ウクライナ問題でロシアを応援する橋下徹氏や鈴木宗男氏の発言で、日本維新の会が批判を浴びているが、経済政策もトンチンカンだ。

この日銀法改正案は第1条を「日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、名目成長率の持続的な上昇及び雇用の最大化を図るため通貨及び金融の調節を行うことを目的とする」とするものだ(強調が改正部分)。

まずわからないのは、金融政策でどうやって「名目成長率の持続的な上昇」が実現できるのかということだ。たとえば大和証券のウェブサイトの自然失業率という項目には、こう書いてある。

物価水準が安定し、実質賃金による労働市場の需給が調整された長期均衡状態における失業率。完全雇用が達成された状態での失業率に近いとされています。米経済学者のフリードマンは、財政金融政策によって自然失業率よりも失業率を低下させることはできないとしています。

これがマクロ経済学の常識である。金融政策でインフレにすれば景気がよくなるという話は、今は亡きリフレ派が提唱し、日銀に雇用の最大化を義務づける日銀法改正案もみんなの党が出したことがある。安倍政権と黒田日銀はリフレを実験し、完膚なきまでに失敗した。

4月にはインフレ率が2%を超えることは確実だが、喜んでいる人は誰もいない。500兆円を超える保有国債が、金利上昇で暴落する「時限爆弾」になったからだ。そんな時期に墓場からリフレ政策をよみがえらせようとする維新には、経済学の知識も政策のセンスもない。

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