馬渕睦夫が読み解く2022年世界の真実 静かなる第三次世界大戦が始まった
いまだに私のところに毎日、陰謀論者から気持ちの悪いツイートが来る。彼らの共通点は、Qアノン(トランプ陰謀論)と反ワクチン反ウクライナが出てくることだ。この3つの出来事は独立なのに、なぜいつもワンセットなのかと不思議に思っていたが、本書を読んでその謎が解けた。

この3つだけでなく、冷戦の終了後に起こった世界の悪い出来事の原因は、一つしかないのだ——ディープステート(DS)である。その正体は不明だが、本書によると国際共産主義運動とユダヤ金融資本とグローバル企業の連合体らしく、BLMもワシントン議事堂乱入事件も新型コロナもDSの陰謀である。

コロナは武漢の研究所で製造された人工ウイルスで、これはDSの中心である中国共産党が、米国共産革命を起こすためにつくった生物兵器である。それをしくんだのはDSのエージェント、米CDCのファウチとWHO事務局長のテドロスである。

彼らの目的は、DSの中枢であるファイザーなどのグローバル企業のつくるワクチンでもうけることで、そのねらい通りコロナは世界に広がり、ワクチンで製薬資本は大もうけした…という荒唐無稽な話が続くが、根拠は何も書いてない。DSは無定義語なので、あらゆる人物がDSのエージェントになる。

陰謀論の魅力は、世界の複雑な出来事を一つの原因で単純明快に説明できることだが、それで納得するのは知能の低い読者だけである。本書のようなB級出版社の本ではユダヤ陰謀論は珍しくもないが、著者はウクライナ大使をつとめた元外交官である。普通の外交官は過剰に慎重にものをいうが、そのOBがこんな妄想を断定的に語るのはどういうわけだろうか。

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