法/政治

大統領と議会と裁判所のエッシャー的循環



きのうのVlogでは「大統領令の差し止め訴訟は、連邦最高裁で連邦政府が負けるだろう」と予想したが、予想より早く連邦政府が上訴をあきらめ、政府の敗北が確定した。この大統領令は一種の「お試し」で、トランプは別の大統領令を考えているようだ。

ただ大統領令が司法で差し止められたという事実は重い。合衆国憲法では大統領の権限は弱く、法案提出権は連邦議会にしかないが、大統領はその例外として大統領令を出すことができる。これに議会が同意しない場合は訴訟で決着をつけるが、その最終決着をつける連邦最高裁の判事は大統領が指名する。つまり

 大統領<連邦議会<連邦最高裁<大統領…

というエッシャー的な無限ループになっている。本場の「立憲主義」は、ガラパゴス憲法学者や朝日新聞の考えているほど単純ではないのだ。本当の最高権力はどこにあるのだろうか?

続きは2月13日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

ゲーデルの証明した合衆国憲法の矛盾

「立憲主義」は、朝日新聞やガラパゴス憲法学者が空騒ぎしたので、頭の悪いリベラルのお題目ぐらいに思われているだろうが、いまトランプ大統領のやっている大統領令の乱発は、本物の立憲主義の危機である。

歴史上もっとも民主的だったワイマール憲法がヒトラーの出現をまねいた原因は、第48条の非常事態条項だった。それは「公共の安全・秩序の確保に失敗した場合には、ドイツ国大統領は、基本的人権の一部または全部を一時的に停止することができる」と定められていた。

この非常事態条項にもとづいてヒトラーは共産党の議員を逮捕し、議会の2/3以上の多数で全権委任法を可決して憲法を停止した。これは手続き的には違法ではなかった。アーレントがいうように、ナチスは「合法的な革命」であり、それを阻止するには「主権」を廃止して法の支配(立憲主義)を徹底することが必要だと彼女はのべた。

では合衆国憲法は、トランプがヒトラーになることを阻止できるだろうか? 1948年、ナチスから逃れたクルト・ゲーデルは、アメリカ市民権を取得するときの審査で「合衆国憲法には矛盾があり、独裁国家に合法的に移行できる」と主張し、入国審査官を驚かせた。

続きは2月13日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

韓国の救いなき「反日ポピュリズム」


朴大統領の辞任表明を受けた韓国の大統領選挙は元国連事務総長の潘基文氏が撤退し、「反日・親北朝鮮」を売り物にする左翼系の文在寅氏が勝つ見通しが強まった。こういう精神的途上国を相手にしてもしょうがないが、なぜこういうデマゴーグが毎度出てくるのかを理解しておく必要はある。

続きはアゴラで。

トランプ大統領の「憎悪のデモクラシー」



トランプ大統領の入国禁止令は世界に大混乱を巻き起こしているが、教科書的なポピュリズムである。これはラクラウのいうように記号としての「敵」を外部に作り出して民衆を団結させる、ラディカル・デモクラシーだ。その元祖はマルクスの「プロレタリア独裁」だが、それはヒトラーのホロコーストとも同じだ。

トランプの知性はマルクスとは比較にならないが、ブルジョア階級の代わりにイスラム教徒のテロを恐れる白人の感情をあおる戦術は巧妙だ。世界から非難を浴びても、国内の支持率は50%を超える。革命が成功する上で重要なのは、マルクスのような高度な理論ではなく、トランプのように大衆の憎悪をあおることなのだ。

続きは2月6日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

JASRACの「演奏権」は自然権か

JASRACが音楽教室から著作権料を徴収する方針を決めたことに対して、ヤマハや河合楽器など大手の音楽教室が反発している。ネット上でも批判が圧倒的に多いが、これに敢然と反論したのがJASRAC理事の玉井克哉氏だ。

続きはアゴラで。

憲法のコアは第9条ではなく第1条である

JBpressの記事では明治以降の「天皇制」が古来の伝統ではないという歴史学の常識を書いたが、かりに伝統だったとしても現在の天皇制を維持する理由にはならない。立憲主義によれば、憲法は主権者たる国民がその幸福を最大化する制度だから、1000年続いた伝統でも悪い制度はやめるべきだ。

続きはアゴラで。

デモクラシーは民主主義ではない

トランプの就任演説は予想通り凡庸で無内容だったが、これがデモクラシーである。アメリカ国民の多くは後悔しているだろうが、これから4年間、彼らは自分たちの選んだ「平均的に愚かなアメリカ人の代表」とつきあっていかなくてはならない。

丸山眞男が直面したのも、同じパラドックスだった。「[新憲法で]いちばん予想外だったのは、第9条の戦争放棄ではなく、第1条の人民主権でした。[…]社会党でさえ国家に主権があるという国家法人説で、高野岩三郎さんの私案と共産党以外はどこも人民主権を謳っていなかった」(「戦後民主主義の『原点』」)。その人民主権が生んだのは、彼の憎んだ岸信介首相だった。

主権者たる国民の自由な選択が最悪の結果をもたらす――この矛盾を解決しようとして出てきたのが「民主主義は永久革命である」という丸山のスローガンだった。Democracyは「民衆による支配」という制度で「主義」という意味を含んでいないが、彼はあえて民主主義という言葉を使い続けた。そこには制度を超えた理念を掲げることで自民党という既成事実を超えようとする志があったが、それは思わぬ原因で挫折してしまう。

続きは1月23日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

小池知事のヒトラー的手法

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東京都の小池百合子知事が、きのうの記者会見でこう述べた。
石原元知事に対しまして平成24年に東京地裁に訴状が提出されています。これは2011年3月、東京都と東京ガス株式会社、および東京ガス豊洲開発株式会社との間で行われた売買契約に関しまして、東京都は石原元知事に対して約578億円を請求せよという中身になっております。[…]

東京都といたしまして、豊洲の土地購入に係る当初からの事実関係をまず明らかにしていこうと。そしてこれまでの住民訴訟への対応をあらためて検討し直したいと、このように考えております。

続きはアゴラで。

「自粛の全体主義」をもたらす戦後の国体



ゆうべの言論アリーナは、マスコミの語らない「天皇」がテーマだったが、一つ小さな誤りがある。橋本大二郎さんが昭和天皇の容態を毎日報告し始めたのは、1988年9月からだった。入院のとき、NHKが間違えて「危篤」のマニュアルを適用してしまった。すぐ終わると思ったら100日以上かかり、各社がNHKに追随したため、全国で「自粛」が始まった。

皇居のすべての門の前に各社のテントが並び、真冬にお堀端に徹夜で張り込んだおかげで、カメラマンが1人死んだ。現場から「24時間ベタ張りはやめてほしい」という声が出たが、当時の島桂次会長が「NHKが抜かれたら私は腹を切らなければならん」といった。その結果、撮れたのは、半蔵門から侍医が皇居に入る一瞬の映像だった。張り込みのコストは1日100万円といわれたので、あのワンカットに1億円かかったわけだ。

丸山眞男も1988年11月の座談会で、この異様な雰囲気を自粛の全体主義と呼んだ。それは大正天皇の崩御のときはなかった現象で、むしろ1930年代の「国体」騒ぎの雰囲気に似ているという。「戦争と非常によく似ている。誰が戦争をここまで拡大し、誰の命令でああいうふうになったのか、ついにわからないわけ」。朝日新聞も彼を招待した創立110周年記念行事をキャンセルしたが、理由は不明だった。

続きは1月23日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

豊洲移転の中止はコストが大きすぎる


毎日新聞によると、東京都の小池知事は豊洲移転について、こう答えている。
--豊洲には既に6000億円をつぎ込んでいる。築地市場をもう一度活用するとか、あるいは第三の場所の検討は。
(小池)これまで都も、ありとあらゆる方策を考えてきたのだろう。豊洲という場所に決めたことには私自身、もともと疑義がある。サンクコストにならないためにどうすべきか客観的、現実的に考えていくべきだ。
ここで彼女は「サンクコスト」の意味を取り違えているが、これはすでに発生して回収できないコストなので、豊洲の移転費用のほとんどはすでにサンクコストになった。設備に再利用可能なものは少しあるだろうが、特殊な建物なので、再移転費を考えると6000億円と大きく違わないだろう。

続きはアゴラで。






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