エネルギー

使用ずみ核燃料を「安全なゴミ」として処理するとき

日米原子力協定が自動延長されたが、「プルトニウムを削減する」という日本政府の目標は達成できる見通しが立たない。青森県六ヶ所村の再処理工場で生産されるプルトニウムは年間最大8トン。プルサーマル原子炉で消費できるのは年間5トンが限界なので、今のまま再処理が始まるとプルトニウムは増えてしまう。

続きはアゴラで。

アメリカはなぜプルトニウムを警戒するのか



7月16日に日米原子力協定が自動延長される予定だ。政府は閣議決定で「プルトニウム保有量の削減に取り組む」と初めて明記したが、その見通しは立たない。プルトニウムを消費するプルサーマル原子炉の再稼動が進まないからだ。今は幸か不幸か青森県六ヶ所村の再処理工場がまだ稼働していないが、これが稼働するとプルトニウムは増えてしまう。

だがアメリカがこれほどプルトニウムに過敏になる根拠は不明だ。きのう「言論アリーナ」でも話したように、日本がいま保有している純度の低い「原子炉級プルトニウム」では、核兵器は製造できないからだ。技術的には「自爆核兵器」のようなものはできるが、軍事的には意味がなく、外交的には自殺行為である。

アメリカはカーター政権が1977年に核燃料サイクル廃止に方向転換し、世界各国にも再処理をやめるよう求めた。それは世界の原子力平和利用の根幹をゆるがす大転換であり、日本もヨーロッパも反対したが、その後もアメリカは一貫してプルトニウムの拡散を警戒してきた。その背景には何があったのだろうか。

続きは7月16日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

ビル・ゲイツと原子力の未来

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私が西和彦さんと一緒にビル・ゲイツに会ったのは、2011年9月だった。彼は第4世代原子炉に巨額の投資をしているが、原発推進派ではない。彼は気候変動が人類の最大の脅威だと考え、再生可能エネルギーにも投資したが、蓄電技術がボトルネックだった。

エネルギー産業は、ITの次の大きなフロンティアだ。アメリカでは古い地域独占の電力会社が残っているおかげで、イノベーションの余地は大きい。新興国はクリーンで安いエネルギーを求めており、重量あたり石炭の100万倍のエネルギーを出せる原子力には、非常に大きなポテンシャルがあるという。

「原子力についてのシンクタンクをつくりたい」という私の提案に対して、彼は「原子力技術や放射能の影響は科学的によくわかっているので、問題はそれを一般市民に伝えることだ。研究員を雇う必要はなく、ウェブサイトで情報を共有する仮想シンクタンクをつくるべきだ」といって寄付してくれた。その資金で設立したのがGEPRだ。

彼はPCソフトウェアで世界を変えた。そしてもう一度、原子力で世界を変えられると信じているが、その舞台は中国に移った。原子力の最大の問題は技術ではなく、政治だからである。

続きは7月9日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

中国が世界の原子力のリーダーになる


三門原発(CNNCサイトより)

最新鋭の「第3世代原子炉」が、中国で相次いで世界初の送電に成功した。中国核工業集団(CNNC)は、浙江省三門原発で稼働した米ウェスチングハウス(WH)社のAP1000(125万kW)が送電網に接続したと発表した。他方、広東省台山原発にできたフラマトム社の欧州加圧水型炉(EPR)175万kWも送電に成功したと発表した。

続きはアゴラで。

「ガイア」を守るエネルギーは何か

地球温暖化の問題には、科学的に不確実な要因が多い。「ガイア仮説」を提唱し、かつては地球温暖化の脅威を強く主張していたジム・ラブロックは、最近この点について考えを変えたという。

「地球温暖化の原因は人間の排出するCO2である」という因果関係が成り立つには、少なくとも次の事実を証明する必要がある。

 1.地球の平均気温が上がっている
 2.大気中のCO2濃度が上がっている
 3.CO2増加の原因は人間活動である

続きはアゴラで。

原子力の失われた半世紀

Fallout: Disasters, Lies, and the Legacy of the Nuclear Age
原爆と原発は別だが、無関係ではない。核分裂は最初は発電技術として研究されたが、1942年にルーズベルトがマンハッタン計画を立ち上げ、それからわずか3年で広島と長崎に原爆が投下された。その後も原子力は軍事技術として開発され、軽水炉も原潜の技術として普及した。このように政府が研究開発投資を負担したことが、原発が急速に普及した原因だ。

しかし軍事技術として開発されたことは、原子力の短所ともなった。軍事機密を理由にして事故が隠され、特にソ連では1957年の(おそらくチェルノブイリを上回る)キシュテム事故の存在さえ、ソ連が崩壊するまで秘密にされていた。英米でも「事故隠し」が行われ、秘密主義が疑心暗鬼をまねき、放射能の恐怖が誇張されるようになった。

本書は環境ジャーナリストが、世界の原子力の現場をたずねたものだ。著者は科学的データにもとづいて、核兵器以外の原子力は安全だと考えるが、その将来については悲観的だ。すべての人が合理的に判断するわけではない。放射線は目に見えないので、専門家の話を信用できない一般人が恐怖を抱くのは当然だ。原子力産業はこの半世紀で、社会の信頼を失ってしまった。

続きは6月25日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

プルサーマルで日米原子力協定は守れるのか



7月16日に日米原子力協定の30年の期限が来る。日本の電力会社が保有しているプルトニウム約47トンは最近ほとんど増えていないが、原発が再稼動すると使用ずみ核燃料は増えるので、日米原子力協定でアメリカの要求する「プルトニウム削減」を実現するには、プルサーマル原子炉を動かす必要がある。

ところが今まで原子力規制委員会が設置変更許可を出したプルサーマル炉は4基だけ。そのうち2基で年間1トンしかプルトニウムを消費できない。プルサーマルは他に4基あり、フルMOXの大間原発が動けば年間1.1トン消費できるが、すべて動いても合計5トンにもならない。

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他方で、六ヶ所村の再処理工場が動くと最大で年間8トンのプルトニウムができるので、プルトニウムは増えてしまう。対応策はプルサーマルを増設するしかないが、大間の運転も見通せない状況で、これから新しい原子炉を建設することは不可能だ。つまりプルサーマルだけでは、日米原子力協定の「利用目的のないプルトニウムはもたない」という約束は守れないのだ。

続きは6月18日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

日本が北朝鮮を「非核化」する方法



米朝首脳会談は空振りに終わったが、トランプ大統領が記者会見でこう答えたのには驚いた(ハフィントンポストより)。
韓国と日本が大いに支援してくれるだろう。彼らは支援する準備ができていて、支援しなければならないことも知っているはずだ。アメリカはこれまでに多くの国で多大な費用をかけてきた。韓国は(北朝鮮)の隣国で、日本もそうだ。彼らは支援してくれるだろう。
これは経済支援のことで、日本が北朝鮮を非核化するという意味ではないが、それは不可能ではない。日本はその技術をもっているからだ。北朝鮮の核兵器を解体すると、そこに含まれているウランやプルトニウムを無害化しなければならない。それには再処理工場でMOX燃料に加工し、プルサーマルで燃やすことがもっとも技術的に確実だ。

ところが青森県六ヶ所村の再処理工場は、いまだに稼働できない。核燃料を「増殖」する予定だった高速増殖炉「もんじゅ」が廃炉になった今、多大なコストをかけて再処理でプルトニウムを分離しても、使い道はプルサーマルしかない。それよりゴミとして直接処分したほうが、はるかに安い。

しかし北朝鮮の非核化となると、採算の問題ではない。日本が「北朝鮮の核兵器を解体する」と名乗りを上げたら、「完全な非核化」を約束した北朝鮮は拒否できないだろう。六ヶ所村の再処理工場で処理すれば「検証可能で不可逆的な」核兵器の解体ができる。これは安全保障の問題なので、国の仕事である。

続きは6月18日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

プルトニウム削減には原発再稼動が必要だ

けさの日経新聞の1面に「米、日本にプルトニウム削減要求 」という記事が出ている。内容は7月に期限が切れる日米原子力協定の「自動延長」に際して、アメリカが余剰プルトニウムを消費するよう求めてきたという話で、これ自体はニュースではない。

続きはアゴラで。

新潟県民の「NIMBY症候群」を解決する方法

新潟県知事選挙では、原発再稼動が最大の争点になっているが、原発の運転を許可する権限は知事にはない。こういう問題をNIMBY(Not In My Back Yard)と呼ぶ。公共的に必要な施設でも「うちの裏庭にはつくるな」という意味で、わかりやすい日本語に訳すと「地域エゴ」である。

続きはアゴラで。




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