科学/文化

厚労省はなぜ人口動態統計を隠すのか

厚生労働省は、2020年の人口動態統計の年間推計を発表しないことを決めた。厚労省ホームページによるとその理由は、死亡数が1~10月の累計で減少したことなどから、「年間推計を機械的に算出した場合には、算出した推計値が実態と乖離することが想定されるため」だという。

昨年10月までの死亡数は約113万人で、2019年より約1万4000人(1.2%)少なく、このペースだと通年の死亡数は1万6000人以上減ったと推定される。このため人口動態でみても、毎年減っていた人口が下げ止まった。



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「ファクターX」の正体は何か

新型コロナ 7つの謎 最新免疫学からわかった病原体の正体 (ブルーバックス)
新型コロナについての菅政権の方針が迷走している一つの原因は、有識者会議のメンバーの主流が疫学の専門家で占められていることだと思う。彼らは感染を防ぐことが専門なので、感染をゼロにしろと提言する。それは気象学者が気候変動のリスクをゼロにしろというのと同じだ。

その共通点は、複雑なマクロ的現象を単純なモデルで予測することだが、本書は免疫学というミクロの立場から、西浦モデルのような単純化は「大きな誤解」だと批判する。そのモデルが正しければ、感染が起こると指数関数的に拡大して、人口の6割ぐらい感染して集団免疫になるまで止まらないはずだ。

しかし日本では2割ぐらいしか感染していないと推定される。感染が途中で収束するのは、人間の免疫機能に大きな個人差があるからだ。最初に感染する人の感受性は高く、次第に低い人に感染する。人々は社会的距離をとるようになる。それは「再生産数」という定数ではなく、時間とともに変わる変数なのだ。

また感受性は、地域によっても大きく違う。日本ではコロナ死亡率がヨーロッパに比べて大幅に低いが、これは生活習慣などでは説明できない。このファクターXの正体は何かが本書の最大のテーマである。

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緊急事態宣言より「院内感染保険」の創設を

きのう一都三県の知事が政府に緊急事態宣言の発令を求めたが、これは社会に大混乱を引き起こすだけで、肝心の医療の逼迫という問題を解決する効果がない。問題は飲食業を休業させることではなく、医療資源が偏在していることである。境田正樹氏によれば、
国内の約8400の病院のうち、新型コロナ患者受入可能医療機関は1700機関、また、ICU等を有する医療機関は1007機関ありますが、実際に新型コロナ患者で人工呼吸器、 ECMO又はその両方を使用した患者を受け入れている医療機関は307機関に過ぎません。この307の医療機関のうち、特に大都市圏の医療機関の新規重症患者の受入キャパシティがほぼ底をついてきたというのが今日の状況です。

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啓蒙はなぜ敗北したのか


昨年、印象的だったのは、コロナについてのドイツのメルケル首相の12月の演説である。

私は啓蒙の力を信じています。ヨーロッパが今日あるのは啓蒙のおかげであり、科学的知見が従うべき事実だという信念によるものだと信じています。

私は旧東ドイツで、物理学の研究を志しました。西ドイツに生まれていたら、そうしなかったかもしれません。私が物理学を研究したのは、科学への確信があったからです。多くのものが否定できますが、重力や光速などの事実は否定できません。

これは再度ロックダウンした彼女に対する「(ロックダウンの効果は)証明されていない!」という右派野党(AfD)の野次に対する反論だが、こういうとき咄嗟に「啓蒙を信じる」という言葉が出てくるのはドイツ人だけだろう。

スターリンにも、物理学の法則は否定できなかった。メルケルはロックダウンの根拠となる疫学理論が、物理学と同じ客観的真理だといいたいのだろうが、彼女の信念に反して感染は科学で止めることができなかった。初期には「感染のコントロールに成功した」と賞賛されたドイツのコロナ死亡率は、フランスやスペインを抜いてしまった。

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日本医師会が「医療緊急事態」を打開するためにできること

きのう日本医師会など9団体が「医療緊急事態宣言」を出した。それによると日本は医療崩壊の瀬戸際で、このままでは「国民が通常の医療を受けら れなくなり、全国で必要なすべての医療提供が立ち行かなくなります」という。

医療が逼迫していることは事実だろうが、日本のコロナ死亡率はヨーロッパの1/50で、人口あたり病床数は世界一である。それが本当に崩壊の危機に瀕しているのだろうか。



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政府はなぜ指定感染症を延長するのか

厚生労働省の感染症部会は、来年1月末で切れる新型コロナの「指定感染症」扱いを、2月以降も延長する方針を決めた。この理由は「医療崩壊を避けるため」ということになっているが、これはおかしい。



先週の言論アリーナで森田洋之さんも指摘したように、人口あたりベッド数が世界一で、コロナ死亡率がヨーロッパの1/50の日本で、医療崩壊が起こるはずがない。医療が逼迫しているとすれば、問題はコロナウイルスではなく医療資源の配分のゆがみにある。機材よりも医師・看護師の配分が硬直化している。

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死者の減っている日本で緊急事態宣言は必要ない

東京で「過去最多の感染者」が出たと盛り上がり、野党も緊急事態宣言を出せと要求し始めた。「今年のインフル患者は200人なのにコロナは18万人だから大変だ」という人がいるが、これは単純に比較できない。

もし自粛や感染症対策でインフルが減ったとすると、武漢の大流行が報じられた1月後半以降のはずだ。ところが昨年末まで平年を上回るペースで増えていたインフル患者が第1週に下方屈折し、1月後半には昨年の1/4に激減した。


インフルエンザ患者数(国立感染症研究所)

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「ファクターX」は幻想か


岩田健太郎氏が「ファクターXは幻想だ」というので、何か新しい科学的エビデンスが発見されたのかと思って読んでみると、その根拠は
残念ながら現状では、ファクターXを強力に立証する報告はない。細かな、マイナーな報告はなくはないが、それをもって日本人が安全に観光旅行を楽しめる理由付けには到底ならない。

これだけである。エビデンスは何もない。ファクターXが「安心を醸成するキーワード」というのは逆である。彼のような専門家が統計的に根拠のない「不安」をあおったことがパニックを引き起こしているのだ。

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感染症の死者は昨年より大幅に減って人口減少が止まる

新型コロナは欧米では深刻な脅威だが、日本では季節性インフルエンザより大きな脅威ではない。感染症のリスクを国際比較するには、コロナだけではなく他の感染症を含めて平年より死者が何人増えたかという超過死亡でみる。


図1 海外の超過死亡(FT.com)


図1を見ればわかるように、アメリカでは12月までに超過死亡が27万3000人にのぼり、これは平年を24%上回る。このうち約20万人がコロナによる超過死亡と推定されている。イギリスでは6万7500人で、37%増である。では日本はどうだろうか。

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新型コロナで今年の日本の死者は減る

新型コロナの感染者数が落ち着いたと思ったら、死者が増えてきた。死亡は感染から2週間ぐらい遅れるので、これは予想されたことだが、1日として最大の12月1日でも41人。あなたがコロナで死ぬリスクはインフルエンザより大きいだろうか?

今年のインフル患者は、11月からの今シーズンの累計で150人程度だが、コロナ系の風邪がはやる年はインフルがはやらないという経験則がある。次の図は国立感染症研究所が2017年以降のインフルの推定受診者数を週ごとに集計したものだが、今シーズン(2019/20)の推定受診者数は、昨年の第52週をピークにして、コロナがはやり始めた今年初めから急に減っている。これはコロナウイルスとの干渉だといわれる。


インフルエンザの推定受診者数(国立感染症研究所)

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