科学/文化

新型コロナはこわい病気なの?

新型コロナの「第3波」が来たとマスコミが騒いでいます。政府はGoToを見直したりして、また自粛が強化されそうですが、本当に大変なことになってるんでしょうか。

Q. 死者が2000人を超えたと騒がれてますが、本当ですか?

本当です。NHKの調べではまだ1988人ですが、クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」の14人を加えると累計で2002人です。いずれ2000人を超えるのは時間の問題だったので、この数字には意味がありません。

Q. 毎日の死者は増えてるんですか?

減っています。22日の死者は7人で、ピークの21人から減り、ここ1ヶ月をみても以前と比べて増えているわけではありません。



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新型コロナ「第3波」は来たのか

久しぶりにマスコミが、コロナで活気づいている。「新規感染者数が初めて2000人を超えて第3波が来た」とか「東京都で初めて500人を超えた」と騒いでいるが、これは正確にいうとPCR検査の新規陽性者数で、サンプルが一定でないと統計的な意味がない。


図1 コロナの検査数と陽性者数と死者数(7日移動平均)

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軍事技術が近代科学を生んだ

学術会議の「軍事研究の禁止決議」が話題になっているが、こんな決議をすること自体が、日本の科学者(正確には一部の文系学者)が科学も技術も理解していないことを示している。

人が外界を認識するとき「裸の事実」を見ることはできず、既存のパラダイムを通じて認識する。それを事実で反証することはできない。コペルニクスが地動説を提唱したのは1543年だが、ローマ教皇がそれを公式に認めたのは1992年である。

古典を暗記して既存のパラダイムを忠実に継承する弟子が出世するのが、世界共通の学問の伝統である。儒学でも四書五経の43万字を暗記することが必修で、文章はそれを引用した四六駢儷体で書くのが知識人の作法だった。この訓詁学の伝統は、学術会議の文系(特に憲法学者)にも受け継がれている。

既存のパラダイムをデータで否定する実証主義は、16世紀以降のヨーロッパだけに生まれた特異な思想である。それはヨーロッパ人が新大陸やアジアを植民地支配するようになったからだ。天動説にもとづく羅針盤では、船の正確な位置がわからず難破してしまうので、まず航海術で地動説が採用されるようになった。

ヨーロッパ以外の世界で秩序を維持する上ではキリスト教の教義は無力なので、実戦で証明された技術が世界制覇の武器だった。16世紀の軍事革命で生き残ったのは、最大の破壊力をもつ重火器の技術を開発した都市国家だった。国家の存亡を決める軍事技術が近代科学を生んだのであり、その逆ではない。

続きは10月26日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

学術会議を民営化して「学問の自由」を取り戻そう



日本学術会議の会員任命をめぐる議論が、国会の焦点になりそうだ。大部分の国民には何の関係もない問題だが、「学問の自由」がどうとかいうのはお門違いである。彼らの研究にも発表にも、政府はまったく介入しない。

学術会議の会員は非常勤の国家公務員(特別職)であり、学術会議法7条では会員は「学術会議の推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」と定めているので、任命権は菅首相にある。210人の会員は任期6年で3年ごとに半数改選され、再任なし(Vlogで「再任」といったのは誤り)なので、これは新規採用である。

つまり今回の問題は、政府が非常勤公務員の1次試験を通った105人のうち99人を採用したということにすぎない。

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無差別PCR検査は医療現場を混乱させるだけ



安倍首相は、あすの記者会見で新型コロナの指定感染症の指定を見直し、医療現場の負担を緩和する方向だ。そんなときに世田谷区内の介護施設や保育所の職員など2万3000人に無差別PCR検査を実施する保坂区長の方針は、世田谷区に風評被害を起こし、医療機関の負担増をまねくものだ。

これに対しては、世田谷区医師会もホームページで「世田谷モデルは医師会とは無関係だ」と表明し、こう批判している。
世田谷モデルの提唱する「誰でも、いつでも、何度でも」は、いわゆる社会的検査ニーズに応えるためのものです。渡航前、施設入所前、手術前、介護や保育、教育現場など社会的検査のニーズは高まっていますが、現状受け入れ先が無く、医療的検査の現場に紛れ込んできているのが実状です。そのために医療の必要な患者さんへの対応が遅れるような事があってはなりません

保坂区長は「医師会の協力がなくても検査会社に委託して検査する」というが、病院の協力なしで2万人以上検査して、陽性者をどこに入院させるのか。プール方式なる検査方法は厚労省が認可していないので、陽性になっても隔離できない。擬陰性が30%ぐらいある上に、結果が出るまでに1週間以上かかり、終わったときには体内にウイルスはいないので隔離する意味もない。

特に問題なのは、保育所の職員1万人に行う調査だ。日本で10歳以下の子供がコロナで死亡した例は1人もない。その職員に検査するのは有害無益である。介護施設は今でも必要な職員や入所者は保健所が検査しているので、それに上乗せして無差別検査をするのは、医療現場を混乱させるだけだ。

このように無差別PCR検査は無意味だという点は、米CDCも新しいガイドラインで明記している。「希望者全員PCR検査が世界の常識だ」という評論家がいるが、これは嘘である。CDCはもともと無差別の検査は推奨していない。今回は感染者に接触した人もすべて検査する必要はないと釘を刺した。

続きは8月31日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

新型コロナは「一類相当」の感染症に格上げされた



新型コロナを指定感染症から外せという議論が、国会でも出てきた。維新の梅村さとし議員が「指定を解除してはどうか」と質問したが、加藤厚労相は「検討していない」と答弁した。

今まで厚労省はコロナを感染症法の「二類相当」と説明していたが、東京脳神経センターの川口浩氏によると、2月に一類相当に格上げされたという。指定感染症は一類とか二類とかいう分類とは別のカテゴリーだが、次の表のように感染症法では「無症状病原体保有者への適応」は一類だけだ。これはエボラ出血熱やペストと同じである。

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ところが2月13日の対策本部のガイドラインでは、「無症状病原体保有者は対象となっていないが、感染拡大防止のため、無症状病原体保有者にも入院を要請」と書かれている。このため検査で陽性になると無症状でもすべて入院させることになり、これが全国でベッドがあふれる原因になっているのだ。

続きは8月24日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

集団免疫って何?

最近、新型コロナの感染者が増える一方、死者はあまり増えないので、日本はこのまま集団免疫をめざせとか、指定感染症の指定をやめたほうがいいという声が聞こえてきます。

集団免疫のしくみはむずかしいのですが、簡単にいうと感染が広がって、集団の中で免疫をもつ人が増えると、感染しにくくなるのです。

たとえば100人の集団で1人がまわりの2人にうつす病気だと、その2人が2人ずつうつすと4人、さらに8人…とネズミ算で感染が増えていきますが、50人が感染すると、それ以上は増えません。ある人が2人にうつしても、そのうち1人は免疫をもっているからです。

このように感染がゼロになるのではなく、1人が1人にうつす状態が集団免疫です。これが成り立つと、感染は収束します。図のように免疫をもった人が「防護壁」になって感染していない人を守り、ウイルスが減っていくからです。


酪農学園大学ホームページより

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日本で「集団免疫戦略」は可能か

JBpressの記事が意外に読まれているので、テクニカルな問題を少し補足しておく。まず「集団免疫戦略」という言葉は正確ではない。集団免疫は政策目的ではなく、感染の結果である。わかりやすくいえば「ピークシフト」だが、これはあまり一般に使われていない。

専門家会議はこれについて5月1日の分析・提言で「感染の拡大を前提とした集団免疫の獲得のような戦略や、不確実性を伴うワクチン開発のみをあてにした戦略はとるべきでないと考える」と明確に否定した。

これは集団免疫が「感染拡大が望ましい」という誤解を与えるためだと思われるが、もちろん感染はしないほうがいい。新型コロナウイルスをゼロにできるならそれがベストだが、日本では不可能である。この場合、次善の策として次の二つの考え方がある。
  1. ウイルスを徹底的に封じ込めてゼロに近い水準を維持する
  2. 感染をゆるやかに拡大して医療資源の制約内に収める
現在の日本政府の公式の立場だと思われるが、それは維持可能だろうか。感染をゼロにするには、4月の緊急事態宣言よりはるかに厳重な外出禁止令を永久に続けなければならない。

2が感染症学界の主流であり、米CDCやWHOはcommunity mitigationと呼んでいる。この政策の問題点は、感染が拡大すると医療が崩壊するのではないかということだ。イギリス政府の方針転換の原因となったインペリアルカレッジ報告書の最大のポイントも医療資源の制約だった。

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イギリスの重症患者数とICUベッド数(インペリアルカレッジ)続きを読む

新型コロナウイルスの「封じこめ」はできない

検査陽性者数が増えたことが話題になっているが、毎日900人前後というのは世界的には取るに足りない。陽性者数というのは統計的に無意味なので、毎日の人口あたり死者で比較すると、最近、死亡率の上がっている「第2波」の筆頭はアメリカ(100万人あたり3人)だ。これに対して日本の死者はほぼゼロで、図に描くこともできない。

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各国の100万人あたり新規死者(FT.com)

他に第2波が来ている主要国はオーストラリアとイスラエルで、いずれもEUより強硬なロックダウンで封じこめに成功したといわれていた。おもしろいのはルクセンブルク(人口62万人)で、国民の98%をPCR検査して封じ込めたといわれていたが、今は世界最高速で死者が増えている。

この中で日本と似た環境にあるのはオーストラリアである。ともに島国で入国制限しやすく、6月までは死亡率はほぼゼロで同じだった。ところが7月にオーストラリアがロックダウンを解除してから死者が急に増え、累計では日本を抜いた。オーストラリアの人口は日本の1/5なので、死亡率は5倍である。

まだ感染は進行中なので断定はできないが、これまでのデータからいえるのは、ロックダウンでウイルスを封じ込めれば経済が早く回復するというのは幻想だということだ。ウイルスは根絶できないので、一時的に感染を止めても、ロックダウンをやめたら感染は再開する。最終的には(広い意味での)集団免疫ができるまで感染は止まらないのだ。

続きは8月10日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

「第2波」という錯覚が起こった単純な理由

新型コロナの検査陽性者数が全国各地で増え、「第2波」と騒がれている。たしかにPCR検査の陽性者数は増えているが、これは統計的には無意味な数字である。今の検査は症状の出た人が中心で、サンプルが大きく片寄っているからだ。

これは統計学の初歩だが、統計は母集団をすべて調べるものではない。たとえば日本人の平均寿命を知るには、全国民の年齢を調べる必要はない。特定のサンプルで平均を計算し、チェックするのはそのサンプルにバイアスがないかどうかである。

普通の感染症では、こういう統計手法が確立しているので、すべての患者をカウントしないで推定する。たとえばインフルエンザでは、全国にあるサイト(病院)ごとの患者数を5万倍して患者数を推定する。

だがコロナではサンプルと母集団の関係がわからないので、検査で陽性になった人をカウントしている。したがってコロナ陽性者数をインフルの推定患者数と比較するのは正しくない。

5月までは保健所に届け出た(自覚症状のある)人を検査していたが、6月からは無症状の人も検査するようになった。このため6月下旬には4000人程度だった検査人数が7月から急に増え、7月末には1万人6000人(7日移動平均)と4倍に増えた。


全国のPCR検査人数と陽性者数(右軸)厚労省オープンデータ

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