれたカントの『純粋理性批判』は、いかにも哲学書という文体で論理的に書かれているが、本書はカジュアルな対話で話が進められ、どこまでがプラトンの思想かよくわからないからだ。

その中のソクラテスの話がプラトンの意見だと考えると、ポパーのようにプラトンは「哲人政治」という独裁制を理想とした全体主義者だということになるが、これは疑問である。むしろこの対話篇は一種の演劇であり、登場人物の話は問題を多面的に描くものだ、という林達夫やレオ・シュトラウスの見方に共感を覚える。

哲人政治は第5巻の最後(邦訳の上巻p.405以降)に出てくるだけで、系統的に論じられているわけではない。それを基礎づける論理として、有名な「洞窟の比喩」でイデア論が語られるが、これも比喩としては成り立っていない。人々がみんな洞窟の中にいて、哲学者だけが太陽を見ているという根拠はない。

だがそれに続いて出てくる民主制の批判は、具体的で説得力がある。民主制は必然的に衆愚政治になり、僭主(独裁)に行き着く。それを生み出すのは「雄蜂」のようにうるさく騒ぎ回り、人々を煽動するデマゴーグだ。そして僭主の独裁が成立すると、それは二度と元の民主制には戻らない。

つまり哲人政治論は、現実の(プラトンの生きていた時代の)アテネの民主制末期の混乱に対する皮肉だったのではないか。ポパーも批判するように哲人が誤ることはないというプラトンの無謬主義はおかしいが、同じことは民衆にもいえる。主権者たる国民はつねに正しいというのもフィクションである。

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再エネTFが反対する「容量市場」って何?

4月から容量市場がスタートしました。といっても一般の消費者には何のことかわからないと思いますが、いま話題の再エネタスクフォースは、これにしつこく反対してきました。それはなぜでしょうか。ジェミニにきいてみました。

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再エネが原子力より安いなら賦課金はいらない(アーカイブ記事)

2011年5月24日の記事の再掲です。

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参議院行政監視委員会で、孫正義氏のプレゼンテーションが行なわれた。他の参考人のように原子力の専門家でも地震の専門家でもない彼が国会で意見を述べるのは奇妙だが、その内容には去年の「光の道」と同じく論理的な穴がある。

去年、私は孫氏とUstreamで議論した。彼は「アクセス回線会社」をつくって銅線をすべて強制的に光ファイバーに取り替えれば通信料金が下がると主張した。

私は「その会社の株主は誰で、経営者は誰なのか。あなたの計算が間違っていたら、誰が赤字を補填するのか」と質問したが、彼はその質問に答えないまま延々と自説を展開した。その結果、総務省のタスクフォースでもソフトバンク案に賛成する委員は一人もいなかった。続きを読む

自然エネ財団が民主党政権をだました史上最大の「再エネ詐欺」

国民民主党が、自然エネルギー財団の疑惑を追及している。これは2011年8月にソフトバンクの孫正義社長が10億円を出資して設立された財団である。



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川勝平太氏の「鎖国」論(アーカイブ記事)

日本文明と近代西洋―「鎖国」再考 (NHKブックス)
静岡県知事を辞任すると表明した川勝平太氏に批判が集まっているが、どさくさまぎれに彼の学問的業績まで否定するのは感心しない。彼の「海洋史観」には疑問があるが、専門分野だった江戸時代の経済史については、国際的な視野から「鎖国」を評価していて傾聴に値する。

ヨーロッパで資本主義が急速に発達した17~9世紀に、日本は鎖国の保護主義で世界から大きく遅れをとったといわれるが、自国の産業を関税などで保護する政策は、イギリスをはじめ世界中の国が行なった。日本が(一部の国を除いて)貿易の禁止という方法をとったことは特異だったが、それ自体は大きな損失になったわけではない。本書も指摘するように、当時のヨーロッパに日本に売り込む商品はなかった。

18世紀までヨーロッパは、アジアに対して貿易赤字だった。彼らがアジアから輸入した商品は、胡椒、香辛料、茶、砂糖、綿織物、タバコ、陶磁器など数多かったが、輸出したのは主として銀だった。つまり西洋諸国は新大陸で採掘した銀で、東洋から多くの商品を買ったのだ。逆に東洋人が買うものはほとんどなかった。
 
銀の流れをみても中国やインドは大幅な流入超で、イギリスは流出超だった。イギリスはインドから綿織物を輸入しており、自国産業をまもるためにその輸入を禁止したほどだ。だから日本がもし17世紀に開国していたとしても、西洋から輸入するより輸出するほうが多かっただろう。
 
むしろ鎖国の直接的な影響は、世界市場を席巻していたアジア製品への依存を断ち切ることだった。特に当時の国際商品だったインドの綿織物を輸入禁止して、国内で生産した。これは輸入品を国内産業で生産する輸入代替工業化であり、この点ではイギリスの綿工業も同じだった。彼らもインドからの輸入を遮断しているうちに、綿織物を自力で生産できるようになったのだ。違うのは、そこから先である。

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映画「オッペンハイマー」は何を言いたかったのか



アカデミー賞受賞で話題の映画「オッペンハイマー」を見た。結論からいうと、日本人が見ても半分もわからないだろう。原爆の映画だが広島・長崎が出てこないという批判がよくあるが、そんなことはどうでもいい。この映画のテーマは、そんなことではないからだ。

主人公オッペンハイマーは原爆を開発する「マンハッタン計画」のリーダーとしてよく知られた物理学者だが、戦後、水爆の開発に反対し、ソ連のスパイ容疑で原子力委員会から追放された。映画ではオッペンハイマーが原爆を開発した自責の念や、ルイス・ストローズ(のちの原子力委員長)との葛藤で、赤狩り時代のアメリカ社会が描かれる。

たくさん人物が出てくるが、日本語版では人物の名前がほとんどないので、背景がよくわからない。おまけにフラッシュバックで白黒とカラーの映像が出てくるのだが、白黒が戦前ではなく戦後だったりして、時系列がわかりにくい。

ただ言いたいことはわかる。敵役として登場するストローズは、アメリカの核戦略を立案した人物である。彼は水爆を開発して政権の中で出世しようとし、それに反対するオッペンハイマーをFBIに告発する。

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