法/政治

野党は「2015年安保闘争」に敗北した


山口二郎氏の認識は正しい。2015年が日本の政治の岐路だった。14年に安保法制が成立したときは大した騒ぎにはならなかったのに、翌年大騒ぎになったのは、憲法調査会で自民党の証人だった長谷部恭男氏が「集団的自衛権は違憲だ」と証言したことが原因だった。

それまでは朝日新聞が違憲論をとなえていた程度だったが、このときから街頭にデモ隊が繰り出し、国会で乱闘が始まった。彼らはこれで政権を倒せると思ったのだ――1960年に岸信介を退陣に追い込んだように。

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立民党の「情報弱者マーケティング」の終わり

4年前に立憲民主党ができたとき、それは小池百合子氏が「排除」した民進党の左翼分子の集まりで55年体制への先祖返りだ、と私は批判した。予想どおり立民は社共共闘と同じ道を歩み、予想どおり自滅した。

しかし意外だったのは、こんな時代錯誤の政党が、ここまで野党第一党としてやってきたことだ。集団的自衛権を否定する立民の政策は世界にも類をみない極左であり、先進国には残っていない。ところが民進党の解党のとき前原代表などが構想していた国民民主党のような中道左派が苦戦している。

この原因は政策の違いというより、立民の議員が国会で執拗に繰り返すスキャンダル追及だろう。それは政策に興味も知識もないワイドショーの視聴者をターゲットにした情報弱者マーケティングなのだ。

野党の最大の弱点は、組織票が少ないことだ。自民党が戦後ずっと個人後援会という集票組織を守ったのに対して、野党には労働組合という求心力の弱い組織しかないので、最大の集票装置はマスコミだった。それもむずかしい政策を論じる政治部ではなく、政治家のスキャンダルを暴く社会部だった。

そういう情報弱者マーケティングの花形が、国会で派手に政府を追及する政治家だった。蓮舫氏が2016年に民進党の代表になったことはそれをよく示しているが、今回、辻元清美氏が落選したことは、その終わりを示している。

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立民の枝野代表は辞任して「長い55年体制」に決別せよ


時事通信より

今回の総選挙は「勝者なき選挙」だった。与党は293議席と絶対安定多数を維持したが、甘利幹事長が小選挙区で落選(比例復活)して幹事長を辞任する意向を示している。総裁選の論功行賞で金銭疑惑の払拭されていない甘利氏を幹事長に起用した岸田首相の人事が失敗だった。

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「ミスター現状維持」の代表する日本の政治

今回の総選挙は、何も争点のない退屈な選挙である。岸田首相が「成長より分配」を打ち出し、野党もバラマキを主張する。外交・国防では、野党も日米同盟を認め、何も対立点がなくなった。もう日本では政党政治は機能しないのかもしれない。

政党は身分制議会でできたものだ。イギリスでトーリー党とホイッグ党ができたとき、前者が地主を、後者がブルジョアを代表する党だった。当初は全体の利益に奉仕する議員が徒党(fraction)を組むことは望ましくないとされたが、エドマンド・バークは、利害の一致する人が政党(party)に結集することに積極的な意義を見出した。

バークは政党を「その連帯した努力により彼ら全員の間で一致しているある特定の原理にもとづいて国家利益の促進のために結合する人間集団」と定義した。社会の全員の利害が一致するまで待っていると何も決まらないので、特定の階級の多数決で決めるのが議会政治である。

ところが日本社会には、こういう利害を共有する大集団(階級)がない。日本社会の単位は人間関係で結びついた小集団(家)なので、それを結びつける共通点は現状維持だけなのだ。「ミスター現状維持」と呼ばれる岸田首相は、その意味では久しぶりに自民党らしい首相である。

続きは10月25日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

河野太郎氏はなぜ「小泉首相」になれなかったのか

今回、世論調査で圧倒的な人気だった河野太郎氏が敗れ、2001年の「小泉旋風」のような劇的な展開にならなかった原因は、選挙制度の違いにある。

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2001年の自民党総裁選(共同通信)

2001年の選挙では、県連票が各県3人で、トップの候補が総取りだった。このため田中真紀子氏とともに全国を遊説して「自民党をぶっ壊す」と説いた小泉純一郎氏が、41の県で123票を取った。この勢いに押されて議員票も小泉氏に流れ、
  • 小泉純一郎 298票(議員票175、県連票123)
  • 橋本龍太郎 155票(議員票140、県連票15)
  • 麻生太郎  31票(議員票31、県連票0)
で小泉氏が圧勝したのだ。今回は県連票は決選投票で各県1票で、ここでは39対8で河野圧勝だった。これが3票で総取りだったら、117対24で小泉氏に近い圧勝。県連の票読みは事前にわかるので、議員票も河野氏に流れ、河野総裁になっていただろう。

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NHKより

続きは10月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

「岸田総裁」の命運を決めるのはコロナ対策だ

あす投開票の自民党総裁選挙の大勢が判明した。共同通信の票読みでは、河野氏が300票を超えたが、第1回投票では過半数に達しない。岸田氏が約230票、高市氏が約170票で、決選投票は河野vs岸田になることがほぼ確定した。


西日本新聞より

決選投票では議員票だけが問題なので、岸田氏と高市氏の2・3位連合ができれば、岸田氏の議員票140票に高市氏の議員票100票が上積みされ、240票で、総投票数(430票)の過半数になり、河野氏を逆転する。

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高市早苗氏は中韓に迎合する「風評加害者」



高市早苗氏の原発処理水についての発言(1:20ごろ~)が問題になっている。これは今年4月のブログ記事で彼女が書いたことと同じだが、根本的な誤解がある。

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河野太郎氏は「脱原発」を封印したのか

日本を前に進める (PHP新書)
自民党総裁選挙で、今のところ世論調査でトップを走っているのは河野太郎氏である。きょうは石破茂氏が出馬しないで河野氏を支持するというニュースが流れ、一段と有利な情勢になってきた。しかし彼の最大の不安要因はエネルギー政策である。

河野氏はかねてから、自民党の中で唯一「脱原発」を公言してきた。ところが本書には「脱原発」という言葉は、1回しか出てこない。それも核燃料サイクルを論じる中で出てくるだけで、かつて河野氏の主張していた「原発ゼロ」は出てこない。

これは好意的にみると、脱原発を卒業して大人になったとみることもできるが、総裁選向けに一時的に封印しただけとみることもできる。今までと変わらないのは、核燃料サイクルに全面的に反対していることだ。本書ではASTRIDなどの高速炉が挫折したことをあげ、再処理からの撤退を提言している。

この点は河野氏が正しい。2013年に故澤昭裕氏と私と3人で話したときも、核燃料サイクルに未来はないという点で、河野氏と私の意見は一致した。問題はその先である。

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続きは9月13日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)

医師会中心の医療行政を転換せよ

東洋経済オンラインの記事が話題になってツイッターのトレンドに入っているが、中身はアゴラでこれまで指摘してきたことと同じだ。

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厚労省を自縄自縛する「役所の掟」

コロナ問題は医療行政を根本的に問い直している。人口あたり世界一の病床がある一方、被害は欧米の1/20なのに、なぜ「医療崩壊」などと騒がれるのか。なぜ保健所は病院に患者の受け入れを命令できないのか。厚労省は、なぜコロナを5類に落とさないのか。

その原因は簡単にいうと、役所が無能だからである。これは官僚の能力が低いという意味ではない。実は日本の役所には、民間を取り締まる法的強制力がほとんどないのだ。医療法30条では「都道府県知事は、医師の確保を特に図るべき区域の病院又は診療所における医師の確保に関し必要な協力を要請することができる」と定めているだけで、命令する権限がない。

それでもコロナのように新型インフル等感染症(1類相当)だと、感染症法38条で「特定感染症指定医療機関は、一類感染症、二類感染症及び新型インフルエンザ等感染症の患者に係る医療について、厚生労働大臣が行う指導に従わなければならない」という規定があるので、厚労省はそれに従わない病院の指定を取り消すことができる。

この指定取り消しが、行政が病院に対して行使できる唯一のペナルティである(今年初めの感染症法改正で都道府県知事が民間病院にも患者受け入れを「勧告」できるようになったが、罰則はない)。このため厚労省は1類相当の指定を残したまま、無症状や軽症の患者を入院対象からはずすなどの「弾力的運用」で実態に合わせてきた。

おかげで調整業務が保健所に集中し、それがボトルネックになって自宅療養で死者が出るようになった。厚労省は「役所の掟」に自縄自縛になっているのだが、1類相当を変えようとしない。それが政治力でまさる医師会と戦う唯一の武器だからである。

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