経済

国民民主党が生き残るたった一つの方法

希望の党と民進党が合併してできた国民民主党は、世論調査で政党支持率が1%と、共産党の3%より低い。去年、希望の党が結成されたときは「保守」のイメージで新鮮さがあったのに、その後は「解釈改憲を許さない」という護憲政党に戻ってしまった。これでは立憲民主党と変わらない。連合がテコ入れをはかっているが、このままでは次の総選挙で消滅するだろう。

続きはアゴラで。

働き方改革はドイツに学べ



安倍政権の「働き方改革」関連法案から、裁量労働制の適用拡大の法案が切り離されることになった。「不適切データ」が原因だが、このデータには意味がない。裁量労働制と残業時間は無関係だからだ。「企業が裁量労働制を悪用してタダ働きさせる」というのは裁量労働制の問題ではなく、社員がノーといえない「正社員」の問題である。

今回の法案は、成立しても大した効果はない。コンセプトが混乱しているからだ。普通は雇用改革でもっとも重要なのは雇用の流動化だが、今回の改革には含まれていない。雇用を流動化すべきだという財界と正社員を守ろうとする労働組合が対立し、改革としては裁量労働制の拡大と高度プロフェッショナルだけが残った。

続きはアゴラで。

「働き方改革」は霞ヶ関から

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JBpressの記事で私も誤解していたので、補足しておく。厚労省の調査に「不適切データが117件あった」という数字は、それだけ見ると大きなミスのようだが、これは「全国の1万1575事業場を労働基準監督官が訪問した聞き取り調査のうち87事業場」の個票の数で、全体の0.75%である。

上の写真のように「1日に45時間残業した」という記入ミスを1件と数えているが、普通はこんな数え方はしない。統計の合計が間違っていたら、全体で1件である。数字を改竄したなら重大だが、個票には記入ミスも計算ミスもある。原データまですべて洗い出したら、国会答弁には膨大なミスがみつかるだろう。

国会で出てくる質問は氷山の一角で、ほとんどの答弁資料は準備したまま使われない。野党の質問通告は直前なので、官僚はみんな徹夜して資料づくりをやる。その中に一つでも間違いがあったら、今回のように答弁の撤回や厚労相の進退問題にまで発展するからだ。まず改革すべきなのは、こういう霞ヶ関の異常な働き方ではないか。

続きは2月26日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。(まぐまぐに引っ越しました)

「恐怖指数」の恐怖

日米の株価が暴落した原因は、株価の変動率を示すVIX(volatility index)だという見方が強まってきた。VIXは株価の変動が大きくなると上がる指数で、次のチャート(アメリカの株価)でいう「恐怖指数」だが、2月5日はこれが前日の2倍以上になった。

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VIXは「株価が大きく変動する」という指数だから、その逆指数オプションを買うと「株価があまり変動しない」という賭けをすることになる。それを組み入れたファンドの想定を上回って大幅に株価が下がるとVIXが上がり、コンピュータで自動的に株が売られて株価が下がり、それによってVIXが上がる悪循環になるという。

その長期的な影響はまだわからないが、機関投資家のもっているVIX逆指数ファンドの残高は、IMFの調べでは1500億~1750億ドルにのぼるという。VIXが大きく上昇したということは、VIX逆指数ファンドをもつ投資家に、かなり大きな含み損が出ていることになる。

続きは2月12日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。(まぐまぐに引っ越します)

仮想通貨はアナーキストの夢を実現できるか



コインチェックから盗まれた580億円のNEMは、返金されるかどうかあやしくなってきた。26万人の被害者に460億円を返すというが、そんな現金が本当にあるのかどうか不明だ。仮想通貨の所有権には、法的根拠がない。「被害者の会」もできたので、彼らがコインチェックの資産を差し押さえるかもしれない。

仮想通貨は、国家なしで通貨を発行しようというアナーキストの夢だった。金本位制では、通貨価値は金の使用価値で支えられていたが、戦後の管理通貨制度では、紙幣は金と交換できない。通貨価値は中央銀行が管理し、金融機関は強い規制のもとに置かれ、大きな独占レントが発生している。この独占を打破するのがビットコインの目的だった。

通貨の信用を電子的に保証し、国家の保護なしで所有権をデジタル化するブロックチェーン技術は、アナーキストの夢を実現したようにみえるが、今回の事件はその抜け穴を明らかにした。盗まれたNEMはどこにあるか追跡でき、犯人の電子署名もわかっているが、彼らが自発的に返金しない限り、それを取り戻すことはできない。国家の強制力がないからだ。

続きは2月5日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。(まぐまぐに引っ越します)

長期停滞か貯蓄過剰か

21世紀の長期停滞論: 日本の「実感なき景気回復」を探る (平凡社新書)
日本経済は世界のトップランナーである。1990年代に日本で始まったバブル崩壊もデフレも低成長も、2010年代のヨーロッパで繰り返されている。アメリカはバブル崩壊から立ち直ったが、成長率はリーマン・ショック前より低い。世界的な低金利でカネ余りなのに、インフレは起こらない。この謎については経済学者に、大きくわけて二つの意見がある。
  • 長期停滞:人口減少や高齢化や労働生産性の低下で、潜在成長率が低下した
  • 貯蓄過剰:新興国の経常収支が大幅な黒字になったが、それが国内貯蓄になって先進国に環流しないので、投資が不足している
統計的にはどちらを支持する証拠もあるので両方かもしれないが、結論は同じである:先進国が今後、景気対策で大きく成長することはできない。構造改革は必要だが、劇的な効果は期待できない。先進国に共通する問題は、社会保障の受益と負担の不公平だ。それは狭義の経済問題ではなく、政治の問題である。

続きは2月5日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。(まぐまぐに引っ越します)

「正社員」という言葉を一掃する雇用改革

JBpressの記事は最後がわかりにくいので、補足しておく。日本経済の問題が「生産性」だという安倍首相の認識は正しいが、これ自体は何もいわないに等しい。TFP(全要素生産性)上昇率は、成長率から資本蓄積と労働投入を引いた「残差」なので、中身はよくわからない。

その大きな要因は技術進歩だが、日本はイノベーションが大きく減退しているわけではない。残る要因は資本と労働の配分の効率性だから、資本・労働市場が発達して流動性が高いほど生産性は高くなる。資本も経営者も労働者も動きやすいアメリカ型の社会で、生産性が上がるのは当然だ。

だから安倍首相が施政方針演説で「働き方改革」によって「同一労働同一賃金」に規制して「非正規という言葉をこの国から一掃してまいります」というのは逆である。規制を強化すると雇用が固定化し、労働生産性は低下する。労働市場を自由化して、日本独特の「正社員」という雇用慣行を一掃する必要があるのだ。

続きは1月29日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

プライマリーバランスは黒字にならない

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きのう経済財政諮問会議に提出された「中長期の経済財政に関する試算」では、名目成長率3%以上の「成長実現ケース」でもプライマリーバランス(PB)の黒字化は2027年、2%以下の「ベースラインケース」では見通せる将来に実現不可能という見通しが出た。

これについて昨年はPB黒字化に言及しなかった安倍首相は、今回は「この夏までに基礎的財政収支の黒字化の達成時期と、その裏付けとなる具体的な計画を決定する必要がある」と述べた。PB黒字化を放棄したわけではないようだが、それは不可能だ。

この図の左側でも明らかなように、実質成長率はリーマンショックのあと大きくマイナスに振れ、財政赤字も激増した。2017年以降にPB赤字が改善したのは景気回復のおかげだが、それがあと10年も単調に続くことは考えられない。「2025年問題」も織り込まれていないように見えるので、ベースラインより下に外れるおそれが強い。

続きは1月29日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

安倍首相の好きな三橋貴明容疑者の国家社会主義

三橋貴明が傷害の容疑で逮捕された事件が話題になっているが、事件そのものは大した話ではない。私が驚いたのは、12月12日に彼が(藤井聡などと一緒に)安倍首相と会食したことだ。

その席で三橋は「プライマリーバランス(PB)黒字化目標が諸悪の根源だ」と主張し、首相は「何をやるにしても、全てPB黒字化目標が壁となり、何もできないという現実を認識している」と書いている。この話は根本的に誤っている。首相はもともとPB黒字化を目標とはしていないからだ。

続きはアゴラで。

投資のきらいな日本人が国債を支える

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2008年のリーマン・ショックから、今年で10周年。私の金融資産の大部分はドル建ての投資信託なので、去年はいい年だった。図のようにダウ平均(青線)はこの5年で約2倍になり、その間にドルは約40%上がったので、ダウ平均インデックスを買った日本の投資家の資産は、円ベースで2.8倍になった計算だ。

日経平均(上の図の赤線)はまだ「リーマン前」の50%高でアメリカには及ばないが、銀行預金よりはるかに有利な運用であることは間違いない。長期をとると銀行預金が最悪の資産運用であることは明らかだが、日本人はリスク資産への投資をきらう。

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日本の家計金融資産の50%強は預金で、世界的にみても異常に片寄っているが、ゼロ金利になっても変わらない。おかげでこの20年をとると、図のようにアメリカの家計金融資産が3.11倍になったのに対して日本は1.47倍。運用で2倍以上の差がついたが、実質金利マイナスの預金が国債の相場を支えている。これはいつまで続くのだろうか。

続きは1月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。






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