ウクライナ戦争の影響で資源価格が大幅に上がってきたが、消費者物価は上がらない。企業物価指数(PPI)上昇率は9.5%という1980年以来の水準になったが、消費者物価指数(CPI)は0.9%。3月分の速報ベースでは1.3%とやや上がってきたが、依然として大きな差がある。

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このギャップの一つの原因が、企業間取引と最終財の違いだ。PPI上昇の最大の原因は原油やLNGなどの値上がりだが、これは企業間取引なので製品価格に転嫁しにくい。その結果、輸入インフレで所得の海外流出が起こり、GDPデフレーターが下がった。

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GDPデフレーター(日本経済新聞)

デフレーターはあまりなじみのない指標だが、名目GDP/実質GDPで、物価指数の一種である。普通はCPIと連動して上下するので、大して注目されないが、最近の特徴は、CPIが上がっているのにGDPデフレーターが下がっていることだ。

その原因は資源価格の上昇による交易条件の悪化である。次の図のように交易条件(輸出物価/輸入物価)は、2020年から原油価格の上昇で悪化し、2021年から脱炭素化でさらに悪化した。このため経常収支が赤字になり、円安になってさらに交易条件が悪化した。

交易条件
交易条件と実質実効為替レート

一次産品の価格は上がるが、輸出価格は下がるので賃金は上がらず、デフレーターは下がる。これは所得が日本から資源輸出国に移転され、日本人が貧しくなったことを意味するが、ほとんどの人は気づかない。それが何となく「デフレ」と感じる原因だろう。

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