科学/文化

もう元号を使うのはやめよう

mig政府は平成31年1月1日から新しい元号にする検討を始めた…と聞いて、とっさに西暦何年のことか、わかる人は少ないだろう。平成31年とは2019年のことだ。今度これが新元号になると、2020年から「新元号」2年、3年…となり、年数の計算は一段とややこしくなる。

続きはアゴラで。

「姥捨て」という都市伝説


世の中には、意外に根も葉もない都市伝説が受け継がれているもので、「姥捨て山」というのもその一つだ。これは深沢七郎が『楢山節考』で創作した物語であり、そんな歴史的事実はまったく存在しない。

続きはアゴラで。

朝日・岩波が支えた戦後の「表の国体」が終わる

iwanami神田・神保町の信山社が、東京地裁から破産開始決定を受けた。私ぐらいの世代にとっては「岩波ブックセンター」としておなじみで、本屋にない岩波書店の本も信山社に行けば必ずあるので便利だったが、気がつくと岩波の本はほとんど買わなくなった。

アゴラの書評欄でも今年103冊書評したうち、岩波は3冊だけだ(うち1冊は「読んではいけない」本)。その原因は、反原発派のパンフレットに化けた『科学』を見ただけでもわかる。

続きはアゴラで。

ボブ・ディランは偉大な詩人である

ブロンド・オン・ブロンド
Sony Music Direct(Japan)Inc.
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今年のノーベル文学賞は、ボブ・ディランが受賞した。かなり前から候補にあがっていたが、「大衆音楽に授賞するのはいかがなものか」という理由で、見送られていた。しかしこのアルバムを聴けば、彼が偉大な詩人であるとともに音楽家でもあることがわかる。"I Want You"は歌詞も曲も単純だが、彼の最高傑作の一つだ。

The guilty undertaker sighs
The lonesome organ grinder cries
The silver saxophones say I should refuse you
The cracked bells and washed-out horns
Blow into my face with scorn
But it's not that way
I wasn't born to lose you
I want you, I want you
I want you so bad
Honey, I want you.

続きは10月17日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

天皇「生前退位」に隠されたメッセージ

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AEIのMichael Auslinが、天皇の発表した生前退位の意向について、おもしろいコメントをしている。この問題も日本のマスコミが自由に論評できないので、アメリカ人のほうが本質的な問題を論じている。
天皇制は世界にも類をみない奇妙なシステムであり、それは超近代と前近代の混在する日本を象徴している。江戸時代に西洋から大きく立ち後れた日本は、明治になって急いで統一国家をつくるため、1000年以上忘れられていた天皇を君主にした。しかしその実権はなく、前近代的なバラバラの社会が温存されたため、結果的には無謀な戦争に突っ込んで日本は自壊した。

日本の教育制度は能力主義で競争的だが、官庁や企業は年功序列で、老人が社会を支配している。82歳になっても公務から引退できない天皇は、その犠牲者だ。戦後70年の区切りをつけ、皇太子が彼の即位した年齢になった今は、退位にふさわしい。それは日本の衰退の原因になっている老人社会をやめ、日本社会にダイナミズムをよみがえらせようという彼のメッセージかもしれない。

続きは9月5日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

平和ボケはなぜ宗教になったのか

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吉永小百合氏は中立な優等生のようにみえるが、意外に政治的だ。もう70歳を超える世代としては当然だが、姜尚中氏との対談は彼らの非論理性を端的に示していておもしろい。彼女はこう語る。
「『憲法9条を守ってほしい』と友人に言ったら『よその国が攻めてきたらどうするのか』と言われて、言葉に詰まってしまいました。なんと返せばよかったのでしょうか」って。姜先生は、「あの天文学的な軍事力を持っているアメリカでも、9.11のテロを防げなかった。だから日本も、アメリカ以上の軍事力を持たないと、武力で抑止するのはむずかしいし、それは不可能。憲法9条を持っていることのほうが、より安全を守れるんですよ」と答えてくださったんです。
「よその国が攻めてきたらどうするのか」という問いに対して「憲法9条を持っていれば安全を守れる」というのは、答になっていない。戦争もテロも暴力だが、憲法は法律にすぎない。法律で暴力を止めることができるのは、双方がその法律を守る国内だけであり、中国や北朝鮮に日本国憲法は適用できない。

こんなことは自明だが、なぜこういう宗教的な平和ボケが戦後70年も続いているのかは自明ではない。

続きは8月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

「神道」という宗教は存在しない

「日本人の神」入門 神道の歴史を読み解く (講談社現代新書)
Economistの記事は噴飯物だが、日本会議などが安倍政権に便乗してナショナリズムを振り回していることが誤解をまねいているのだろう。根本には「神道」をキリスト教をモデルにして考える誤解があると思われる。

神道は、キリスト教やイスラム教のような「宗教」ではない。Religionを宗教と訳したのは明治時代で、それ以前は仏教という言葉もなかった。神道という言葉はあったが、それは全国に20万以上あった神社の総称で、ほとんど何も意味していなかった。

その御神体は天照大神から道祖神までさまざまであり、もとは社殿さえなかったが、仏教が輸入されてから寺をまねて神社ができた。「神仏習合」というより、日本人の土着信仰が仏教と結びついて初めて宗教らしい形になったのだ。

これを天皇制のイデオロギーとして利用したのが、明治政府だった。国が伊勢神宮や靖国神社を保護し、全国の神社が国の管理のもとに置かれた。明治政府は一神教がないと国家が統合できないと考え、天皇家の中にあった仏教の要素を排除し、天皇制=国家神道という人工的な「国教」をつくったが、国民にはほとんど浸透しなかった。

続きは5月30日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

安倍首相は「神道の国教化」を図っている?

伊勢志摩サミットが近づいて、また日本についてのステレオタイプな報道が増えてきた。特に伊勢神宮=国家神道=ナショナリズムと短絡して「極右の安倍政権」を批判する記事が多い。これを書いたのはロンドンにいるアジア担当エディターだと思われるが、例によってJapan Timesなどの2次情報に依存しているので、基本的な間違いが多い。

続きはアゴラで。

「共生社会」という誤解

民主党と維新の党が合流してできる新党の名前が「民進党」になった。党名ひとつ執行部が決められず、世論調査で決める党に「大胆な改革」は期待できない。特にバカバカしいのは、その綱領案に共生社会をあげていることだ。「共生」は政治家や経営者が好む言葉だが、生物学用語を誤解している。
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これは共生を専門とする生物学者の分類だが、2種類の個体AとBがあるとき、もっとも多いのは競争によってどちらかが淘汰される場合だ。このときAがBより大きい生物だったら、結果は、次のようにわかれる:
  • AがBを捕食する:Bは死ぬ。
  • BがAに寄生する:Aが生き残って片利共生になる場合もあるが、細菌Bが感染してAが死ぬ場合もある。
  • AもBも生き残って両方とも利益を得る:これが一般にイメージされる相利共生だが、きわめてまれで不安定な状態だ。
進化の歴史の中でもっとも重要な共生は、細胞内共生である。葉緑体やミトコンドリアは、真核生物に寄生したバクテリアが捕食されず、宿主も殺さず、その一部になったものと考えられている。

つまり(相利)共生とは「みんなが仲よくする」ことではなく、食うか食われるかの競争の中で、たまたま殺しも殺されもしないで両方が利益を得る、きわめてまれなケースなのだ。

続きは3月21日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

保育園と原発に共通の「失敗の構造」

今週は、アゴラで保育園をめぐる議論が活発だが、これと震災から5年たっても復興の遅れている福島の問題には、共通点がある。両方とも、複数の官庁がからんで全体の意思決定ができないのだ。

保育園の場合は、保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省と、同じような施設が別の役所の所管で、「幼保一元化」の議論は10年以上やっているが、進まない。ようやく「認定こども園」という保育園もどきの施設ができたが、補助金漬けの保育園の実態は変わらない。

時代遅れの保育園を廃止して幼稚園に吸収し、小学校を5歳入学にするのが先進国の潮流だが、強い政治力をもつ社会福祉法人が厚労省をバックアップしているため、事態が動かない。官邸が指導力を発揮するしかないのだが、社会福祉法人は票をもっているので、安倍首相は動かない。

同じことが原子力行政にもいえる。澤昭裕氏の遺稿にも書かれているように、経産省と文科省と原子力規制委員会と電力会社がバラバラに動いて、どこに責任があるのかわからない。田中委員長は「無駄な水くみは電力会社の判断でやめろ」というが、電力会社は「私どものほうからは言い出せない」。ここでも首相は、意思決定から逃げている。

こういう「無責任の体系」を指摘したのは丸山眞男だが、それは単なる縦割り構造ではない。意思決定がボトムアップで行なわれ、しかも全員一致が原則なので全員が拒否権をもっていることが日本の組織の特徴だ。

続きは3月14日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。






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