いま円安が起こっている原因は、ある意味では単純である。2年前のブログでも書いたように、日本が慢性的に貯蓄過剰(内需不足)で、経常収支の黒字(外需)がないと需要不足が埋められないからだ。この貯蓄超過は1ドル=130円では埋まらない。むしろ資源インフレで経常収支は赤字になったので、さらに円安は進むだろう。

では1ドル=150円になったら、アジアに逃げた生産拠点は日本に帰ってくるだろうか。残念ながら、そうは行かない。150円になったら人件費(単位労働コスト)は中国より安くなるが、問題は人件費ではなく、アジアの市場が成長しているからだ。人口の減る日本に投資するより、アジアで生産してアジアで売るほうが効率的である。

もう一つの原因は、日本の生産性(TFP)の低下である。その原因は技術だけではない。企業が撤退するとき、普通は古い工場をつぶして新しい工場を残すが、星岳雄氏の指摘するように、日本ではその逆に新しい工場が退出して古い工場を残す負の退出効果が強まっている。

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負の退出効果(権赫旭氏の調査)

その原因は、新しい工場の最新技術をもつ要員をアジアの生産拠点に配置転換し、古い工場は雇用維持のために残すからだ。その結果、国内工場の平均稼働期間が延び、ゾンビ化が進行しているのだ。

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