来年度予算の編成をめぐって防衛国債が焦点になってきた。これは安倍元首相の悲願だったが、岸田改造内閣では財務省寄りの浜田靖一氏が防衛相になってむずかしくなったと解説されている。問題になっているのは、財政法4条の次の規定である。
国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。

第1項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。
この「公共事業費」に該当するのが建設国債とされているが、その範囲は財務省が法律で決める。たとえば海上保安庁の巡視船は建設国債で調達できるが、海上自衛隊の護衛艦はその対象になっていない。

1947年に大蔵省の主計局長が逐条解説で「財政によって憲法の戦争放棄の規定を裏書保証せんとするもの」だと書いた。これを安倍氏は「財政の戦後レジームだ」と批判し、防衛費も建設国債に入れて例外扱いする「防衛国債」とすべきだ、と主張した。

結論からいうと、この議論は無意味である。国債にこんな区別を設けている国はない。借金に色はついていないので、建設国債にしたら金利が安くなるわけではないからだ。しかし将来世代の負担という観点から考えると、防衛費を国債で調達するか税で調達するかという問題には意味がある。

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