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山口敬之氏の逮捕状はなぜ執行されなかったのか



伊藤詩織事件がまだ延焼しているが、この動画でも説明したように、これは刑事事件としては決着がついている。刑法で「準強姦罪」が成立するのは「心神喪失または抗拒不能となった女性を姦淫した場合」だが、山口氏の証言によれば伊藤氏がベッドに入ってきたので、心神喪失にはあたらない。伊藤氏も「記憶がない」というのでは、立証は困難だ。

これは山口氏が安倍政権に近いかどうかとは関係ない。彼が左翼の活動家だったとしても、公判が維持できないと考えたら検察は起訴しない。本件も書類送検になった段階で、警察は無理とあきらめていたのだろう。それが「有罪率99%」の日本の司法の特徴だが、本件の場合は起訴して、裁判で決着をつけたほうがすっきりしたと思う。

特に釈然としないのは、伊藤氏が2015年4月に警察に被害届けを出した直後に、TBSが山口氏をワシントン支局長から解任し、彼が帰国するとき高輪署の取った逮捕状を警視庁の刑事部長が執行させなかったことだ。これは警察の手続きとしても異例で、政治的配慮があった疑いが強いが、それは「安倍政権への忖度」ではない。

続きは7月2日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

伊藤詩織事件を「慰安婦問題」に仕立てるBBC

BBCが28日夜、「日本の秘められた恥」と題する約1時間のドキュメンタリーを放送した。これは伊藤詩織氏を主人公にして、山口敬之氏を「加害者」と想定し、伊藤氏の立場から性犯罪として描くものだ。

内容はステレオタイプの「古い日本人」を一方的に糾弾するだけで、新事実が指摘されているわけではないが、この事件を日本のマスコミが取り上げなかったことを「日本の恥」と批判している。これは逆である。昔だったら、山口氏が容疑者になった段階でマスコミが犯人扱いして、大騒ぎになっただろう。

続きはアゴラで。

誰がテレビを殺すのか

誰がテレビを殺すのか (角川新書)
物騒なタイトルだが、本書の結論は「テレビは容易に死なない」。インターネットのアクセスがいかに多くても、広告の効果はテレビにかなわない。たとえば首都圏ローカルのスポット広告料金は100万円ぐらいだが、深夜番組でも視聴率が1%取れれば、30万人ぐらいが見る。同じアクセスをヤフーで取ろうとすると、トップバナーの広告料金は2000万円だという。

もちろんテレビの視聴者は漫然と眺めているのに対してヤフーのユーザーは積極的にアクセスしているとか、そのままクリックするなどの違いはあるが、数百万人という規模の大衆にアピールできる媒体として、地上波テレビにまさるものはない。広告は確率のビジネスだから、分母が大きいほうがいいに決まっている。

そして1日中テレビを見ているのは、60歳以上の老人だ。かつてテレビは専業主婦のものだったが、今は男性も7割以上が無職だ。テレビを見る時間は女性より多く、平日でも平均4時間も毎日テレビを見ている。そういう「することがない人々」が時間をつぶす道具に特化しているのが民放だ。それが左傾化した最大の理由も、視聴者の高齢化である。

続きは6月25日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

テレビと新聞の「電波改革を報道しない自由」

政府の通信・放送改革は、難航しているようだ。電波の問題はどこの国でも厄介だが、日本は特殊である。新聞とテレビがカルテルを組んで「報道しない自由」を行使するからだ。たとえば私が規制改革推進会議で話したUHF帯の問題も、取材に来た社は多いが、まったく記事にならない。

報道する自由もしない自由も憲法で保障された権利だから、テレビ局が自社の不利益になる話を書かないのはしょうがないが、日本では新聞社とテレビ局が系列化されているため、話がまったく社会に伝わらず、役所も改革に動けない。

アメリカでは新聞社とネットワーク局に資本関係はないので、リベラル系メディアがNAB(全米放送協会)と癒着しているFCC(連邦通信委員会)を批判する。放送の政治的公平規制は、違憲判決で葬られた。ところが日本ではテレビ=新聞だから、こういう対立軸がなく、朝日から産経まで電波改革には反対だ。

続きはアゴラで。

テレビ朝日は第三者委員会で録音を検証せよ

きのうテレビ朝日の角南社長の記者会見が行われたが、話が混乱している。産経によると、経緯は次の通り。
今月4日、NHKが夜7時のニュースで森友問題での財務省の口裏合わせについて独自のニュースを報じ、女性社員はデスクからの指示もあり、その裏付け取材をすることになった。そのときに福田次官から電話があったため、裏付け取材をしようと考え、夜9時ごろから夜10時前まで約1年ぶりに夜の食事を伴う一対一の取材に臨んだ。

ところが、このときもセクハラ発言が多数あったため、社員は自らの身を守るため途中から録音した。後日、この社員はセクハラの事実をテレビ朝日で報じるべきではないかと上司に相談した。上司にはセクハラの事実を隠蔽しようという考えはなく、幾つかの理由で報道は難しいと判断した。この社員はセクハラ被害を黙認される恐れがあるとして週刊新潮に連絡し、取材を受けた。

続きはアゴラで。

「夜回り」を全面禁止せよ

今回のセクハラ事件で、テレ朝の情報漏洩を擁護するジャーナリストが少なくない。共同通信は、「彼女は反省する必要などあるのか」と開き直る。この録音データは「取材活動で得た情報」ではないから、週刊誌に売り込んでもいいという。

思い上がりもはなはだしい。この田村文という記者は、自分が夜中にアポなしで要人の家に入れてもらえるのは、なぜだと思っているのか。「共同通信」という肩書きがなければ、彼らはただの不審者として110番されて終わりだ。政治家や官僚が彼らを家に入れるのは、「夜回り」という習慣があるからだ。

続きはアゴラで。

放送改革の本当のアジェンダ

キャプチャ

きのうはニコ生で90分も話したが、6月に出る規制改革推進会議の答申は、今のところよくも悪くも常識的だ。放送は通信の一種なのだから、通信と放送の規制を一本化するのは当たり前で、放送免許なんか廃止してもかまわない。本質的なのは、無線局免許の割り当てだ。それをオークションで割り当てるかどうかも大した話ではなく、非効率な用途区分が最大の問題だ。

逆にいうと、日本の通信=放送には大きなチャンスがある。特にUHF帯に200MHzもあいている電波を区画整理して5Gに使えば、今よりはるかに効率的な「デジタル放送」ができる。それを民放連が「既得権の侵害」と取り違えて、放送法第4条などトンチンカンな話で騒いでいることが混乱の原因だ。今からでもアジェンダに加えるべきなのは、次のような問題だ。

 ・集中排除原則の撤廃(キー局による地方局買収)
 ・著作権法の改正(IP放送の自由化)
 ・NHKの有料放送化

続きは4月23日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

テレビ朝日という二流企業

キャプチャ

財務次官の騒ぎで印象的なのは、テレビ朝日の対応のお粗末さだ。記者会見によると、調査を始めたのは今週の月曜(16日)で、その日に件の女性記者が名乗り出たというが、問題の音声がネットに出たのは先週(4月12日)だ。財務次官の番記者で女性なんてわずかだから、すぐ「彼女だ」と気づくのが普通だ。本人が事実を認めたら先週のうちに懲戒解雇し、報道局長は更迭して今週発表するぐらいが当然だ。それなしで財務省に処分なんか要求できない。

会見もしどろもどろで、「それはいえない」という話ばかり。「財務省に抗議する」というが、質問は情報漏洩に集中し、さすがに報道局長は「音声データを第三者に流したことは不適切だった」と認めたが、「無断で録音したのか」という質問には、意味がわからないので答えられない。報道局長まで含めて、ジャーナリストとしての基本ができていない。

はっきりいって、テレ朝は二流企業である。もとはNET(全国教育テレビ)という独立系の局だったが、テレビ局のほしかった朝日新聞が田中角栄に頼んで1977年に子会社にした。「朝日放送」という会社はすでに大阪にあったが、当時はTBS系だった。それを角栄が強引に株式交換でNETと系列化し、「全国朝日放送」というまぎらわしい社名になった。

経営陣はNETのころ入社したので、報道はまったく知らなかった。社長は代々朝日新聞の天下りで、ニュースは新聞の原稿をもらっていた。新聞も大事なニュースは「ラテ禁」(ラジオ・テレビ禁止)で、翌朝までテレビに出さなかったので、テレ朝にはスクープが存在しなかった。そういう状況が変わったきっかけは、1985年の「ニュースステーション」の開始だった。

続きは4月23日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

福田次官の事件は「テレビ朝日のセクハラ」



きのうから財務省の福田次官の辞任にからんでテレビ朝日が記者会見し、騒ぎが続いているが、事態が刻々と変わるので、今の段階の状況をメモしておく。福田氏の発言がセクハラかどうかは本人が争っているのでグレーだが、きのうテレ朝が明らかにしたのは、次のような事実だ:
  • 少なくとも2016年11月から今年4月まで、女性記者が福田氏とのオフレコの会話を無断で録音した。
  • 記者は問題を報道しようとしたが、上司が握りつぶした。
  • このため女性記者は、音声データを週刊新潮に提供した(金銭の授受はないと主張している)。

続きはアゴラで。

マスコミの「過剰報道」が国会を迷走させる



森友学園が一段落したと思ったら、今度は加計学園で「首相案件」という話が出てきた。これは事実だとしても違法行為ではない。シリアでは空爆が始まったというのに、こんなくだらない話に国会審議を浪費している場合ではない。

続きはアゴラで。




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