暗号資産が暴落している。図のようにビットコインはこの半年で50%以上さがり、「ステーブルコイン」と称するテラUSDは95%以上さがって、ほぼ無価値になった。この原因は単純で、今まで金余りで暗号資産に流れていた余剰資金が、金利上昇で撤退したからだ。

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WSJより

クルーグマンは、こういう投機が投機を呼ぶバブルは歴史上何度もくり返されたものと同じで、時価総額3兆ドルといわれる暗号資産は、サブプライムローンの崩壊がアメリカの不動産バブル崩壊のきっかけになったのと同じ役割を果たすかもしれないと警告している。

特に問題なのはステーブルコインである。暗号資産はドルとの為替レートの変動が激しすぎるので決済手段としては使えないが、為替レートを固定すれば安定する。これがFacebookがリブラで実現しようとしたものだが、連邦政府に阻止された。

他にもテザーやUSDコインなどのステーブルコインがあるが、ドルとペッグしたプリペイドカードのようなもので、暗号資産の意味がない。注目されたのは、そういう担保なしでレートを固定する数学的アルゴリズムを開発したと称して急成長したテラUSDのような無担保型である。

このしくみは複雑だが、ステーブルコインはほとんどの人がドルと換金しないことを前提にした人為的バブルで、すべての保有者が一挙に換金する取り付けが起こると崩壊してしまうのだ。そういう意味では日銀券もバブルだが、そこには決定的な違いがある。

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