経団連の21世紀政策研究所の経済政策レポートが発表された。財政タカ派の財界から、こういう「積極財政」論が出てくるのは珍しい。メンバーは永濱利廣、飯田泰之といった(今は亡き)リフレ派だが、もはや金融政策の話は何も出ていない。メインは「高圧経済」つまり財政赤字で経済を刺激しろという話である。

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理論的な中身はブランシャールの「最適財政論」とほとんど同じで、新味はないが妥当なところだろう。日本のようにずっと需要不足の続いている社会で、政府がプライマリーバランス赤字ばかり心配するのはおかしい。

来年度の骨太の方針でもPB黒字化目標を書くかどうかという下らない話でもめる原因は、財政運営の基準となっているGDPギャップに過少評価バイアスがあることだ。ISバランスで考えると、

 財政赤字=貯蓄-投資-経常収支黒字

なので、恒常的に「貯蓄>投資」になっている日本では、ある程度の財政赤字がないと、貯蓄過剰(需要不足)を埋めることができない。いいかえると均衡が必要なのはプライマリーバランスではなく、

 財政赤字=民間の需要不足

となるように財政運営すべきだということだ。このレポートのいうように財政赤字がすべての問題を解決するとは思わないが、日本のようなゼロ金利では当面ラーナーの機能的財政論が正しい。問題はその長期的影響である。

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