経済

河野太郎氏の年金改革は「大増税」にはならない



河野太郎氏の提案している最低保障年金で消費税が何%増税になるかについて、彼が言葉を濁しているので他の候補から突っ込まれている。これは簡単な算数だが、年金勘定を細かく知っている人は少ないと思うので、確認しておく。

河野氏が保障する支給額ははっきりしないが、現行の基礎年金支給額を維持することが原則なので、その支給額は図のように最低23.9兆円である。これを全額消費税でまかなうと、2020年度の消費税収21兆円では1.9兆円足りない。これは税率にして1%程度であり、大増税にはならない。

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基礎年金のしくみ(厚労省の財政検証より)

それに対して被保険者の負担(事業主負担を含む)は、図の基礎年金拠出金23.7兆円から国庫負担11.8兆円を引いた11.9兆円少なくなる。これは消費税6%分だから、現行の国民年金と同じ水準を保障する最低保障年金は差し引き5%の減税なのだ。

これは制度設計によって変わる。民主党政権のように月額7万円を保障すると支給額は33.6兆円になるので、消費税率で17%。麻生財務相の「消費税率が18%になる」という話はこういう計算だろうが、この程度なら7%の増税で、保険料の減税分6%とほぼ同じで負担は中立に近い。

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最低保障年金って何?

自民党総裁選挙で、河野太郎さんが提案した最低保障年金が大論争になっています。これは民主党政権で提案され、成立しなかったものとほぼ同じです。これに対して他の候補が「増税になる」と反対しているので、その中身をやさしく解説しましょう。


総裁選のタウンミーティング(産経新聞より)

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総裁候補がだれも語らない日本経済の最大の問題

自民党総裁選では、経済政策の論争が低調だ。年金改革については河野氏の最低保障年金が正しく、エネルギー政策については彼の脱原発は誤りだが、それ以外は大した違いがない。

岸田氏の「株主資本主義の見直し」は時代遅れの笑い話で、高市氏の財政バラマキはアベノミクスの二番煎じだ。安倍政権の8年間に、日本の潜在成長率はゼロに近づいた。これが成長の天井であり、いくらバラマキで需要不足を埋めても、これ以上は成長できないのだ。


日本の潜在成長率(日銀調べ)

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日本人には「希望を捨てる勇気」が必要だ

失去的二十年:日本经济长期停滞的真正原因
自民党総裁選の経済政策をめぐる論争は低調だ。高市氏はアベノミクスの延長上だから論じるまでもないが、岸田氏が「株主資本主義の見直し」を掲げ、河野氏は「グリーンイノベーション」で、「雇用規制の緩和」には全員がNOと答えた。そろそろ日本人は、希望を捨てる勇気が必要かもしれない。

2009年に出した『希望を捨てる勇気』は、タイトルが暗すぎて受けないだろうと思ったが、3刷になり、中国語訳まで出た。中国ではまだ希望を捨てる必要はないと思ったが、中国語のタイトルは『失われた20年:日本の長期的な経済停滞の本当の理由』。日本経済の失敗に学ぼうというわけだ。

このタイトルは「日本経済をだめにする悲観論だ」と批判されたが、中身を読んでもらえばわかるように、これは古い経済システムを延命すれば何とかなるという希望を捨てないかぎり、長期停滞を抜け出せないという意味で、この経済システムとは具体的には労働市場である。

日本経済のボトルネックは高度成長期から受け継いだ古い雇用慣行で、これを変えない限り量的緩和なんかいくらやっても無駄だと書いた。これをリフレ派は「清算主義だ」などと批判したが、その後安倍政権のやったバラマキ政策で成長率はゼロに近づき、私の予想した通り日本経済は長期停滞から抜けられなくなった。

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河野太郎氏の提案する「老人限定ベーシックインカム」

自民党総裁選挙で河野太郎氏が「最優先の政策」として提案している「最低保障年金」は、彼が2009年に提案した改革案と基本的には同じだ。



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モラルハザードって何?

厚生労働省と東京都が「コロナ患者の病床確保料をもらって患者を受け入れない病院を調査する」と発表しました。これについて「補助金をもらって患者を拒否するのは詐欺だ」という批判が出ていますが、これは詐欺ではありません。モラルハザードという合理的な行動です。

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定価って何?



今週はガンプラの転売屋をめぐる騒動がありましたが、驚いたのは「定価で売らないのはけしからん」という声が多いことでした。オタクのみなさんはまだ社会常識を身につけてないのかもしれませんが、大人にもよくある誤解なので、簡単に説明しておきましょう。

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小売店はなぜ人気商品を値上げしないのか

転売騒動は一段落したが、この問題は昔から論じられており、一般論としては答が出ている。転売屋がもうかるときは超過需要が発生しているのだから、それがゼロになるまで小売店が値上げし、メーカーが増産すればいい。それをしないで、抽選にしたり転売屋を取り締まったりするから混乱が起こるのだ。

ではなぜ小売店は値上げしないのか。この問題は自明ではない。この手の話は海外でもあり、行列ができることでプレミアム感を出すなどの理由があげられているが、日本の場合はそれとは違う。日本では小売店が零細でメーカーの価格支配力が強く、「業界秩序」を守るためにメーカーが値上げを許さないのだ。

昔は、全国に「町の電気屋さん」があった。松下電器はナショナルショップだけに商品を卸し、安売りを許さなかった。ダイエーが安売りをしたため、松下はダイエーに出荷せず、訴訟を起こされて松下が負けたが、幸之助が死ぬまで出荷しなかった。これは系列店を生かさぬよう殺さぬように維持して、定価販売を守る知恵だった。

今も日本の小売店は零細で、労働生産性がアメリカのほぼ半分である。そのかなりの部分はコンビニで系列化されたが、コンビニでも定価販売(ヤミ再販)というカルテルが行われている。この流通機構の非効率性が、日本経済の停滞する大きな原因である。

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転売はユーザーの利益になる

先週から話題になっているホビージャパンの問題が、社員を解雇するという処分に発展した

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長期金利>名目成長率という「ブラックスワン」

WSJが気になるコラムを書いている。アメリカの物価連動国債インデックスの利回りが8%を超えたというのだ。これは1990年代以来だという。

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物価連動国債というのは「インフレ投機」である。物価が上がれば元本が上がり、インフレになればなるほどもうかる。現実のCPIは5%を超えたので、債券市場はインフレがさらに加速するとみているわけだ。FRBは「インフレは一時的な現象だ」としているが、このように当局とマーケットの意見が食い違う場合は、たいていマーケットが正しい。

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日本では誰も(日銀も)インフレを予想していないが、上の図のように日本の予想インフレ率(BEI)も、ゆるやかに上がり始めている。この背景には唐鎌大輔氏の指摘するようにISバランスが極端な貯蓄過剰になり、インフレのマグマが貯まっている状況がある。これもアメリカと似ている。

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この10年の世界経済(この20年の日本経済)の前提は長期金利r<名目成長率gだったが、それを提唱したサマーズでさえ、バイデン政権のインフレ政策は危険だと警告している。r>gの世界は、マクロ政策のすべての前提がくつがえる「ブラックスワン」なのだ。

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