池田信夫 blog

エネルギー

2012年02月14日 12:09

「死の灰」の神話

日本は唯一の被爆国であり、放射能について過敏になることはやむをえない。しかし原子力には数々の神話があり、それを疑うことはタブーとされてきた。その一つが「死の灰」と呼ばれる放射性物質の影響である。

広島には原爆の投下後2週間ぐらいで多くの人が市内に戻り、仮設住宅が建ち始めた。こうした入市被爆者は残留放射線を浴びたと考えられるが、中川恵一氏も指摘するように、彼らの平均寿命は日本人の平均より長い。特に広島市の女性の寿命は日本一長く、死産率は全国最低である。これは被爆者手帳で健康が管理され、医療が無料化されたことも大きいが、被爆者が放射能を恐れないで住み続けたことがよかったのだろう。

核実験による「死の灰」の影響も過大評価されている。その象徴が、1954年に起こった日本の漁船「第五福竜丸」の事件だ。ビキニ環礁で行なわれた水爆実験で船員23人が強い放射線を被曝し、久保山愛吉無線長が死亡した。これは当時「死の灰の犠牲者」と報道された。

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2012年02月12日 00:53

内部被曝についての誤解

河野太郎氏がブログで、「震災がれきQ&A」を書いている:
Q セシウムによる内部被曝と飛行機に乗った時の外部被曝を比べることに意味がありますか。

同じ放射線量を被曝したら、内部被曝も外部被曝も健康への被害は同じです。3300ベクレル/kgのセシウムを含む食べ物を1kg食べた場合の健康への害[4.3μSv]は、飛行機で東京-ニューヨークを往復した時の健康への影響[200μSv]よりも少ないことを表します。

Q セシウム137の半減期は30年なので食べたら体内に残り続けるのではないですか。

A セシウム137は尿と一緒に排出され、乳児は9日、大人でも3ヶ月で体内の量が半分になります。セシウムは身体の中に溜まることはありません。
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放射線の話はほとんどの人には興味ないと思うが、一部の声の大きい人がそのリスクを激しく主張するため、科学者が萎縮し、行政が過剰反応する。今週のGEPRで松田裕之氏も指摘するように、4月から食品の暫定規制値を500Bq/kgから100Bq/kgに強化する厚労省の規制は、福島県の農産物をほぼ全面的に禁止する結果になり、復興を阻害する。

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2012年02月05日 10:40

瓦礫を拒否するエゴイズム

RUBBLE_MAP_Dec2011反原発は人々の私的な利害を超えて「正義」に訴える運動だと思っていたが、どうやら最近は単なる地域エゴになったようだ。放射能を拡散させない市民の会なる団体は、全国の自治体の瓦礫受け入れ状況を地図に表示して組織的に反対運動をしている。

河野太郎氏も説明するように、被災地のほとんどは原発事故の影響を受けていないのだから、被災地の瓦礫をすべて拒否するのは筋が通らない。実際の線量も、東京や横浜と変わらない。それを移送する先がないと瓦礫や汚泥が除去できず、被災地の復旧が行き詰まってしまう。去年は原発への恐怖をあおった橋下徹市長も、瓦礫の放射線は問題ないレベルだと説明している。

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朝日新聞は「プロメテウスの罠」に続いて「電力のかたち」という連載を始めた。電力自由化は結構なことだが、これは原発の是非とは別の問題だ。それを「原発、家庭の選択を縛る」などと混同し、「悪い電力会社をこらしめる」という発想で発送電分離を語るのは間違いのもとである。


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2012年01月25日 21:26

LNT仮説について*

私はもう興味ないのだが、安富歩氏の妄想はまだ続いているようだ。これは彼の特殊な思い込みなので取り上げる価値はないが、LNT仮説についてGEPRに新しい素材があるので紹介しておこう(非常にテクニカル)。

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放射線の話は基本的には決着がついているので、残った話はテクニカルになってしまう。うんざりしている方は無視してください。

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2012年01月22日 11:47

被害妄想が被害を拡大する

災害の被害というのは普通はサンクコスト(定数)なので、それを考えることは無意味なのだが、福島事故の直接的な被害はほとんどなく、二次災害の大部分は国の線量基準に依存する変数だから、今からでもそれを最小化できる。線量基準の過剰規制を見直して、被災者の帰宅を促進すべきだ。

他方、二次災害を最大化するのが早川由起夫氏のような被害妄想である。
  • 福島農民がいっせいに田んぼを耕した時点で、日本国に対して戦争を仕掛けたと私は判断した。無知とかやむを得ずとかは関係ない。殺意があったと解する。
  • 毒米を売りさばいて大量殺人ねらいなんですか。それは犯罪ですよ。
  • 責任一切持たない。一銭も補償しない。だから避難しろと口が裂けても言ってない。
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2012年01月20日 09:58

福島で健康被害は出ない


きのうのニコ生アゴラのテーマは「放射能」。高田純氏の現地調査による報告が中心だった。彼の結論は「福島で健康被害は出ない」。これは中川恵一氏の結論とも一致し、事故後に開かれた二つの放射線に関する学会でも同じ結論が出ている。福島県の健康管理調査の結果も同じだ。

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細かい話が続いて恐縮だが、放射線の影響を考える場合、何もかもごっちゃにして「わからないから恐い」と思考停止するのではなく、確定的影響と確率的影響をわけて考えることが重要である。

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田原総一朗と語ろう
原発「危険神話」の崩壊 (PHP新書)


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