法/政治

米中戦争のシミュレーション

War with China: Thinking Through the Unthinkable
日本では漫才師や憲法学者が「憲法を改正したら戦争に巻き込まれる」とのんきな話をしているが、米中戦争のリスクは(憲法とは無関係に)高まっている。本書は米軍の委託によるランド研究所のシミュレーションで、PDFファイルでも読める。主要な結論は次の通り:
  • 米中両国が交戦すると、双方に莫大な軍事的損害が発生するが、2015年の段階では米軍の損害は中国(GDPの25~35%)に比べると小さい。
  • 米中の損害のギャップは、中国のA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略が改善されるにつれて縮まり、2025年にはかなり接近する。
  • 米中戦争が起こると中国の貿易は大幅に縮小し、特にエネルギー供給が大きな打撃を受ける。
  • 日本の軍事力の増加が、日米共同作戦に大きな影響を及ぼす。
米中が開戦する可能性として5つのシナリオを例示しているが、日本に関係が深いのは尖閣諸島から(偶発的に)戦争が始まるシナリオと、北朝鮮の政権が崩壊するシナリオである。現代戦の主役はミサイルであり、早ければ数日で決着する。「巻き込まれるか否か」などという選択の余地はないのだ。

続きは8月21日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

石川健治東大教授は「憲法の漫才師」

8月15日に、このツイートがちょっと話題になった。ネット上では「なぜ左派の人たちは『戦場へ行く』の発想になるのか。なぜ今住んでいる街、今いる場所が戦場になると思わないのか」という批判が出ているが、村本の話は東大法学部の憲法学講座を担当する石川健治教授と同じである。

続きはアゴラで。

「8月革命」という欺瞞の終焉

8月15日に起こった革命で日本国民が主権者になったという「8月革命」を丸山眞男の説という人が多いが、彼の著作にも座談にも(生涯を通じて)この言葉は一度も出てこない。その典拠とされるのは「超国家主義の論理と心理」(『世界』1946年4月)の結びの言葉だが、ここでも8月革命という言葉は使っていない。
日本軍国主義に終止符が打たれた八・一五の日はまた同時に、超国家主義の全体系の基盤たる国体がその絶対性を喪失し今や始めて自由なる主体となった日本国民にその運命を委ねた日でもあったのである。
宮沢俊義が「八月革命と国民主権主義」(『世界文化』1946年5月)でこの言葉を使ったのは丸山の後で、これはマッカーサー草案についてのコメントだった。宮沢は東京帝大の憲法研究調査委員会の委員長で、その書記だった丸山がこの言葉を使い、それを彼の了承を得て論文に使ったと述べたが、議事録には残っていない。

「8月革命」は、自分の書いた明治憲法修正案(いわゆる松本案)をGHQに否定された宮沢が、それを正当化する欺瞞だったが、彼に丸山がヒントを与えたことは考えられる。国民が「自由なる主体」として新たな憲法を制定したというのはフィクションだが、そう考えない限り天皇主権の国家が主権者を否定することはできないからだ。ここでは第9条は付随的な問題だったが、次第に丸山の問題意識は見失われ、憲法はもっぱら「平和憲法」として理解されるようになった。

続きは8月21日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

戦略としての対米従属

アゴラの合宿は盛り上がり、やばい話も出たが、オフレコなので一般論で感想をメモ。安倍首相が秋の国会に憲法改正案を出すことを断念して憲法論議は振り出しに戻ったが、これは国防のあり方を根本から考え直すチャンスともいえる。

憲法改正を党是とする自民党の結成以来、改正案を出した総裁は、実は安倍氏が初めてである。自民党ハト派はもちろん、中曽根総裁も小泉総裁も出さなかった。その理由は複雑だが、単純化すると対米従属が快適だったからだろう。これは高坂正堯のいう「軽武装」だが、単なる経済主義ではない。

1951年にアメリカの求める再軍備を拒否した吉田茂には、それなりの計算があった。朝鮮戦争の起こっている東アジアで、貧弱な戦力で日本を守ることは不可能だった。米軍基地を日本に引き留めるには、日本があえて丸腰で「属国」になることが一つの戦略だった。このために彼がアメリカに提供したのが、日米行政協定(今の地位協定)という不平等条約だった。

続きは8月7日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

北朝鮮のミサイルは迎撃で防げるのか



28日に日本近海に落とされた北朝鮮のミサイルは、潮匡人さんによるとICBMと断定してよい。弾道ミサイルはこれが最初ではないが、大気圏に突入して海に落ちるまでの映像がNHKの複数のカメラに収められている。

3500kmの上空から海面までほぼ原型をとどめて落ちてきたのは「大気圏に再突入する際の高熱に耐える素材の開発か輸入に成功した」と推定できるそうだ。光っているのは摩擦熱で、熱に耐えない素材だとバラバラになって飛散するが、この映像では一つの閃光のまま海面に突入している。

続きはアゴラで。

蓮舫「二重国籍」問題の超簡単なまとめ


蓮舫問題は、本来ここまで大きくなる話ではなかった。去年8月末、八幡さんが「蓮舫にまさかの二重国籍疑惑」という記事を書いたとき、私は「大丈夫ですか? 代表選挙の前だから名誉毀損でやられると面倒ですよ」といって事実をチェックしたほどだ。ところがその後、彼女が自分でどんどん問題を大きくした。話を時系列で簡単にまとめておこう。

続きはアゴラで。

安倍首相は違法ではないが蓮舫代表は違法である


国会の閉会中審査が終わった。加計学園についての集中審議で何か出てくるのかと思ったが、野党は何も出せなかった。そもそも最初から、これは何が違法なのかわからない事件だった。首相の問題だから多少の疑惑が追及されるのはしょうがないが、森友学園の用地買収にからむ不正のような違法性の疑惑さえなかった。

続きはアゴラで。

霞ヶ関で爆発した終身雇用の「不満のマグマ」

NewsPicksが「官僚たちの逆襲」という特集をやっている。官邸主導から官僚を解放し、雇用が流動化してろくな人材のいなくなった役所にエリートを取り戻せというが、これは問題を真逆に見ている。

アメリカでは、官僚は自由に動く。トランプ大統領になると1000人以上が民間から政治任用され、オバマ政権の幹部はクビになるが、彼らは「回転ドア」で民主党系のシンクタンクに行ったり、民間企業に行ってロビイストになったりする。

こういう雇用流動性があれば政治任用の弊害は少ないが、日本のように終身雇用だと、安倍政権に逆らって左遷されると不満がたまり、加計学園のようなしょうもないネタをマスコミに売り込んで騒ぎを起こす。内閣人事局のできたときから、こういう人事に対する不満のマグマが官僚に貯まっていたようだ。いま官僚の標的になっているのは菅官房長官で、各省の官僚は「内閣の意向を振り回す」とか「安倍政権にゴマをする幹部が出世する」という。

続きはアゴラで。

ガラパゴス平和主義というモラル・ハザード

アゴラの記事が反響を呼んでいるので、ちょっと補足しておこう。「憲法9条で戦力をもたないで平和を守る」というガラパゴス平和主義は、日本が孤立した国だったらナンセンスだが、日米同盟があればアメリカに戦争のリスクを押しつけることができる。これをタレブの理論でいうと、次のようなペイオフの非対称性がある。

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日本が戦力をもっていないと平時には利益を得るが、戦争になると(点線のように)損害が出る。その利益の期待値をゼロに基準化すると、戦争のとき在日米軍でリスクヘッジできれば、利益の平均(期待値)はFになる。この「平和に賭けるギャンブル」は、賭け金が大きいほどもうかるのだ。

このペイオフ構造は株式市場のコール・オプションと同じだが、株式の場合にはその保証料(オプション価格)を取られる。ところが日米同盟は「思いやり予算」というわずかな保証料で、日本が米軍にただ乗りする不平等条約になってしまった。これは吉田茂のモラル・ハザードだったが、あまりにも快適なので与野党とも抜けられなくなった。

続きは7月24日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

台湾政府は民進党の弱みを握った

JBpressで蓮舫問題の経緯をざっとおさらいしたが、今週の会見で疑惑はむしろ深まった。最大の疑問は、この1984年に失効したパスポートで、台湾政府の国籍喪失証明書が取れるのかということだ。

民進党は記者レクで「台湾政府の特別な配慮で喪失許可がおりた」と説明したが、その意味ははっきりしない。有効な旅券がなかったのに台湾政府が超法規的に許可した、といいたいようだが、それは考えにくい。

続きはアゴラで。






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