エネルギー

ESG投資って何?

このごろ世の中は「脱炭素」や「カーボンニュートラル」でにぎわい、再生可能エネルギーとか水素とかアンモニアとか、いろんな話が毎日のようにマスコミに出ています。それを後押ししているのがESG投資ですが、その意味がわからない人も多いと思います。

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なぜ2050年カーボンニュートラルなの?

政府は「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、「2030年CO2排出46%削減」という目標を決めましたが、それにはたくさんお金がかかります。なぜこんな目標を決めたんでしょうか。

Q1. カーボンニュートラルって何ですか?

図1のように今のまま何もしないと、地球の平均気温は2030年~50年ごろ1.5℃上がると予想されています。ここで温暖化を止めるには、2050年までに温室効果ガス(その8割がCO2)の排出を実質ゼロにする必要がある、とIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の特別報告書は書いています。

図1 IPCC特別報告書より

この実質ゼロというのは森林などで吸収する分を引いて計算するので、「炭素中立」、つまりカーボンニュートラルというむずかしい言葉を使うのです。2050年にゼロにするには、2030年に半分ぐらい減らす必要がありますから、政府の46%目標は、1.5℃目標に対応しています。

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再エネは「主力電源」にはなれない

「脱炭素」は嘘だらけ
原子力は、かつて夢のエネルギーだった。ウラン1kgが核分裂反応で発生する熱は、石炭1kgの300万倍。自動車が馬車を駆逐したように原発が火力を駆逐するのは時間の問題だと思われたが、現実にはそうはならなかった。予想以上に安全設計のコストが上がったからだ。

技術には学習効果(ラーニングカーブ)があるが、一定の段階に達すると、本質的ではないコストが上がるネガティブ・ラーニングが起こるといわれる。火力では公害防止コスト、水力では立地コストが上がり、限界に達した。

同じようなネガティブ・ラーニングが今、再生可能エネルギーにも起こっている。太陽光や風力は、それが補完的な電源だったときは、送電網は電力会社にただ乗りしてFITで100%買い取ってもらえる楽なビジネスだったが、主力電源になるとそうは行かない。

太陽光や風力のシェアが増えると、蓄電・送電システムを維持する統合費用が大きくなる。次の図は経産省の有識者会議に提出されたRITEの資料だが、総発電量に占める太陽光の比率が50%を超えると統合費用が急激に上がり、700ドル/MWh(80円/kWh)に達する。これは現在の電力小売り価格の4倍である。

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再エネの統合費用(RITE)

メガソーラーも風力も、森林破壊に対する反対運動や規制が制約になっている。こうして再エネのコストが上がると、FITなどの補助金でゲタをはかせても、他の電源と競争できなくなる。経験的には電源比率の20%ぐらいで限界が来るので、電源の17%になった再エネは、そろそろ限界だろう。

再エネ100%なんて不可能だし、その必要もない。アップルなどが「再エネ100%でない調達業者は排除する」というのも偽善である。雨の日も工場は稼働するのだから、これは「グリーン電力証書」のようなものを新電力から買うだけで、CO2削減にはまったく貢献しない。続きを読む

最悪の大気汚染物質は石炭ではない

政府は、石炭火力の海外建設の支援を打ち切る方針だ。小泉進次郎環境相は「高効率の石炭火力も含めて全面禁止する」という方針を表明した。国内では石炭火力の新設はゼロになったので、これは開発援助で石炭火力を認めないということだ。

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その被害者は途上国の貧しい人々である。電力の援助が止まったら、彼らは薪や木炭で生活しなければならない。世界では11億人が電力なしで暮らしており、30億人が薪や木炭を料理や暖房に使っている。WHOの推定では、毎年380万人が木材の煙による室内汚染で死亡しているのだ。

石炭火力の禁止は、こうした最貧国の室内汚染を増やして貧しい人々の命を奪うだけではない。森林破壊の最大の原因は燃料にするための木材の伐採であり、その脅威は石炭火力よりはるかに大きい。電化は多くの命を救うのだ。CO2削減のために途上国の人々の生命を奪うのは本末転倒である。

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「2050年ネットゼロ」には消費税52%分の炭素税が必要だ

CO2排出を2050年までに「ネットゼロ」にするという日本政府の「グリーン成長戦略」には、まったくコストが書いてない。書けないのだ。まともに計算すると、毎年数十兆円のコストがかかり、企業は採算がとれない。それを実施するには、政府の補助が必要だが、そんな財源はない。



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カーボンニュートラルは21世紀の三国同盟



きのうの言論アリーナの山地憲治さん(RITE副理事長)の話で印象に残ったのは「カーボンニュートラルは本当に世界の潮流なのか」という話だ。地球温暖化が起こっていることは事実であり、何もしないと海面上昇や異常気象などの災害が増える可能性はあるが、それは世界のすべての国が何より優先すべきアジェンダなのか。

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「2050年ネットゼロ」で電気代は2倍になり、製造業は消える

第6次エネルギー基本計画の検討が始まった。本来は夏に電源構成の数字を積み上げ、それをもとにして11月のCOP26で実現可能なCO2削減目標を出す予定だったが、気候変動サミットで菅首相が「2030年46%削減」を約束してしまったので、それと整合的な電源構成を考えるのは大変だ。

46%削減は「2050年ネットゼロ」(温室効果ガス排出実質ゼロ)の論理的な帰結だが、それを資本主義で実現するのは不可能だ。地球環境産業技術研究機構(RITE)の計算した2050年カーボンニュートラルのシナリオ分析(中間報告)では、次のようなシナリオが提示されている。



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地球温暖化って何?

政府は「2050年カーボンニュートラル」という方針を決めました。これは「2050年までに温室効果ガス(特にCO2)の排出を実質ゼロにする」という意味で、そのために2030年までに46%減らすことになっています。これは地球温暖化を防ぐためということですが、どういう意味でしょうか?

Q1. 温暖化の原因は人間の活動なんでしょうか?

東大には去年「グローバル・コモンズ・センター」ができて、そのダイレクターの石井菜穂子さんは図1のようなスライドで「人類が地球環境危機を起こした」といっていますが、これは変ですね。


図1(東大グローバル・コモンズ・センター)

「完新世」というのは今から1万1700年前に氷河期が終わり、人類が定住し始めた時代ですが、地球の平均気温もその時期に大きく上がっています。でも1万年前に人間の出すCO2は微々たるものだったので、この図は地球温暖化が始まった原因は人間活動ではなかったことを証明しています。その逆に、温暖化で大気中のCO2が増えたのです。

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「グリーン中央銀行」は世界経済の大きな損失を招く

Project Sydicateが、中央銀行が気候変動を金融政策の目的にすべきかどうかという特集を組んでいる。

Daniel Grosは反対派である:中央銀行の目的は物価安定と金融システムの安定であり、気候変動はどっちにも関係がない。ESG投資と称して特定の企業の債券を買うのは、中央銀行が所得分配に介入するものだ。「市場の失敗」を補正するのは政府の役目であり、国民の負託を受けていない中央銀行がやるのは越権行為である。

Eichengreenは賛成派である:中央銀行はもう昔の中央銀行ではない。それはコロナで(よくも悪くも)政府の一部になったのだから、財政政策を回避する必要はない。金融システムの安定という観点からも、気候変動対策を怠っていると、そのうち急激な対策が必要になり、経済の安定性をそこなう。

これはNGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)の見解でもある。次の図の上のように2070年ネットゼロの「秩序ある移行」をすればいいが、それを怠ると2050年以降にCCSのような不合理な技術が必要になり、「無秩序な移行」で金融システムの安定性をそこなうという。

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それによると温暖化を放置して、地球の平均気温が2100年に産業革命以後3℃上昇したら、図の下のように世界のGDPは最大で累計25%も減るというのだが、このデータは経済成長と金利を無視している。続きを読む

地球の平均気温が1.5℃上がると何が起こるのか


小泉進次郎環境相の「46という数字がシルエットのように浮かんできた」という発言がネタになっているが、これは彼にレクチャーしなかった環境省の官僚が悪い。46という数字には根拠があるのだ。

次の図のようにIPCCの1.5℃特別報告書では、2050年にCO2排出をゼロにするには、2030年までに排出量を2010年水準から45%削減する必要があると書いている。

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IPCCによると地球の平均気温を産業革命前から1.5℃上昇におさえるためには2050年に温室効果ガス排出ネットゼロが必要なので、その中間目標として2030年には45%削減が必要である。だから46%には(できるかできないかは別にして)政治的根拠があるのだが、問題はその1.5℃に根拠があるのかということだ。

2015年のパリ協定では2℃上昇という目標を設定したのに、それを1.5℃に変更した理由についてのIPCCの説明はわかりにくい。今すでに1℃上昇しているので、平均気温をあと0.5℃上昇におさえるためには、こういう非現実的な政策を想定せざるをえない。1.5℃以上になったら、具体的に何が起こるのだろうか?

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