法/政治

「政治空白」をつくっているのは野党だ

臨時国会の冒頭解散で、10月22日投票というスケジュールになりそうだ。野党は例によって「解散の大義名分がない」とか「北朝鮮の脅威が強まっているとき政治空白をつくるべきではない」などと批判しているが、私はそうは思わない。安倍首相の意図は政権の延命かもしれないが、政治は結果がすべてだ。

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非核三原則の「持ち込ませず」は嘘である

NHKスペシャルという番組は過大評価されているが、つくっているのは半年ぐらい勉強した素人で、大部分は既知の情報である。きのう放送の「スクープ・ドキュメント 沖縄と核」も、昔は沖縄に核兵器があったとか、沖縄返還の密約で「有事の核持ち込み」が決まったとか、古い話ばかりだったようだ。

唯一の新情報らしきものは、スタッフが書いている1959年に那覇市で起こったという誤射事故だが、「もし(海に落ちないで)核爆発を起こしていたら、那覇の街が吹き飛んでいたでしょう」というのは誤りである。核弾頭は正確に起爆(implode)しないと核爆発しない。那覇市内に落ちても、ただの落下物である。

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吉田茂が密約でつくった戦後日本の「裏の国体」

自民党の高村副総裁が「来年の通常国会で憲法改正を発議する」というスケジュールを打ち出した。あと半年でやるとなると、安倍改正案に近いものになろう。ベストとはいいがたいが、国際情勢が緊迫しているときに国会で憲法論議ばかりやる悪弊を除くためには、改正したほうがいいと思う。

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核を「持ち込ませない」原則に意味はない

きのうのVlogは軍事的常識のない人にはむずかしかったようだが、これからは一般国民も知っておくべき知識なので補足しておこう。非核三原則には法的根拠がないばかりではなく、日本政府が米軍に「持ち込むな」ということはできない。日米地位協定によって在日米軍はアメリカ政府の指揮下に置かれ、日本政府の支配には属さないからだ。

これは在外公館のような「治外法権」だが、その及ぶ範囲は基地の中だけではない。東京のまわりにある横田・厚木・横須賀基地の管制空域(横田空域)は、次の図のようにほぼ首都圏全域をおおい、旅客機はこの空域を避けて離着陸しなければならない。たとえば伊丹から羽田に飛ぶ飛行機は、房総半島に大きく迂回して南から着陸する。

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首都の上空が外国の管制空域になっているのは世界でも珍しいが、それを単に「対米従属」と批判してもしょうがない。こういう状態になった背景には、複雑な事情があるからだ。続きを読む

米軍の「先制攻撃」はあるのか



北朝鮮がICBM発射に続いて「水爆実験」をやり、さすがにガラパゴス平和主義の界隈も静かになったようだ。客観的にみて、東アジアでこれほど戦争のリスクが高まったのは、朝鮮戦争の終わった1953年以来だ。具体的なシナリオはいろいろあるが、1994年にクリントン政権が実際に検討したのは、寧辺にある核施設の爆撃だ(写真はGlobal Security)。

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日米安保は「日本を守る条約」ではない

朝日新聞やガラパゴス憲法学者をバカにするのはもう飽きたが、「国際政治学者」にも「イスラム法学者」にも常識が欠落しているので、わかりきったことだが補足しておく。日米安保条約が存続する限り、アメリカが日本の核武装を認めることはありえない。日米同盟の目的は、旧敵国たる日本の軍事的自立を阻止することだったからだ。

日米安保は「日本を守る条約」ではなく、来たるべき第3次大戦で日本を前進基地として犠牲にして「自由主義陣営」を守る条約だった。これは1950年代には、「全面講和」派も「片面講和」派も認識していたことだ。丸山眞男はこう書いている。
仮に自由主義と共産主義とが原理的に全く反撥すると仮定しても、そのことから、その一を奉ずる国家ないし国家群と他を奉ずる国家ないし国家群とが、必ず対立し反撥するという結果は出て来ない。[…]逆に相似たイデオロギーを持った国家が干戈を交えた例は、史上殆ど枚挙に暇がない。(「三たび平和について」)
そして彼はクインシー・ライトの「民主政治の国々が専制政治の国々より戦争に介入する度合がヨリ少なかったという証拠は殆ど出て来ない」という言葉を引用して、暗にアメリカがまた日本を攻撃する可能性はゼロではないと示唆している。安保条約はアメリカの攻撃に対して日本を武装解除したが、アメリカは日本を防衛する義務を負わなかった。

続きは9月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

日本は核武装できるのか



北朝鮮が、今度は日本の上空を通過するミサイルを発射した。これと前後して掲載された三浦瑠麗氏のコラムが話題を呼んでいる。特に問題なのは、日本が「核攻撃能力」をもつことを推奨した部分だ。
強硬な動きと穏健な動きの両方が必要だ。強硬面では、北朝鮮周辺でアメリカが持つ軍事力の増強が必要だろう。北朝鮮の核施設やミサイル基地を狙った攻撃能力や、情報機関の格上げ、さらに日本と韓国が独自の核抑止力を持つことすら必要になるかもしれない。[…]

核攻撃能力は、日本と韓国が独自に抑止力を持つために必要だろう。さらに重要なことに、それによってアメリカから有意義な行動を引き出せる可能性もある。

続きはアゴラで。

枝野幸男氏の取り違えている「日本流保守」

民進党の代表選挙は、争点がよくわからないので盛り上がらない。特に憲法改正については、いずれ国会で党としての見解を出さなければならないのだから、態度を明確に打ち出したほうがいいと思うが、かねてから「第9条2項を見直すべき」と主張していた前原誠司氏はその主張を封印してしまった。

他方、枝野幸男氏は「私は保守だ」と言い始めた。産経新聞の報道によると彼は、トークイベントでこう言ったそうだ。
保守とリベラルって対立概念じゃないですから。リベラルという言葉は多義的だから。新自由主義的な色合いの強い古典的なリベラルから、多様性を認めて社会保障に力を注ぐソーシャルリベラリズムまで、リベラルだっていろいろあるし。

保守といったって、何を保守するんだ、と。僕は「和を以て貴しとなす」からの日本を保守するんだったら分かるけど、安倍晋三首相は明治維新以降の欧米化された日本を保守しようとしてるから、保守する対象が違う。

続きはアゴラで。

サンクコストから所有権が生まれた

所有権が法的に確立したのは近代ヨーロッパだが、既得権を守るしくみは昔からあった。それを身体の自由と結びつけて「自己労働の所有」として正当化したのはジョン・ロックだが、彼の論理は破綻している。特に、明らかに労働の成果ではない土地の所有権をどう正当化するのかが不明だ。

それがサンクコストから生まれた、というのがボウルズなどの説である。これは進化ゲーム理論の応用で、次のようなおなじみの「チキンゲーム」を考える。相手がタカだったら自分はハトになり、相手がハトだったらタカになる複数均衡が存在し、ある土地で複数の個体群が争うとき、タカになったほうが支配し、ハトはそれに従うので、土地の支配権をめぐって戦いが起こる(ペイオフは対称)。

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このとき自分が最初にいたらタカになり、あとから行ったらハトになる戦略(所有権)を加えると、図のようにこれが進化的に安定する。今まで巣をつくったり子供を育てたりしたサンクコストを守ることが(個体群としては)合理的なのだ。こういう例は動物でもたくさん見つかっており、サンクコストを守る人間の心理(賦存効果)の一部は、遺伝的なものとも考えられる。

続きは8月28日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

「保守」のポジションがあいている

民進党の代表選挙は盛り上がらないが、意外に大事である。今の情勢では前原氏が当選すると思われるが、民進党の94議席という勢力は中途半端で、選挙協力なしには生き残れない。民進党というのは過渡的な政党で、いずれ再編されるだろう。新しい代表は、その要になる可能性がある。



続きはアゴラで。






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