エネルギー

「カーボン植民地主義」の敗北


COP26では、1.5℃目標が焦点になった。G20では中国とロシアとインドが反対して葬られた1.5℃目標が生き返った原因は、カリブ海など島国の支持だった。彼らは海面上昇の被害を受ける一方、石炭を禁止しても失うものがない。それを議長国イギリスを初めとする旧宗主国が利用したのだ。

しかしボリビア代表は「2050年ネットゼロを強要するカーボン植民地主義を拒否する」と宣言した。それに呼応して、旧植民地のインドが反撃したのが決定的だった。結果的には最終文書では1.5℃は努力目標にとどまり、石炭火力も"phasedown"という無意味な表現になった。

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飽食した欧州が途上国に石炭を禁止する「偽善の祭典」

COP26が閉幕した。最終文書は「パリ協定の2℃目標と1.5℃の努力目標を再確認する」という表現になり、それほど大きく変わらなかった。1日延長された原因は、土壇場で「石炭火力を"phase out"させる」という表現にインド代表が反対し、"phase down"という表現に修正したためだ。

これにシャーマ議長が謝罪して言葉を詰まらせたが、泣きたいのは途上国だろう。彼の生まれたインドでは、今も2億人が電力なしで暮らしている。世界では30億人が薪や木炭を料理や暖房に使い、毎年380万人が木材の煙による室内汚染で死亡しているのだ。

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グレタが告発する「グリーンウォッシュ」の偽善


COP26の会場の外で行われたデモのあと、環境原理主義のアイドル、グレタ・トゥーンベリはこう宣言した。
これはもはや気候会議ではない。北半球の先進国によるグリーンウォッシュの祭典だ。指導者は何もしていない。彼らは自分の利益のために抜け穴を作っている。拘束力のない約束はこれ以上必要ない。COP26が失敗であることは秘密ではない。

その通りである。水素やアンモニアを燃やすゼロエミッション火力などというのはまやかしだ。それは化石燃料を先進国で燃やす代わりに海外で燃やし、CO2排出源を付け替えて企業をグリーンに見せる「グリーンウォッシュ」にすぎない。CCSなどで炭素会計上「ニュートラル」にするのは膨大な浪費である。

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脱炭素バブルが「資源インフレ」を生みだす

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Economistのカバーストーリーは「不足経済」。今の世界的なインフレの原因は、コロナと脱炭素化と保護主義だという見立てだが、中でも深刻なのは脱炭素化の影響である。

FTも「ガス不足」を特集している。その最大の原因は、脱炭素化の中で石炭の生産が世界的に減少し、天然ガスの需要が増えたことだ。しかしヨーロッパは「ネットゼロ」をめざしているので、ガスへの設備投資は増えない。

このため当面はロシアからのパイプラインに依存せざるをえない。ロシアはこれを政治的に利用し、ガス価格を毎月変動させている。それに頼るヨーロッパは、ロシアの意向に従わざるをえない。ドイツ政府は、プーチンの反体制派弾圧に沈黙している。



しかし最大の敵はヨーロッパにいる。パリに事務局を置くIEAは今年5月、ネットゼロの報告書を発表し、「化石燃料への投資の中止」を呼びかけた。

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「寄生エネルギー」が起こす第2の石油ショック

ヨーロッパで、エネルギー危機が起こっている。イギリスでは大停電が起こり、電気代が例年の数倍に上がった。この直接の原因はイギリスで風力発電の発電量が計画を大幅に下回ったことだが、長期的な原因は世界的な天然ガスの供給不足である。

こういう現象は昨年から始まっていた。昨年末には世界的なLNG価格の上昇が起こり、日本でも電力危機が起こった。この原因は単なる寒波ではなく、ヨーロッパ各国政府が化石燃料への投資を抑制していることだ。今年も天然ガスの価格は、昨年末と同じレベルになった。


石油天然ガス・金属鉱物資源機構

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河野太郎氏の否定する「小型原子炉」は成長産業


ここで河野氏のいう「今年3月のIAEAのファクトチェック」というのはネット上には見当たらない。IAEAは2020年から3年計画でSMRの経済性評価をしている途中なので、今年そういう「ファクトチェック」を出すことは考えられない。

これはおそらく今年3月にJAEA(日本原子力研究開発機構)の出した世界のSMR開発状況というレポートのことだと思われるが、そのどこにも「割高でコスト的に見合わない」とは書いてない。

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河野太郎氏のエネルギー問題についての知識は周回遅れ



きのうの日本記者クラブの討論会は、意外に話が噛み合っていた。議論の焦点は本命とされる河野太郎氏の政策だった。

第一は彼の提案した最低保障年金が民主党政権の時代に葬られたものだという点だが、これについての岸田氏の突っ込みは的確で、消費税の増税は避けられない。河野氏の答は曖昧で「高所得者には支給しない」という程度では財源問題は解決しない。消費税を上げ、社会保険料を下げるという政策を明示すべきだ。

最大の争点は原子力だが、これについても河野氏の答は曖昧だった。特に「再エネのほうが原子力より安いということが明確になった」という認識(49:30前後)は、最近の再エネタスクフォースと同じナンセンスな話である。

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核廃棄物の問題を解決する超簡単な方法

核廃棄物は全国の原発に1万8000トンあり、使用ずみ核燃料プールの75%が埋まっている。これを再処理しないとプールがあふれて原発が止まる――という話がよくあるが、これは錯覚である。

使用ずみ燃料を中間貯蔵する場所はいくらでもある。各発電所のサイト内にキャスクを置いて乾式貯蔵すればいいのだ。四国電力の伊方原発と九州電力の玄海原発では工事が始まっている。



今は最終処分までの一時的な保管方法ということになっているが、このまま100年置いても200年置いてもかまわない。乾式貯蔵は1980年代にできた枯れた技術で、安全性は問題ない。空気が循環するだけで冷却できるので、何もしないで放置しておけばいい。

サイト内だから立地問題はなく、警備もできる。何か起こっても地上に置いてあるので、すぐ対応できる。再処理をやめたアメリカでは、原発の廃棄物はすべてこの方式で処理しているが、何の問題も起こっていない。

Fuel Storage
アメリカの発電所内のキャスク(connyankee.com)

つまり地下数百メートルに埋める「最終処分」は必要ないのだ。今まで最終処分は地層処分でやるという固定観念があり、「核のゴミ捨て場」になるのはいやだとか「10万年後の安全」がどうしたとかいう議論があるが、こんな話は無意味である。

最終処分地が見つからなくても、中間貯蔵地はむつ市や福島県など全国にあるので、そこにずっと置けばいい。六ヶ所村には300年分ぐらいの貯蔵スペースがあるので、地元との協定を改正して無期限に置けば、核廃棄物の問題は解決するのだ。それがヒッペルなどの提案である。

続きは9月20日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

河野太郎氏と石破茂氏は原子力をめぐって合意できるのか

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自民党総裁選挙で、石破茂氏が河野太郎氏を支援する方向になった。これで第1回投票で河野氏が過半数をとる見通しが強まったが、2人の間には原子力と核兵器をめぐる政策で大きな違いがある。この問題はややこしいので、超簡単に解説しておこう。

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河野太郎氏が核燃料サイクルを止めれば原子力はよみがえる



河野太郎氏の出馬会見はまるで中身がなかったが、きょうのテレビ番組で彼は「巨額の費用がかかる核燃料サイクル政策はきちんと止めるべきだ」と指摘し、「そろそろ核のゴミをどうするか、テーブルに載せて議論しなければいけない」と強調した。

青森県六ヶ所村の再処理工場は来年稼働することになっているが、河野首相になるとプラントそのものを解体することになるかもしれない。これは日本のエネルギー政策を根底からくつがえす大転換である。

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