非核三原則の第3原則(持ち込ませず)について、きのう国会で岸田首相は「核の一時的寄港を認めないと日本の安全が守れない事態が発生すれば、その時の政権が命運を懸けて決断し国民に説明する」という民主党政権の岡田外相の答弁を踏襲すると答えた。

これは沖縄返還の密約で佐藤首相がニクソン大統領に約束した有事の核持ち込みの密約であり、そこにはこう書かれている。
米国政府は、極めて重大な緊急事態が生じた際、日本政府との事前協議を経て、核兵器の沖縄への再持ち込みと、沖縄を通過させる権利を必要とするであろう。米国政府は、その場合に好意的な回答を期待する。

これはアメリカが沖縄に核を配備する権利を(事前協議を条件に)認めるもので、NATOの二重の鍵とほとんど変わらない。NATOの場合も、ドイツに配備された核兵器の指揮権はアメリカにある。これを「核共有」と呼ぶなら、日米も(有事には)核を共有できる。

違うのは運用である。NATOの核兵器は地上戦用の戦術核なので、実戦でそれを使うのはドイツ軍であり、拒否権もドイツがもつ。だが日本は、有事に際して持ち込まれる核兵器の実戦使用にはまったく関与できない。領海から米軍の核ミサイルが発射されることを拒否できないのだ。

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