経済

いま大きな政府か将来もっと大きな政府か

きょうの選挙はあいにくの台風で、小池百合子氏の逃亡した希望は惨敗、プチバブルだった立民も50議席がせいぜいだろう。それより問題なのは、日本の政治にまともな選択肢がないことだ。8月の記事の図を更新すると、今の対立軸はこんな感じだろう。


続きはアゴラで。

小さく見えて大きな政府

世界的には保守とリベラルの争点は「大きな政府か小さな政府」かという対立軸だが、この基準でみると日本に保守政党はない。安倍政権は世界的にみるとアメリカ民主党よりリベラルで、野党は極左である。

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この図は内閣府の調査した国民負担率の国際比較(クリックで拡大)だが、日本は極端に大きいわけではない。その特徴は租税負担率の低さである。日本よりはるかに国民負担率の低いアメリカでも24.2%なのに、日本の租税負担率はそれとほとんど変わらない。この最大の原因は財政赤字が大きいことだが、もう一つは社会保険料が高いことだ。

日本の社会保険料は、大きな政府の代表だと思われているスウェーデンの3倍だ。選挙のたびに消費税が争点になって先送りされ、社会保険料が引き上げられてきたため「痛税感」は小さいが、負担の実態はヨーロッパ並みに大きい。

つまり「大きな政府か小さな政府か」というのはもはや問題ではなく、日本は財政赤字や社会保険料で国民負担を偽装した小さく見えて大きな政府なのだ。デモクラシーの基準が「納税者が自分の負担を決める」ことだとすると、日本は税デモクラシーが最低の国である。続きを読む

株式市場は未来を予見できない

日経平均は、21年ぶりに2万1000円台を回復した。選挙になったとき株価が上がるのは当たり前で、安倍政権も消費税の「使途変更」でその期待に応えようとしている。国民所得統計でも物価統計でもアベノミクスの成果は出ていないが、株価への効果は顕著だ。

安倍政権で行われた財政政策の規模は、民主党政権と大して変わらない。それが成長率の低い原因だが、金融政策は突出している。図のように日銀が黒田総裁になってから、マネタリーベースは150兆円から500兆円に激増し、その資産のうち国債が450兆円以上を占める。これが安倍政権の唯一の経済政策といってよい。


マネタリーベース(青・億円)と業況指数(赤・右軸)出所:日銀


続きはアゴラで。

「失業予備軍」としての高齢者と主婦

アゴラの記事を補足しておくと、2009年以降に新たに労働市場に入ってきたのは、退職後の高齢者と主婦である。そのほとんどはパートタイム労働者なので、労働人口は増えたが、総労働時間が減ったのだ。

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正社員とパートタイム社員(右軸)の実質賃金(時給)


上の図は川口=原のデータだが、「正社員と非正規の格差が拡大した」という一般的なイメージとは逆に、人手不足でパートタイム労働者の時給は上がった。このためパートの供給が増えたが、彼らの時給は正社員のほぼ半分。正社員の給与が下がり、定年退職してパートに置き換わったので、合計した平均賃金は上がらない。

これはマルクス的にいうと、高齢者と主婦が失業予備軍として低賃金労働を供給したということだ。失業予備軍とは労働市場の外側にいる人々で、労働供給の価格弾力性が大きいので、時給が上がると労働市場に入ってくる。特に2010年代にコンビニや外食などの業務が自動化され、こういう非熟練労働者が大量に供給された。

続きは10月16日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

若者はなぜ自民党を支持するのか

今回の総選挙の世論調査で、若者の自民党支持率が高い。たとえば毎日新聞の世論調査では、20代以下の自民党支持率が4割弱で、30代以上は2割台だ。それを「保守化」という人がいるが、逆である。彼らは新聞を読まないので、「反安倍」の刷り込みを受けていないだけだ。

今の国際情勢で「安保反対」を唱える野党を支持する理由は見当たらないし、若者にとって重要な雇用も改善している。自民党はこれを「アベノミクスで雇用が改善した」とアピールしている。確かに完全失業率は3%を下回って「完全雇用」といっていい水準だが、その原因は何だろうか。

続きはアゴラで。

小池百合子氏の好きな「見えない税」の盲点

今回の総選挙は、争点があるようでない。憲法・国防については自民・希望が同じ方向で、それに反対する「立憲主義」勢力はマイナーだ。経済政策も消費税の増税を掲げているのは自民党だけで、他の党はすべて増税には反対である。

増税の好きな人はいないので、それは政治的には合理的だ。この点でわかりやすいのは、希望の党である。小池百合子氏のあげている「三本柱」のうち、「消費税の増税凍結」と「原発ゼロ」は、見える税を減らして見えない税を増やすというポピュリズムで一貫している。

続きはアゴラで。

「内部留保」をなくすシンプルな税制改革

希望の党の「内部留保課税」は、今どき法人税を実質的に1.5倍に増税しようという失笑ものの提案だ。消費税の増税を凍結する財源として「300兆円の内部留保に2%課税する」という答を用意したのだろう。消費税をいやがる情報弱者に配慮して「もうかっている大企業から取る」というわけだ。

続きはアゴラで。

「ベーシックインカム」で年金を廃止する希望の党

希望の党の公約の「ユリノミクス」と称する経済政策の目玉は、消費税の増税分5兆円を凍結して「内部留保」に課税することだが、実はもっと大きな公約がある。ひっそり「ベーシックインカム導入により低所得層の可処分所得を増やす」と書かれているが、これは国政政党としてBIに言及した初めてのケースだ。

続きはアゴラで。

なぜ小泉内閣は緊縮財政で成長できたのか

アベノミクスの目玉だった量的緩和が失敗に終わり、リフレ派はバラマキ財政派に転向したようだ。金融政策とは違って、財政政策には明らかな効果がある。80年前にケインズが指摘したように、政府が1兆円使えば(乗数を1としても)GDPが1兆円増えるからだ。次の図のように2008年以降は、財政支出(一般政府部門)と成長率にはかなり相関がある。

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(図)日本の財政支出(GDP比・%)と成長率(右軸・%)出所:IMF

安倍政権で成長率が上がらない一つの原因は、図のように財政支出が減っていることだ。財務省は「政府債務が増えている」と強調するが、フローの財政赤字は減っており、政府債務のGDP比もやや減った。プライマリーバランスは赤字なのに(国債の利払いを含む)財政赤字が減った最大の原因は、長期金利がゼロになったことだ。

これだけ見ると「消費増税を凍結すれば景気がよくなる」という小池百合子氏の話にも一理あるようにみえるが、長期でみると財政と成長の相関は崩れている。2002年から財政支出は減ったのに、成長率が上がっている。これは彼女が閣僚だった小泉内閣の時期だが、なぜ緊縮財政で成長できたのだろうか?

続きは10月9日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

「見える税」から「見えない税」へ

アゴラこども版で書いたように、社会保険料(年金保険料・健康保険料)の負担は今や消費税の3倍以上だ。今回の消費税の「使途変更」は実質的には増税を2兆円先送りするのと同じだが、先送りしても負担の総額は減らない。見える税である消費税が、見えない税である国債と社会保険料に置き換わるだけだ。

次の図は宮島洋氏の資料から借りたものだが、税負担は1990年から下がり続けている。消費税の増税より、所得税の減収のほうが大きいからだ。社会支出(OECD基準の社会保障支出)は高齢化で増え続けているが、社会保障負担はそれほど増えないので、支出と負担の差である国債の発行が激増した。

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こういう構造は世界各国に大なり小なりあるが、日本は支出と負担の差が極端に大きい。政治家が痛税感の大きい消費税を引き上げると選挙に負けることを恐れるからだ。これは公明党の発明した言葉だが、彼らの集票基盤である創価学会婦人部の感覚をうまく表現している。日本の政府債務が大きくなった原因は、こういう専業主婦のバイアスのために消費税を上げられなかったことにある。続きを読む






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