ジョージ・F・ケナン回顧録II (中公文庫)
アゴラの記事封じ込めという言葉は、今ではほとんど聞かないので、誤解があるようだ。これを提唱したのは、X論文として有名なジョージ・ケナンの論文である。

これは1947年に匿名でForeign Affairsに発表された論文だが、ケナンが国務省の政策企画本部長だったことから、アメリカの外交戦略を表明したものと受け取られた。これが冷戦の始まりとされているが、「封じ込め」はソ連を軍事的に包囲して侵略を防ぐという意味ではない。

これについて本書では、X論文に対する誤解を解く説明をしている。封じ込めの主要な目的は、軍事力のバランス維持だった。当時、近代的な兵器を量産できる工業力をもつ国は、5ヶ国しかなかった――アメリカ、イギリス、西ドイツ、ソ連、日本である。

このうち共産圏には1ヶ国しかないので、封じ込めの主要な仕事は、残りの4ヶ国が共産圏に入らないようにすることだ。したがって封じ込め戦略の戦略拠点は、日本と西ドイツだった。日本の占領統治は、冷戦の中でもっとも重要な位置を占めていたのだ。

続きは8月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)