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テレビ局の既得権を100%守る規制改革

民放連の公式サイトに井上会長の記者会見が出ているが、問題を根本的に取り違えている。これは15年ぐらい前からテレビ業界に受け継がれている都市伝説で、これがオークションを阻む最大の壁だ。
放送事業者は特に災害時において国民の生命・財産を守るため、割り当てられた電波を有効に利用し、公正・公平に、安定した放送サービスを提供するという極めて公共性の高い役割を果たしていると自負している。事業者を入札金額の多寡で決めるオークション制度には心配がつきまとうし、放送用、放送事業用周波数はオークションになじまない。オークション制度には反対である。
彼は何を心配しているのだろうか。規制改革推進会議の検討しているのは使われていない帯域の有効利用であり、すでに放送局が使っている周波数をオークションにかけることはありえない。「事業者を入札金額の多寡で決めるオークション制」という表現は、放送業界への新規参入を恐れているとも解釈できるが、その心配もない。

続きはアゴラで。

首都圏のテレビ電波は32チャンネルあけられる

規制改革推進会議と民放連が、電波オークションをめぐって闘っている。民放連の井上会長(TBS名誉会長)は定例会見で「われわれは多かれ少なかれ公共性を担っており、金額の多寡で決まる制度には反対する」と述べたが、これは意味不明だ。オークションは新たにあく周波数を競売にかける制度であり、既存の放送局には関係ない。

続きはアゴラで。

テレビ局はなぜ電波の有効利用を恐れるのか

規制改革推進会議では、電波の有効利用がかなり本気で議論されている。私もきょう説明したが、この問題の最大の障害はマスコミがまったく報じないことだ。その原因はいくつかあるが、すべて誤解である。
  1. 電波オークションでテレビ局の既得権が侵害されると信じている:これは足立康史氏などネトウヨの一部が流している話だが、まったく根拠がない。テレビ局が今もっている無線局免許をオークションにかけることはありえない(海外にもそんな例はない)。まして放送免許を取り上げてオークションにかけるなんて不可能だ。したがってオークションで脅して偏向報道を是正することもできない。

  2. オークションを電波利用料と混同している:この誤解は政治家にも影響を与えているが、電波利用料はオークションの代わりにはならない。これは郵政省がオークションを導入しなかったとき、その言い訳として創設したもので、海外にはない制度だ。「テレビ局の電波利用料が安い」というのがよく問題になるが、大した話ではない。オークションが実施できるなら、電波利用料は廃止してもいい。

  3. 有効利用とオークションを混同している:有効利用はオークションとは別の問題である。UHF帯の区画整理で約200MHzあけることができるが、オークションにかける必要はなく、Wi-Fiなどの免許不要帯に割り当てることも考えられる。テレビ局は今まで通り放送できる。
続きはアゴラで。

足立康史氏の誤解している電波オークション

足立康史議員の「朝日新聞、死ね」というツイートが話題になっている。アゴラでも本人が弁明しているが、これは一般人が保育所について「日本死ね」という話とは違う。国権の最高機関たる国会は、立法によって朝日新聞を殺すことができるからだ。放送法には今もそういう規定がある。放送法第4条では「編集準則」を定め、放送に次の要件を求めている。
  1. 公安及び善良な風俗を害しないこと。
  2. 政治的に公平であること。
  3. 報道は事実をまげないですること。
  4. 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
続きはアゴラで。

テレビ局の政治力はなぜ強いのか

電波オークションの話をすると、ネトウヨが応援してくれる。彼らはオークションで脅せば、テレビ局の「偏向報道」を撲滅できると思っているらしいが、残念ながらオークションにそんな政治的効果はない。UHF帯のホワイトスペースを区画整理すると、約200MHzの帯域をあけることができるが、そこに入ってくるのは通信キャリアだから、テレビ局の脅威にはならない。これはインフラ(無線局)の問題で、コンテンツ(偏向報道)とは無関係だ。

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たとえば神奈川県のNHK総合テレビの中継局は、すべて図のように東京スカイツリーと同じ27chでカバーできる。今はアナログ放送のなごりでバラバラにチャンネルを割り当てているが、東京から横浜に飛ばした27chの電波を藤沢、平塚、小田原などの中継局に同じチャンネルで飛ばし、そこから山間部や海岸の中継局に飛ばせばよい。民放も同じだ。

これは2008年にも私が指摘したことだ。当時は総務省も民放連も「SFNは理論的にはできるが実用化できない」といったが、今は神奈川県の中継局の97%でSFNが使われている。こんな簡単な事実がまったく知られていないのは、テレビ業界の政治力が大きいからだ。特に日本ではテレビと新聞が系列化されているので、この事実が隠されてきたのだが、状況は変わった。

続きは11月13日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

オークションで売却する電波は残っているのか



総務省の「電波有効利用成長戦略懇談会」の議論が始まった。規制改革推進会議でも議論が行われているが、重要なのはオークションの是非ではない。電波を売却してキャリアの独占する「財産」にするよりもWi-Fiのような形で共有することが合理的だが、問題はそこではない。

続きはアゴラで。

オークションは電波の有効利用に不可欠ではない

マスコミは報じないが、規制改革推進会議で電波の問題が進捗している。この話は「オークション対既得権」という図式になりがちだが、電波の有効利用とオークションは同義ではない。電波は共用できる公共財なので、オークションで免許を売却して特定の業者が帯域を独占するより、免許なしで無線LAN(Wi-Fi)に割り当てるほうがはるかに効率がいいのだ。

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これは私が昔使った図だが、高価な基地局を使う携帯電話より、カード1枚数千円の無線LANのほうがはるかに高速な通信を実現できる。携帯電話は通信が始まってから終わるまで1つのチャンネルを占有するので、図1のように道路(帯域)の1つの車線(チャンネル)をドライバーに「貸し切り」にするようなものだ。1つ1つの車線は狭くなるので、自転車ぐらいしか走れない。

これに対して無線LANは図2のように車線は一般に開放し、車(データ)は空いている車線を走る。この方式だと、同じ道路の幅でも、空いていればどんな大きな車がどんなスピードで走ってもかまわない。Wi-Fiは広い帯域を多くの無線機で共有することによって、携帯電話よりはるかに効率の高い通信を可能にしたのだ。

続きは11月13日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

UHF帯ホワイトスペースについてのFAQ

JBpressで提案した私の区画整理案が論議を呼んでいるようだ。これは図の上のようにバラバラに割り当てられているホワイトスペースを整理して、使われていない(免許人のいない)チャンネルを売却するというシンプルな提案だが、「まさかそんな簡単なことを今までやってないとは信じられない」という人が多いようなので、ありうべき疑問に答えよう。

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電波オークションをしても地デジは続けられる

JBpressの記事は技術的な話をはしょったので、わかりにくいかもしれない。特に最後のページの「放送の中継局は整理して周波数を統一すればよい」という話はむずかしいので、補足しておく。テレビ局には「オークションをすると既存局が立ち退きを迫られる」という誤解があるが、この問題は地デジではSFN(単一周波数ネットワーク)という技術で解決している。次の図は、いま稼働しているRKB毎日のSFNの一例である。

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SFNによる局間伝送(日立情報通信ネットワーク

現在の地デジは、図の上のように放送波で局間伝送する放送波中継なので、中継と放送の電波が干渉しないように複数のチャンネルが必要だが、地デジのOFDMという変調方式では干渉が防げる。そこで放送波中継をやめ、局間は光ファイバーのIP網(UM6000Rは日立の伝送装置)で伝送し、放送の周波数をエリア内で同一にする技術がSFNである。

このシステムはバックアップだが、現在の置局は全国どこでもSFNもできるように設計されているので、通常と同じ放送ができる。つまりテレビ局がSFNで運用すれば、オークションで空いた電波を売っても地デジの放送を今まで通り続けることができるのだ。続きを読む

電波利用料はオークションの代わりにはならない

入門 オークション:市場をデザインする経済学産経が噂の段階で書いていた「電波オークション」は、規制改革推進会議の決定には入らなかった。「官民の電波利用状況に関する情報開示の充実、電波利用料体系の再設計など、より有効に電波を利用する者に対し機動的に再配分するためのルールづくり」という表現で電波利用料に重点が置かれているが、これはナンセンスである。

1990年代にアメリカでオークションが始まったのを受けて日本でも検討が始まったが、「時期尚早」という理由で見送られた。その代わりに1993年に電波利用料が創設されたが、これはオークションとは目的が違う。

続きはアゴラで。




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