テクニカル

金利上昇でハイパーインフレは起こるか

日本の政府債務は異常な水準にあり、「国債バブル」が崩壊すると長期金利が上がって国債が暴落し、日銀がそれを買い取って通貨を大量に発行するとハイパーインフレが起こる――という話はよくあるが、それを具体的に証明した論文は意外に少ない。簡単な差分方程式による説明は先週の記事に書いたが、Del Negro & Simsはもっと高度なFTPLモデルで金利上昇をシミュレーションしている。
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【追記あり】財政インフレは発散するか

今週のJBpressのコラムもむずかしいので、FTPLの理論をちょっと解説しておこう。「ドルの取り付け」というのはCochraneの表現で、彼もいうように「インフレは貨幣的現象だ」というフリードマンの時代は終わった。需給ギャップの小さい低成長時代に物価を決めるのは、通貨供給ではなく財政赤字である。各国でデフレが続いているのは、政府債務が積み上がって財政赤字を削減しているためだ。
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タコツボ構造の経済学

アゴラに書いたように、現在の経済システムの起源は戦時体制にあるが、おもしろいのは戦後の占領でもそれが大きく変わらなかったことだ。この原因は、GHQが日本の官僚機構を温存して占領統治をやったことにある。官僚は「顕教」としての天皇制ファシズムを放棄するようにみせて、「密教」であるタコツボ構造を守ったのだ。

これは経済学でいうと、共通利益ゲームで最適解を求める問題と考えることができる。そのコアになるのは、進化ゲーム理論で証明された、事前にコミュニケーションのある共通利益ゲームには唯一の均衡が存在し、それは効率的であるという定理だ。これはナッシュの定理(均衡は存在するが唯一とは限らない)を超える重要な発見で、実際の社会でも(意図せずに)そういう解をみつけるシステムができた。

もっとも単純なのは、タコツボの中で頻繁に合言葉をかわして評判を共有するシステムだが、集団が大きくなると、タコツボを武力で補完して秩序を維持する封建制(feudalism)ができた。日本とヨーロッパは、ここまでは驚くほど似ているが、分岐するのは近世以降だ。

続きは6月14日(日)に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

「共通利益ゲーム」には効率的な解がある

ピンカーの本は、学問的には1990年代以降の「暴力史観」の集大成で新規性はないが、おもしろいのは、戦争より商取引のほうが相互に有利だから戦争がなくなったという見方だ。これは私も『資本主義の正体』で論じたが、20世紀に植民地がなくなった最大の原因は、そのコストが利益を上回ったからだ。
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企業の救済は事後的にはパレート効率的

JBpressの記事のおまけ。安倍政権の本質は、財政・金融政策で日本経済を自由にコントロールできると考える国家資本主義であり、その司令塔は今井尚哉政策秘書官を中心とする経産省グループだ。これが日本経済の長期停滞の原因である。

投資不足の日本経済で、民間に代わって官が投資し、短期的な採算性に左右されないで長期的な投資をする、という官民ファンドの目的は結構だが、実績は全敗に近い。その原因は、冨山和彦氏のいうように、株式会社は公益を考えてはいけないからだ。これを簡単なゲームでみてみよう(*)
sbc
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資本収益率はどこで安定するのか

さっきメルマガを書いていて思いついたので、『日本人のためのピケティ入門』のおまけとしてメモ(きわめてテクニカル)。
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資本収益率は成長率を上回るのか

『ピケティを読む』(仮題)は、ほぼドラフトができた。この本はピケティの厚い本をを読まなくても90分でわかるのがねらいなので、誰でもわかるように書いたが、テクニカルな問題をここで補足しておく。
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悪いインフレに「景気対策」はきかない

今年の4~6月期の実質GDP成長率は、民間調査機関によると年率-7%ぐらいになりそうだ。これを「消費増税が原因だ」という手合がいるので、そのネットの影響を確認しておこう。

無題
消費増税前後の成長率(前年同期比%)出所:内閣府
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日本軍はなぜ半分も餓死したのか

きのうアゴラ読書塾で話したことだが、日本軍は戦争に負けたのではなく、補給の失敗で自滅した。その原因はいまだに十分解明されていないが、これは資源配分の問題と考えると理解できる。これには二つの解法がある。一つは市場経済などによってボトムアップで答を見つける方法、もう一つはトップダウンの計算で解く方法である。拙著『ハイエク 知識社会の自由主義』から引用しておく。
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天皇制の経済学(続き)

おとといの記事のおまけ。Aghion-Tiroleの理論は単純なので、いろいろ応用がきく。これを国家にあてはめると、こんな感じだ。

aghion
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