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マスコミによる言論統制はこうして行なわれる


朝日新聞が「報道の自由、海外から警鐘」という記事を書いているが、その根拠はこの「国連特別報告者」と称する活動家の無内容な会見と「国境なき記者団」というあやしげなNGOだ(国境なき医師団とは無関係)。彼らのランキングによれば、

 ・香港69位
 ・韓国70位
 ・日本72位

だそうである。ランキングの算定根拠は何も書いてないが、中国政府を批判した出版社の社長が拉致された香港や、朴大統領のスキャンダルを書いた産経の記者が出国禁止になった韓国より、日本が下になった理由を教えてほしいものだ。

なぜ鳩山政権で11位だったのが、安倍政権で72位まで下がったのか。彼らが日本に報道の自由がない理由としていつもあげるのは記者クラブだが、民主党政権ではクラブはなかったのか。そもそもクラブは朝日新聞などが情報独占のためにつくったもので、言論統制をしているのはマスコミ自身である。

その方法は、新聞の宅配や軽減税率、テレビの電波利権などの競争制限を批判する者を排除することだ。私が地デジを批判し始めたころ、出演交渉にきたディレクターが、あとから「すいませんが、先ほどの話はなかったことに…」と電話してくることがよく起った。このごろは「上司の許可を取ってから来てください」ということにしている。

あとはいろいろ固有名詞が出てくるので、オフレコ政経ゼミで。

「報道の自由」の最大の敵はマスコミ自身である


国連特別報告者のデビッド・ケイ氏が外国特派員協会(実態はフリー記者の集団)で会見した議事録が出ているが、彼の話は何も具体性がない。「記者が匿名を希望するので話が聞けなかった」というが、匿名を条件に何を聞いたのかもいわない印象論だけだ。

続きはアゴラで。

アダルトビデオとTPP

キャプチャ

きのうのDMMラウンジの亀山DMM会長との話は、まさにオフレコの危ない話だったが、中でひとつおもしろい指摘があった。

日本のアダルトビデオは国際競争力があり、最有力の「クールジャパン」だ。アジア全域に広く市場があり、中国で一番有名な日本人は、1500万人がフォローしている蒼井そらだが、日本の一般メディアではまったく報道されない。

日本のように「わいせつな文書・図画」を刑法で禁じている先進国は、今やほとんどない。小児ポルノについての規制はあるが、AVにモザイクなんかかけているのは日本だけだ。現状では、日本からの輸出品も無修正で輸出したものが国内に環流すると販売元が摘発されるというが、ネットではいくらも無修正で見られるので、こんな規制は意味がない。

これは今後、TPPで域内の規制が統一されると、特に日米間で問題になるのではないか。AVを見て人権が侵害されるおそれはないので、刑法175条(わいせつ罪)は違憲の疑いがある。最高裁で合憲とされた「チャタレイ裁判」の判決は1957年だ。この時代錯誤の規定は、刑法を改正すれば解決する。安倍政権が廃止すべき「岩盤規制」である。

あとはオフレコ政経ゼミで。

劣化する左翼と知能の低い右翼の泥仕合

キャプチャ

私のオフィスに、しつこく「放送法遵守を求める視聴者の会」なる団体から郵便物が来るが、やめていただきたい。ホームページによれば、この会の呼びかけ人は渡部昇一、すぎやまこういち、上念司といったアノ手の人々で、最近はケント・ギルバートも入って記者会見をやっているが、産経以外は相手にしない。

彼らはイデオロギー以前に、もともと知能が低い。上念の著書には「金利と債券価格とは絶対に反比例する!」と解説する章があり、彼は国会で「増税したら税収が減る」と主張して失笑を買った。あいにく2015年度の税収見通しは約55兆円と、増税前の13年度より8兆円増えた。

ギルバートも慰安婦問題について事実に気づいたころはよかったが、最近は「自虐史観」とか「GHQの洗脳」などのアノ手のジャーゴンを多用するようになった。著書でネトウヨのKAZUYAの話を受け売りし、それをゴーストライターが梶谷懐氏と勘違いして出版し、朝日新聞にからかわれた。口述でゲラのチェックもしないで、著書と称するのは厚かましいのではないか。

朝日新聞のような左翼が劣化したのは最近の現象だが、こういう右翼は昔から無学な戦中世代の代表だった。最近は世代交代したが、頭が悪いのは相変わらずだ。しかし彼らには、かつての戦争を美化したい老人の固い組織票があるので、WiLLは毎号10万部も売れるという。

続きは4月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

TBSの「同調圧力」に負けた人々

キャプチャ

TBSの金平茂紀氏が「テレビ報道の同調圧力」について語っているが、「おおっぴらに議論するという空気がなくなってしまった」とか「事なかれ主義が広がっている」というのは、マスコミに限った話ではない。

むしろ昔の金平氏と比べて感じるのは、彼自身が「TBSの同調圧力」に流されるようになったことだ。岸井氏も毎日新聞の記者だったころはバランスが取れていたのに、TBSのキャスターになってから、自分でも言っているように「安保法を40回批判した」。

TBSは業界では有名な、東大閥企業である。私が学生だったころは社員のほとんどがコネ入社で、東大卒だった。私もTBSの人事にいた友人に「すぐ最終面接する」と声をかけられたが、断った。

だから田中角栄のつくったテレ朝(もとはローカルの教育局)より社員の偏差値ははるかに高いが、NHKに落ちた社員が多いのでコンプレックスが強く、NHKに対抗して「角度をつけた」左翼的な番組をつくっていた。特にひどかったのが、金平氏の尊敬する筑紫哲也だ。

続きは4月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

最大の言論統制はマスコミ自身がやっている

高市総務相の発言に抗議したジャーナリストの記者会見は、肝心の岸井成格氏が「政府からの圧力は一切ありませんでした」と認めて空中分解してしまった。おまけにTBSの金平茂紀氏が「ジャーナリストが感じる強い圧力は、政府の圧力というよりメディア側の自己規制だ」といい、「記者クラブの情報統制に問題がある」など、とんだブーメランだ。

続きはアゴラで。

放送法に違反した局の免許を取り消すのは当然だ

キャプチャ

放送法に違反した場合は電波を止めることがありうる、という高市総務相の発言に対して、田原総一朗氏ら7人が抗議声明を出した。いいたいことはわかるが、これは法律論としてはナンセンスである。放送法は第4条で「編集準則」を定め、放送局に次の要件を求めている。
  1. 公安及び善良な風俗を害しないこと。
  2. 政治的に公平であること
  3. 報道は事実をまげないですること。
  4. 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
このうち2の要件について、高市氏は国会で「放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法4条違反を理由に、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性がある」と答弁したが、これは常識的な法解釈である。

放送法の対象になるのは「電波法の規定により基幹放送局の免許を受けた者」であり、法に違反した放送局の免許を取り消すことは当然だ。もし高市氏が「いかに政治的に不公平であっても免許は取り消さない」と答弁したら、編集準則は無意味になってしまう。

だから問題は彼女の解釈ではなく、表現の自由を制限する放送法の編集準則が憲法違反ではないかという立法論なのだ。アメリカでは、FCCが1987年に「フェアネス・ドクトリン」を廃止し、放送局に政治的公平は要求されなくなった。300以上チャンネルがある多チャンネル化時代にはそぐわないからだ。

議論の続きは、池田信夫の「オフレコ政経ゼミ」で(入会月は無料)。

「クローズアップ現代」の打ち切りについて

キャプチャ「クロ現」が来月で終了するという。10時台に「クロ現+」という番組をなぜか7人の女性アナウンサーでやるそうだが、今のクロ現とは違う番組になるだろう。この経緯については不審な点があり、川本裕司氏の記事がほぼ正確だと思うが、誤解もあるようだ。

まずNHKのドキュメンタリーの歴史の中で、毎日30分のドキュメンタリーを同じキャスターで23年も続けたのは空前だということだ。それだけ国谷さんに安定感があったのだろうが、普通は4~5年で交替するもので、あの磯村さんも3年しかやっていない。「日本の素顔」や「現代の映像」などのドキュメンタリーは週1本で、それでもネタに困っていた。

最近のクロ現は中身が薄くなり、「出家詐欺」のようなローカル番組の使い回しもやっていた。あれは誰がみても3分の企画ニュースがいいところで、それを25分もたせるのは、「やらせ」でもやらないと無理だ。もう起承転結の物語の時代ではない。時間帯を変えたりしないで、潔くやめるべきだった。

もう一つ誤解があるのは、あれは「国谷さんの番組」ではないということだ。番組はすべてディレクター(NHKではPDと呼ぶ)と記者が構成し、彼女のコメントは一言一句PDが書いてデスクがチェックする。彼女が番組の内容を決めることはほとんどなく、「キャスター」というよりアナウンサーに近い。

ただ、こういうトップダウンで番組が打ち切られるのは異例である。そこに安倍政権(というか菅官房長官)の意志が働いているという川本氏の推測はたぶん当たっていると思うが、それは露骨な圧力ではなく、籾井会長の「忖度」だろう。

続きは2月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

SMAPはなぜ敗北したのか

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予想どおりSMAP騒動はジャニーズ事務所の全面勝利で終わったが、私がNHKに勤務していたころは、これほど芸能事務所の力は強くなかった。この背景には、芸能界だけでなくメディア業界の劣化がある。

民放の芸能番組を企画しているのは、今や局ではなく芸能事務所である。視聴率を決めるのは企画ではなく出演者なので、ごく少数の「数字の取れる」タレントに出演依頼が集中する。このため、事務所の思い通りの番組でないと出てくれないのだ。たとえばビートたけしの事務所は「たけしの企画した番組以外は出ない」と公言している(だからNHKには出ない)。

このように番組の企画機能が芸能事務所などの「上流」に集中する一方、制作機能は下請け・孫請けなどの「下流」に出しているので、局は広告料を中抜きするだけというテレビ局の空洞化が進んでいる。これはITゼネコンと同じ構造で、日本のテレビがだめになる原因だ。

これからITなどの知識集約型サービス産業も「ハリウッド化」し、100人に1人のスーパースターを出せるかどうかが勝負になるので、IT企業はクリエイターをサポートする芸能事務所に近づいてゆく。価値を生み出すのは組織ではなく個人の才能だから、「和」の精神を教える学校にも平均的な品質を維持する企業にも価値はないのだ。

続きは1月25日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

非同期コミュニケーションの時代

kurogen「クローズアップ現代」が、この3月で終わるそうだ。私は1993年にこの番組を始めたときのスタッフだが、3年続いたら立派なものだと思っていた。「よく23年も続いたな」というのが正直な感想だ。ご苦労様。

NHKのドキュメンタリーは「日本の素顔」や「新日本紀行」以来の伝統があり、毎週30分の番組をつくるのが報道番組PDのあこがれだった。しかし世の中の動きが激しくなって、30分の物語を構成することは困難になり、いったん打ち切って「土曜リポート」という短い番組になった。

ところが他のセクションの似たような番組と競合するので、報道と教養と科学で週4本(あと1本はローカル)やろうという寄り合い所帯で始まったのが「クロ現」だった。しかし週1本でもしんどいのに、週4本もネタがあるわけない。おかげで出家詐欺みたいなしょぼい話を30分もたせる「やらせ」騒動も起こった。

もうドキュメンタリーの時代じゃない。家族がテレビの前に集まって同じ物語に感動する時代は、とっくに終わったのだ。私はクロ現もNスペも1年以上見たことがないが、不自由を感じない。第一報から1次情報まで、すべてネットで見られるのに、それに絵をつけて万人向きに薄めた番組を見るのは時間の無駄だ。

限られたメディアをみんなが一緒に見る、同期型コミュニケーションの時代は終わった。テレビも電話も、インフラが稀少だった時代の遺物にすぎない。今はメディアが過剰で人間の時間が稀少なので、電話がEメールになったように、テレビもYouTubeに代替されるだろう。人間の都合にあわせてメディアを選ぶ、非同期コミュニケーションの時代になったのだ。

続きは1月11日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。






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