エネルギー

「東京大停電」は起こるか

東京大停電 電気が使えなくなる日
地震は避けられないが、大停電は避けられる。北海道大停電は避けられた事故だった。苫東厚真発電所に過度に依存した北海道電力の運転管理にも問題があったが、最大の原因は3・11前には北海道の電力供給の半分以上を占めた泊原発が動かせないことだ。こういう「片肺飛行」の状況は全国で同じなので、大停電のリスクは他の地域にもある。

東電の送電能力は北電の10倍以上あり、他の電力会社からも電力の融通を受けられるので、首都圏全体が大停電にはならないだろうが、ぎりぎりの状況は同じだ。今年1月下旬、大寒波で東電の電力使用率は99%を超え、融通でしのいだ。この状態で大きな火力発電所が事故で止まると、ブレーカーが落ちるように「東京大停電」が起こる可能性がある。

このように電力供給が綱渡りになった一つの原因は電力自由化だ。太陽光や風力のように安定供給の責任を負わない事業者と競争するには、電力会社も送電網に余裕をもたせないでぎりぎりにするしかない。だが短期的な原因は、運転できる原発を運転していないことだ。ところが本書は原子力の問題から逃げるので「電源を多様化せよ」という一般論になってしまう。

続きは9月10日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

冬までに泊原発を再稼動して命を守れ



北海道の地震による大停電は復旧に向かっているが、今も約70万世帯が停電したままで、事故を起こした苫東厚真火力発電所はまだ運転できない。古い火力発電所を動かしているが、ピーク時の需要はまかないきれないため、政府は計画停電を検討している。北海道の電力は足りてないのだ。北海道の電力供給がぎりぎりで危険な状態にあることは、以前から多くの専門家が指摘してきた。

続きはアゴラで。

泊原発が動いていたら大停電は避けられた

北海道は地震によって全世帯が大停電という前代未聞の事態になったが、これは地震の発生した午前3時の消費電力300万kWのうち、震源に近かった苫東厚真火力発電所(165万kW)の送電設備が壊れて3基がすべて送電できなくなり、その影響で他の火力発電所も送電を停止したためだ。本州との連系線も(起動する電力がなくて)動かなかった。

この直接の原因は苫東の変電所に事故が起こって送電網から切り離され、周波数が低下したことだ。電力網は需要と供給が一致しないと周波数が乱れ、設備が壊れるおそれがあるため、送電が自動的に遮断される。このため苫東につながっていた他の系統も、連鎖的に停止したものだ。苫東に負荷を集中させた北海道電力のマネジメントにも問題があるが、これを「電源の分散配置を怠った」と批判するのは筋違いだ。

供給が不安定になる最大の原因は、泊原発(207万kW)が安全審査中で動かせないことだ。泊が動いていれば深夜のベースロードを供給するので、苫東が落ちても全道に波及することはなかっただろう。泊は震度2だったので、緊急停止しなかったはずだ。分散配置した電源の半分が動かせない「片肺飛行」が、今回の事故の原因だ。

しかし泊の安全審査は、今年の冬までには終わりそうにない。原子力規制委員会が「12~3万年前から断層が動いたかどうか」を調査しているからだ。真冬の北海道でまた大停電が起こったら、多くの凍死者が出るだろう。人命尊重の観点から優先すべきことは何か、安倍政権が決断するときではないか。

続きは9月10日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

被害者の再生産する「風評差別」の構造

福島のトリチウム水をめぐって、反原発派も最近は「危険だ」とはいわなくなった。トリチウムは環境基準以下に薄めて流せば人体に害はなく、他の原発ではそうしている。福島第一原発でも事故までは流していた。それをゼロにしろという科学的根拠はない。その代わり彼らがいうのは「風評被害で魚が売れなくなる」という話だ。

これを聞いて私が思い出したのは、子供のころの出来事だ。私の実家は京都の大きな被差別部落の隣にあり、子供のころよく差別事件が起こった。中でも根強く残ったのが結婚差別だった。このとき親が反対したのは「部落出身者と結婚してはいけない」という理由ではなかった。「私はかまわないが世間には偏見がある」という理由だった。

続きはアゴラで。

トリチウム水を止めているのは福島県漁連だ



福島第一原発に貯蔵された「トリチウム水」をめぐって、経産省の有識者会議は30日、初めて公聴会を開いた。これはトリチウム貯蔵の限界が近づく中、それを流すための儀式だろう。公募で選ばれた14人が意見を表明したが、反対意見が多数を占め、福島県漁連の野崎会長は「海洋放出されれば福島の漁業は壊滅的な打撃となる」と反対した。

福島第一原発で1000基近いタンクに貯水されているトリチウム水は92万トン。それを毎日5000人が取水してタンクに貯水する作業をしている。他の原発ではトリチウムを環境基準以下に薄めて流しており、福島だけまったく流さないことには科学的根拠がない。

続きはアゴラで。

地球温暖化といかに共存するか



きのう放送した言論アリーナでは、杉山大志さんと有馬純さんとともに地球温暖化を経済問題として考えた。今後、地球温暖化が起こることは確実で、その一部が人為的な原因によるものであることも確実だが、そのリスクははっきりしない。

続きはアゴラで。

核燃料サイクルをめぐる経産省と電力会社の攻防

電力と政治 上: 日本の原子力政策 全史
原子力の問題は、政治の問題である。だから「電力と政治」の関係を学問的に解明することは重要だが、政治的なバイアスをまぬがれることはむずかしい。『日本の原子力外交』はその貴重な例外だが、本書は第2章が「活発化する反原発運動と暗躍する原子力ムラ」と名づけられているように、バイアスを隠そうともしていない。

中身も新聞記事の孫引きばかりで、学問的オリジナリティはないが、網羅的な新聞の切り抜き帳としては便利だ。特に重要な転換点となった2003年の核燃料サイクル見直しについては、電力会社の中でも意見がわかれていたことを指摘している。技術部門は核燃料サイクルを推進しようとしたが、企画部門は採算性に疑問をもっていた。

最初に核燃料サイクルを止めようとしたのは、電力会社だった。2002年5月に、東電の荒木会長・南社長・勝俣副社長が、経産省に六ヶ所村再処理工場の稼働中止を申し入れ、広瀬事務次官と大筋で合意したという。ところが8月に原発のトラブル隠しが発覚し、後任の村田事務次官が荒木と南を辞任に追い込んだため、話がこじれた。

2003年には資源エネルギー庁と電力会社の首脳が、核燃料サイクル撤退について何度も会合を開いたが、物別れに終わり、電力会社は再処理コストを電気料金に転嫁しようとした。経産省はこれに反対し、「19兆円の請求書」をマスコミに配布して、核燃料サイクルをつぶそうとした。これに対して電力会社は自民党の族議員を使って反撃し、戦いは経産省の敗北に終わった。

続きは9月3日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

福島第一原発のデブリ処理は「石棺」方式で

福島第一原発のデブリ(溶融した核燃料)について、東電は「2018年度内にも取り出せるかどうかの調査を開始する」と発表したが、デブリは格納容器の中で冷却されており、原子炉は冷温停止状態にある。放射線は依然として強いが、暴走する危険はなく、今はほぼ安定した状態である。これを取り出す作業は、強い放射線を浴びて危険だ。

そもそもデブリを取り出す必要はない。チェルノブイリ原発と同じように「石棺」方式で密閉すればいいのだ。チェルノブイリの新しい石棺は写真のような高さ約100mのアーチ型のシェルターで、少なくとも100年間は放射性物質を封じ込められるという。コストは21億5000万ユーロ(約2800億円)で、8兆円かかる福島の「廃炉」とは桁違いだ。

cherno

続きはアゴラで。

核兵器の製造は「悪魔の証明」か

原子力委員会がプルトニウムの利用指針を15年ぶりに改正し、「プルトニウム保有量の削減」を初めて明記した。その根拠は使用ずみ核燃料のプルトニウムが核兵器に転用できるといわれているためだが、これは本当だろうか。この問題について原子力委員会のメルマガで、岡芳明委員長はこう書いている。
商業用プルトニウムでは核爆弾はできないとの意見が国内にあるが、できないことの証明は悪魔の証明と言われているように無理である。のみならず、核爆弾製造経験のない日本が核爆弾は作れないということ自身が無理である。「民生用プルトニウムで核爆弾ができないと思っているのか」と米国人にからかわれた経験があるが、もしそう述べている日本の原子力関係者がいるとしたら恥ずかしい事である。核燃料サイクルに携わる日本の原子力専門家はよく勉強し論理的に考えてほしい。
核兵器ができるかどうかは(存在しないものを示す)悪魔の証明ではない。一般論として、プルトニウムを起爆できれば、核兵器をつくることはできる。問題は起爆装置も含めた「実用的な核兵器」ができるのかということだ。日本にある商業用のプルトニウムでは核兵器として使える爆弾はできない、というのが河田東海夫氏などの専門家の証明である。

この問題について、日本でも有数の専門家に聞いてみた。一つの疑問は「原子炉級プルトニウム(プルトニウム239の純度60%以下)を濃縮して兵器級プルトニウム(純度93%以上)に変えることができる」という田母神俊雄氏などの議論だが、これは誤りである。ウランとプルトニウムは違うのだ。

続きは8月27日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

サマータイムは不可能である

サマータイムについて賛成論はほとんどないが、反対論は山ほどある。特に問題は情報システムの時刻設定で、深刻な事故が発生するおそれがある。これについて立命館大学の上原哲太郎氏のスライドが技術的な問題をまとめているので、紹介しておこう。


続きはアゴラで。






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