エネルギー

原発事故のコストを新電力に負担させるのは憲法違反だ

経産省は、福島第一原発事故の賠償や廃炉の費用を託送料に上乗せし、新電力にも負担させる案を有識者会合に提示した。経産省は「事故被災者への賠償費用は過去に事故に備えてすべての電力利用者の料金に上乗せしておくべきだった」と非論理的な理由をつけているが、それは役所の過失である。

これまでも原子力損害賠償・廃炉等支援機構は、東電の事故の賠償費用を他の(事故と無関係な)電力会社に負担させており、立法の際に内閣法制局が「財産権の侵害だ」と難色を示した。経産省は「保険」という名目でごまかしたが、事故後に払う保険料などというものはない。今回の案はそれを新電力にも拡大するもので、明らかに憲法29条に定める財産権の侵害だ。

このような筋違いのコスト負担が今まで続けられてきたのは、経産省の責任転嫁に文句をいえない電力会社が黙っていたからだが、今度は新電力も対象だ。役所に遠慮しないで、行政訴訟を起こすべきだ。

続きは11月14日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

核燃料サイクルのオプション価値

Antifragile: Things that Gain from Disorder
GEPRに書いたコラムを、少し学問的に説明しておこう。ここで書いたのは、経済学でいうナイトの不確実性である。これは定量化できるリスクとは区別される概念で、金融危機や戦争のように、予想できないが起こると大変な出来事をいう。

これはタレブのいうantifragileの問題で、ざっくりいうと最悪の事態が起こっても壊れないようにシステムを設計することだ。従来の経済学の概念でいうと、オプション価値を高めることに近い。核燃料サイクルの失敗の原因は、原子力村でも「規制の虜」でもなく、物理学者が技術の期待値を予想できると考え、失敗したときのオプションを考えなかったことだ。

続きは11月7日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

原発から原爆はつくれるのか



私が初めて原発の取材をした1980年ごろは、ゲンパツという言葉を使うのは反対派だけで、電力会社は「原電」と呼んでいた。原発という略称は、原爆とまぎらわしく聞こえるように反対派がつくったものだ。先日の専門家との討論会では、この番組の後のオフレコの部分で「使用ずみ核燃料から原爆はつくれるか」が話題になった。

結論からいうと、理論的にはつくれるが、実際にはきわめて困難だ。使用ずみ核燃料を再処理して原子炉級プルトニウムを抽出すると、原爆をつくることはできるが、核弾頭は無理だという。これ以上は微妙な問題があるので、10月31日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

「もんじゅ」のあと核燃料サイクルをどうするか

高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉決定を受けて、7日に政府の「高速炉開発会議」の初会合が開かれた。議長の世耕弘成経済産業相は冒頭で「高速炉の開発は必要不可欠だ」と述べた。これは高速増殖炉(FBR)に限らず広く高速炉(FR)を開発することを示唆しており、FBR一本槍の従来の方針からは一歩前進だ。

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しかし全量再処理という方針は維持し、次世代についてもフランスと共同開発の始まっている高速増殖炉ASTRIDに一本化するようだ。これではまたもんじゅと同じ過ちを繰り返すおそれが強い。根本的な問題は、核燃料サイクルが前提にしている天然ウランの埋蔵量が正しいのかということだ。

続きは10月10日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

もんじゅの死刑宣告



高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉がやっと決まった。私も昔から言ってきたように、今までいくら投資したかはサンクコストで、考えるべきではない。しかしこの番組で澤田さんも言っているように、研究開発拠点としてのもんじゅには意味がある。もんじゅが問題を起こすのは運転しているためで(広義の)高速炉の研究開発に純化すればよい。

ただ核燃料サイクル全体をやめるかどうかは別の問題だ。サンクコストを忘れて今後のキャッシュフローだけ考えても、化石燃料の消費をこれから増やすべきかどうかは疑問がある。たとえば炭素税を5000円/トンぐらいにすれば、原発のほうが火力発電より安い。

続きは9月26日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

ドイツの失敗の後を追う日本



日本とドイツは第2次大戦の「負け仲間」だが、国民性にも似た面が多い。ユーロ安と移民流入のおかげで「ドイツ帝国」などといわれていたが、最近は一人あたり実質GDPでみるとほとんどゼロ成長で、日本と大して変わらない。おまけにイスラム系移民が問題を起こし、メルケル政権は危機に瀕している。

「インダストリー4.0」などというバズワードもドイツがはやらせようとしたが、日本人ぐらいしか使わない。これも「すり合わせ」みたいな古い話で、ITの世界ではドイツも日本も劣等生だ。エネルギー問題でも脱原発という誤った選択をし、間違いに気づいたが後戻りできない。ヒトラーが13年も政権にいた「惰性」の強さもよく似ている。

それでもドイツは日本のようにいきなり原発を全部止めたのではなく、20年かけて徐々に減らす計画だ。その代わり再生可能エネルギーに補助を出したら、電気代が2倍になってしまった。さらにそのバックアップに褐炭を使うので、大気汚染の死者は増えてしまった。日本でも、これから同じことが起こるだろう。

続きは8月29日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

九電は三反園知事の脅しに屈服するな


鹿児島県の三反園訓知事が、九州電力の瓜生社長を県庁に呼び出し、川内原発1、2号機の停止を求め、「県民の不安の声に応えて再点検してほしい」と要請書を手渡した。原子力規制委員会が1年以上かけて安全審査してOKを出した原発を停止して、何を「再点検」しろというのか。点検した結果がどうなら原発を動かすのか。何もわからない。

続きはアゴラで。

首相にも知事にも原発を止める権限はない

原発の運転については、厳格な規制が存在する。原発の運転停止命令を出せるのは、原子力規制委員会だけだ(原子炉等規制法43-3-20-2)。首相にも都道府県知事にも、原子炉を止める権限はない。知事の権限は、原発を新設するときの建設同意だけだ。

続きはアゴラで。

立憲主義に反する志賀原発への死刑宣告

もしある日、あなたの家に区役所の人が来て、こう言ったらどうするだろうか。
  • 区役所「建築基準法が改正されて、断層の上に家を建ててはいけないことになりました。あなたの家の地下に12万年前に動いた断層があるらしいので、家を取り壊します」
  • あなた「私の家を建てた20年前には、建築基準法にもとづく建築確認をもらって建てたんですよ」
  • 区役所「法律が変わって、昔建てた家にもさかのぼって適用することになったんです」
  • あなた「それは法律の第何条に書いてあるんですか?」
  • 区役所「書いてありません。有識者会合で決まったんです」
  • あなた「その有識者会合の決めたことに区役所は従えと法律に書いてあるんですか?」
  • 区役所「書いてありません。区役所がそう決めたんです」

続きはアゴラで。

科学を無視して「安心」を求める民進党

毎日新聞によれば、あす民進党の江田憲司代表代行は「周辺のみなさんが不安に思っているから」川内原発を止めろと政府に申し入れるらしい。

しかし原子力規制委員会はきょう臨時会合を行ない、「現状では停止する必要はない」と決定した。田中俊一委員長は「科学的根拠がなければ、国民や政治家が止めてほしいと言ってもそうするつもりはない」と述べた。政治からの独立性を保証された三条委員会では、委員長以外に停止命令を出す権限はない。

無知な共産党も「予防的に停止しろ」などといっているが、原子炉は一定の地震動を検知したら自動的に停止する。次の表のように川内原発直下の最大加速度は8.6ガルで、原子炉が自動停止する80ガルを大幅に下回っている。

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続きはアゴラで。






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