幻視のなかの社会民主主義―『戦後日本政治と社会民主主義』増補改題
今回の参議院選挙も、ほとんど争点らしい争点がない。それは自民党がすぐれた党だからではなく、野党がその対立軸にならないからだ。その原因は、もともと日本社会には階級対立がなかったからである。

戦前の保守政党は地主の党だったが、GHQが農地改革で地主の土地を小作人に分配したため、戦後の農村には多数の小農が生まれた。自民党は地主の既得権を守る小農の党になったが、社会党は戦前から続く農民組合(小作人)の党で、その支持基盤はほとんど同じだった。

社会党は片山内閣のように政権を取ったこともあり、自民党に先んじて左右社会党が統一したので、政権を取れる見通しもあった。しかし左右対立に悩まされ、左派の中心はマルクス・レーニン主義やプロレタリア独裁を掲げる社会主義協会だった。

60年代以降、日本でも労働組合が「昔陸軍・今総評」といわれるほど大きな力をもつようになった。これにともなって社会党は「5万人の党員で1000万票を集める」といわれる労組依存の党になったが、それは遅れてきた階級政党だった。階級闘争のない日本で、それが自民党に代わる勢力になることは、もともと無理だったのだ。

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