金融化の世界史 ――大衆消費社会からGAFAの時代へ (ちくま新書)
FRBが0.5%の利上げを決めたが、マーケットは織り込みずみで、ドル円は落ち着いている。しかし日銀の金融抑圧が変わらない限り、日米の金利差は拡大する。その長期的な水準が何によって決まるかはむずかしい問題だが、日本の貯蓄過剰が続く限り、自然利子率もゼロに近いので、海外の金利が上がると円安になる傾向は止まらないだろう。

このように金融が世界経済の均衡水準を決める変化は、それほど新しいものではない。本書も指摘するように、経済の金融化は18世紀に大英帝国が始めたものだ。実物資源は植民地に置き、資本家は海外投資で大きなリスクを負担する代わりに金利を得る。その意味では、資本主義は生まれたときから金融資本主義だった。

それがITで加速したのが、1990年代以降のグローバル化である。金融技術の発達でリスクと資産が分離されると、国際資本移動で実質金利が均等化する。ゼロ金利とインフレで実質金利を抑える日銀の一国ケインズ主義は、海外の金利が上がると大幅な円安をもたらすのだ。

これは輸入インフレで大多数の国民を窮乏化するが、対内直接投資のコストを低下させる。東京を「国際金融センター」にするという小池知事の構想は、今は夢物語だが、1ドル=150円ぐらいになれば不可能ではない。それには法人税の引き下げが必要だ。

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