IT

プラチナバンドは既存キャリアの帯域をけずらなくても空けられる

きょう開かれた総務省の有識者会議が、楽天モバイルの出したプラチナバンドの再配分案をめぐって紛糾したようだ。この案は次のように既存3社の帯域から5~10MHzずつけずって新規事業者(楽天)に割り当てろという話で、既存業者が反対するのは当たり前だ。



しかし既存キャリアも損しないで楽天が新しい電波を得る方法がある。プラチナバンドにはテレビ局の占有している電波が約200MHzもあいているのだ

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第2回電波シンポジウム「電波改革の扉を開けよう」

電波行政がゆれています。長いあいだ「密室行政だ」とか「官民癒着だ」などと批判されてきましたが、電波行政はマスコミの報道管制に守られ、批判から扉を閉ざしてきました。

しかし東北新社の接待問題がNTTに延焼し、内閣広報官や総務審議官や総務省の局長が次々に更迭される大スキャンダルに発展しました。この背景には通信・放送行政の閉鎖的な体質がありますが、この問題はマスコミでは報じられません。

第1回の電波シンポジウムでは放送改革について議論しましたが、今回はこの電波行政の問題を取り上げ、独立行政委員会や電波オークションについて議論します。SNSとも連携して、今度こそ電波行政の「開かずの扉」を開け、オープンな議論を始めたいと思います。

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電波改革のポイントは著作権にある



先日の電波シンポジウムのまとめがYouTubeで公開されたので、私の話した第3部と討論の部分を紹介しておく。これは規制改革推進会議でも提案したホワイトスペースの区画整理案で、技術的にできることはNHKも民放連も認めた。

この問題では電波オークションに話題が集中するが、それは大した話ではない。テレビ局のいま使っている帯域を取り上げてオークションにかけることはありえないし、その必要もないからだ。大事なのは470~710MHzを通信にも使えるようにするホワイトスペースの開放である。

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プラットフォームは近代国家を超える

ツイッターのトランプ大統領アカウント事件では、保守派が「言論の自由」を主張する一方、朝日新聞は凍結容認論で、いつもとは立場が逆転している。世界的にもリベラルには容認論が多い中で、ドイツのメルケル首相が「ツイッター社のアカウント永久停止は言論の自由を侵害する問題のある行為だ」とコメントした。

これをトランプ擁護とみる向きがあるが、逆である。FTが正確に報道しているように、彼女は「アメリカ政府はプラットフォームに自主規制ルールを作成させるのではなく、ドイツのように法律でオンラインの煽動を制限すべきだ」というのだ。

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ツイッターがトランプのアカウントを凍結した複雑な理由

ツイッターがトランプ大統領のアカウント@realDonaldTrumpを永久に凍結した。これに対してトランプは大統領の公式アカウント@POTUSで反論したが、これも削除されたようだ(今は表示されない)。これが世界中で大論争を呼んでいるが、この問題には複雑な背景がある。

まず今回の措置は、合衆国憲法修正第1条に定める「言論の自由」の侵害にはあたらない。この規定の主語は「連邦議会」つまりアメリカ合衆国の公権力であり、私企業であるツイッター社とは無関係である。したがって刑事訴追もできない。

ではこれが民事上の賠償の対象になるかというと、おそらくならないだろう。ツイッター社はこれまでもたびたび凍結の可能性を警告しており、それを無視したのはトランプである。ウェブサイトが規定に違反したアカウントを停止するのは日常的なことで、大統領に特別の権利があるわけではない。

ではツイッターの公共的なプラットフォームとしての責任はどうだろうか。このトランプの削除されたツイートに「第230条という政府の贈り物がなければ[ツイッター社は]ながく存続できない」と書いているのがポイントである。



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検閲するGoogleはやめてBingを使おう

グーグルが司法省に提訴され、フェイスブックがFTCに提訴されるなど、最近GAFAに風当たりが強まっている。無料で提供されるサービスに独禁法を適用するのはむずかしいが、情報のバイアスという点ではプラットフォーム独占の弊害は大きい。

グーグルはこのごろ検索結果のバイアスが強くなり、システム管理者を悩ませている。たとえば「感染症 アゴラ」で検索すると、図の左のように「サイエンスアゴラ」が3件も出てきて、「こまばアゴラ劇場」、「アゴラ内科クリニック」が2件、ホルモン焼き「アゴラ」が出てくるが、最初のページに言論プラットフォーム「アゴラ」の記事は1本も出てこない。

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これに対してマイクロソフトのBingで検索すると、右のように最初のページの10本中7本はアゴラの記事である。本来のグーグルのアルゴリズムのように重要な情報を上位にランクすると、ここに出ている記事は数万のアクセスを集めたので、こうなるのが自然だろう。

ではなぜグーグルの検索では、ホルモン焼きがアゴラの記事より上位になるのか。これはグーグルに聞いても教えてくれないが、コロナについては感染リスクを誇張しないサイトの順位を意図的に下げていると思われる。最近はこの検閲が極端になり、アゴラの記事は最初のページに表示されなくなった。

グーグルはYMYLとかE-A-Tとか言っているが、要は役所や大学などの公式サイトを上位にもってくる権威主義である。政府がコロナの脅威をあおっているときは、それに迎合するサイトを上位に表示し、それを疑うサイトを排除するのだ。そういう政治的バイアスのない情報を検索したい人には、Bingをおすすめする。検索アルゴリズムはまったく違うので、自然な重要度に応じて結果が出てくる。

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民放連も認めた電波の「区画整理」

高橋洋一氏の「Eテレの電波をオークションにかけろ」という話が、いまだにネット上では話題になっているが、これは素人の与太話だ。次の表を見ればわかるように、Eテレはリモコンでは全国で2チャンネルに割り当てられているが、物理チャンネルは各地でバラバラである。

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たとえば札幌では13チャンネル、赤井川では39チャンネル、赤平では18チャンネル…というように異なる周波数に割り当てられているので、このまま売却しても通信には使えないし、買い手もいない。Eテレの合理化は、電波とは無関係なNHKの経営問題である。

問題は、このようにバラバラになっているのはなぜかということだ。これはアナログ時代には意味があった。札幌の電波が赤井川に届くと干渉(マルチパス)を起こすので、別のチャンネルを使う必要があったからだ。

しかし地デジでは、札幌と赤井川で同じチャンネルを使っても干渉は起こらない。受像機が強い電波だけ受信して、弱い電波をカットするので、北海道の中ではEテレはすべて13チャンネルで放送してもいい。これが2017年に規制改革推進会議で私が提案したSFNによる「区画整理」案である。

それについて規制改革推進会議で民放連の林直樹氏は、技術的には可能だと認めた。
中継局を38キロ以内で置局すると、その家庭に2か所から飛んでくる電波は混信せずSFNが成立します。しかし、もっと遠くでも同じチャンネルを使っていて、38キロ超の差、正確には126マイクロ秒超の時間差で電波が飛び込んだ場合、それは完全に妨害波になってしまいます。
この妨害波の解決策は簡単である。38km以内に簡易中継局を設置すればいいのだ。これは電波を増幅するだけだから、Wi-Fiのモデムのような小さな局でよく、そのコストは微々たるものだ。これで電波を整理すれば、全国で約200MHz、約2兆円の価値のある電波をあけることができる。

続きは12月21日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

コンピュータはいかにして猫を発見したか

人工知能をめぐる議論は、近代の認識論の歴史を繰り返しているようにみえる。1980年代までの初期のAIでは、人間の知能は論理だからコンピュータの論理回路で実現できると考えたが挫折した。その本質的な原因がフレーム問題だった。

たとえば「猫に餌を与える」という動作をロボットにやらせるには、猫とは何か、餌をどうやって口に入れるのか…といったフレームを無限に設定しなければならない。これはカントの認識論に似ている。「物自体」は認識できず、まずカテゴリー(フレーム)に分類する必要があるのだ。

1990年代にニューラルネットで人工知能という曖昧な技術は機械学習に進化したが、フレーム問題は解決できなかった。機械学習は学習で画像や音声を処理する技術だが、その答は人間が与える教師あり学習だから、顔認証や指紋認証はできるようになったが、何も教えないで猫というフレームを発見することはできなかった。
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ところが2012年に、グーグル教師なし学習で猫を発見した。無作為に抽出した1000万枚のYouTubeの動画(いろいろな物体が出てくる)をコンピュータに見せ、人間が何も教えないで、コンピュータが上のような猫のイメージを描いたのだ。この計算には、1000台のサーバで1万6000のプロセッサーをつないで3日間かかったという。

このようにコンピュータがフレームをつくって対象を認識するのが深層学習だが、人間の子供なら誰でも瞬時にできる処理にこれほど膨大なコストがかかるということは、「古い脳」の動作原理がノイマン型コンピュータと根本的に違うことを示している。

続きは11月23日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

Chromebookを使ってみた

職場で使っているサブのWindowsパソコンが異様に遅くなってきたので、アマゾンで安いマシンをさがすと、ほとんどがChromebook。日本ではコロナの影響で学校や企業の集団購入が増え、ノートPC市場でのChromebookのシェアが、去年の1%から今年は13%になったらしい。試しに一番安い2万3000円(税込み)のLenovo S330を買ってみた。

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電源を入れると8秒で立ち上がり、重いファイルもサクサク動く。これはHDDがなくなり、すべてeMMCという半導体になったことも大きいが、SSDの(はるかに高スペックの)Windowsマシンより速い。Windowsのように既存のすべてのデバイスに対応する機能を切り捨てたからだろう。

ほとんどの機能をブラウザで実現し、ファイルもクラウドに保存するので、OSはシンプルでセキュリティが高く、ストレージも32GBで十分だ。Windowsアプリは使えないが、Androidアプリが使えるので主要なアプリはほとんど動く。WordやExcelは無料版なので機能には制限があるが、フォーマットが崩れることはない。

問題は日本語と印刷だ。Google日本語入力はインターフェイスが使いにくいが、それ以外のIMEは使えない。キー設定のカスタマイズもほとんどできないので、大量に文書作成する人には物足りないだろう。印刷もChromeOSに対応しているプリンタは少ない。

要するにAndroidタブレットにキーボードがついたようなもので、ソフトウェアキーボードで入力するより楽と割り切れば、サブのマシンとしては買い得だと思う。

続きは11月23日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

スマホ料金はなぜ高いのか

スマホ料金はなぜ高いのか(新潮新書)
菅政権の目玉政策は「携帯電話料金の4割値下げ」だが、これはいささか奇妙な話だ。今でも格安SIM(MVNO)の料金は、データ通信なら普通の携帯キャリア(MNO)の半分以下なので、無理に値下げさせなくても、MVNOに乗り換えればいい。

このMVNOの料金は国際的にみても安く、20社以上あって競争も激しい。不思議なのは、MVNOのシェアが合計12%と低いことだ。これは大手MVNOの親会社がMNOで、競合を恐れて積極的に宣伝しないためと思われる。むしろMNOが4割値下げすると価格差が小さくなり、MVNOの経営が苦しくなるおそれが強い。

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価格コムより

本書はこの問題を中心に通信業界の現状を書いたものだが、最後に私の規制改革推進会議の資料を5ページにわたって引用し、「テレビ局の占有しているプラチナバンドを電波オークションで開放すれば、競争が促進されてスマホ料金は安くなる」と結論している。

これが技術的にできることは総務省も認めたが、関係者が沈黙しているのは、テレビ局がその政治力で電波の浪費を隠しているからだ。キー局は実はネット配信に進出したいのだが、県域免許でローカルな電波利権を守って経営している地方民放がネット配信を許さないのだ。

その電波利権の頂点にいるのが読売新聞の渡辺恒雄主筆だが、彼の知識は20年古い。今のように帯域とコーデック(MPEG-2)がハードウェアで一体の放送では、4Kとか8Kとか新しい技術が出てきても伝送方式を変えられない。電波は帯域免許にして用途は自由にし、IPで伝送すれば、その上のレイヤーのコーデックはソフトウェアで変えられる。日本のテレビ局もNetflixになれるのだ。

この点は日本の地デジ(OFDM)は欧米のデジタル放送よりすぐれた技術で、ほとんどの変更はソフトウェアでできる。技術的には今のバラバラの帯域のままでも端末の周波数を動的に変えれば通信に使えるが、これは干渉のリスクがある(とテレビ局が主張する)ので、区画整理して通信キャリアに免許を割り当てたほうがいい。

今のまま通信料金を4割値下げすると、困るのはMVNOである。総務省はMNOに接続料を下げろと指導しているようだが、国際的にみると日本の接続料は安い。結局は新しい帯域を区画整理してオークションで開放し、設備ベースの競争を促進するしかない。これは技術的には自明で、帯域もあいている。あとは首相の指導力だけだ。








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