経済

日本経済を窒息させる「国家統制の罠」


今の日銀の政策をみると、こういう誤解が出てくるのはしょうがない。「新自由主義」が何を意味するのか知らないが、その元祖とされるフリードマンが提唱したのは「国家統制の金融至上主義」の逆である。彼は政府の裁量的な財政・金融政策を否定し、マネタリーベースの増加率を固定するルール(k%ルール)を提唱したのだ。

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「官製バブル」のゆるやかな崩壊は可能か

あすから民進党の代表選挙が始まる。今のところ前原・枝野の一騎打ちとなる見通しだが、マスコミの票読みでは前原氏が優勢のようだ。彼の安全保障についての考え方は安倍政権と基本的に同じなので、対外政策で大きな争点はないだろう。問題は経済政策である。

アベノミクスは金融政策としては失敗したが、財政ファイナンス(意図せざる財政政策)としては成功した。日経新聞によると、今の日本経済は国債市場の4割以上を日銀が保有し、株式はGPIFと合わせると53兆円。東証一部上場企業の時価総額550兆円の1割近い官製バブルになったのだ。

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日銀の「財政ファイナンス」はフリーランチか

内閣府の発表した今年4~6月期の実質成長率(速報値)は、1%(年率4%)と高い伸びを示したが、GDPデフレーターは前年比-0.4%だった。これは先週の個人ブログでも書いたように、リフレは失敗したが財政ファイナンスは(今のところ)成功したことを示す。財政ファイナンスとは政府債務を無制限に中央銀行がファイナンスすることで、財政節度を失わせるため禁忌とされる。


日銀の保有資産(青・億円)と国債残高(赤)と企業物価指数(緑・右軸)


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日本には資本主義が必要だ

生涯投資家著者は、いわずと知れた「村上ファンド」の元オーナー。最近は久々に黒田電気に安延取締役を送り込んだことで話題になったが、いまだに日本では企業買収に「乗っ取り」のイメージがつきまとう。これが日本経済が低迷している最大の原因だ。

東芝に典型的にみられるように、日本の大企業は1970年代までのアメリカのコングロマリットと同じ、非効率な多角経営をしている。半導体部門が高い利益を上げても、他の部門の赤字を補填するので、全体としては東証1部上場企業のROE(株主資本利益率)は8%で、アメリカの12%に遠く及ばない。

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なぜリフレは失敗したのに「アベノミクス」は成功したのか

今週は夏休みだが、アゴラの久保田さんの記事が気になったので、ひとことコメント。「アベノミクスの4年半を振り返ると、景気回復と脱デフレという面では相当の成果を上げた」という「大機小機」の評価が正しいかどうかは「アベノミクス」の定義による。それをリフレ(人為的インフレ)政策と定義すると、リフレが失敗したことは明白だ

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ベーシックインカムは「ただでお金をもらえる」制度ではない



最近ちょっと話題になっているNHKのベーシックインカム特集は、根本的に間違っている。ベーシックインカム(BI)は「国民全員がただでお金をもらえる」制度ではない。フィンランドの実験は「世界初」ではなく、そもそも「ただでお金をもらえる」という言葉が矛盾している。

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ベーシック・インカムが可能にする自由時間の拡大

Basic Income: A Radical Proposal for a Free Society and a Sane Economy
アゴラで紹介したブレグマンのBIが話題になっているようだが、本質的に新しい話ではない。本書はこれを学問的に精密に論じたもので、ねらいはヨーロッパでも拡大する所得格差を是正し、技術革新で自由になる時間を合理的に使うことだ。

先週のJBpressでも紹介したようにBIの提案は昔からあり、1950年代にティンバーゲンなどが提案した。同じころスティグラーやフリードマンが負の所得税(NIT)を提案したが、70年たっても実現しない。それは従来の社会保障を根底からひっくり返すためだ。

実際にはBIはそれほど革命的ではなく、たとえば生活保護だけをBIに置き換えることも可能だ。最大の問題は財源をどうするかで、NITは所得税を想定しているが、これは不公平の原因だ。2008年のアメリカ大統領選挙でハッカビーが提案したのは、BIの財源を連邦消費税(VAT)に求める税制改革で、経済学的には合理的である。続きを読む

人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか

人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか
内閣支持率は危険水位に近づいてきた。秋の臨時国会では、補正予算や消費税増税の再々延期が出てくるかもしれない。もう安倍首相も「デフレ脱却」といわなくなり、最近はもっぱら「雇用の改善」が1枚看板だ。

たしかに完全失業率は2%台と完全雇用に近く、有効求人倍率は1.5倍とバブル期以上の人手不足なのに、実質賃金が上がらないのはなぜか、というパラドックスが本書の問いで、これに22人が答えている。バラバラの論文を寄せ集めただけだが、意外性があるのは第9章「家計調査等から探る賃金低迷の理由――企業負担の増大」(大島敬士・佐藤朋彦)である。

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消費税増税の「再々延期」はあるか

竹中平蔵氏が、Voice8月号で「2%のインフレ目標が実現するまで消費税の増税を延期する」というシムズの提言を評価している。今年6月の骨太の方針では「債務残高のGDP比の安定的な引き下げ」を目標にしてプライマリーバランス黒字化を放棄したので、2019年10月に予定されている10%への増税が再々延期される可能性も出てきた。

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法人税ゼロの時代がやってくる

The Economics of Tax Policy
マンキューなどの国境調整炭素税は合理的な提言で、石油メジャーも参加した。これが実現すると、国境調整税(DBCFT)という画期的な改革の第一歩になる。これはトランプの保護主義と混同しやすいが、中身はまったく違う。本書はそのしくみを学問的にくわしく論じたものだが、超簡単に解説しよう。

日本から自動車を輸出するとき、アメリカが20%の関税をかけるとしよう。これは国内製品の保護になるのでWTO違反で提訴されるが、すべての輸入品にも国内品にも一律にかけたら、そういうバイアスはなくなる。これはEUの付加価値税と同じく国内にもかける関税だから、資源配分に中立なのだ。海外に対しては輸入制限になるが、そのぶんドルが上がって調整され、貿易収支は変わらない。

日本も消費税を20%に引き上げると「保護主義競争」になって世界経済が縮小する、というのがアダム・スミス以来の経済学のセントラル・ドグマだが、これはDBCFTには当てはまらない。それは生産地に関係なく同じ税率を消費地でかける一括固定税なので、理論的には資源配分のゆがみは最小になり、WTOもFTAも貿易交渉も必要なくなる。

DBCFTを導入する代わりに資源配分のゆがみが最大の法人税を廃止すれば、税収中立にしても5%以上はGDPが増える。東京のお台場に法人税ゼロの「オフショア特区」をつくれば、世界中から銀行が集まってくるだろう。

続きは7月10日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。






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