人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか (ブルーバックス)
2年前に紹介した本が話題になっているので、ちょっとテクニカルな問題について補足しておく。

本書は福井県の湖の地層から過去15万年の気候を推定したもので、地球は長期的には地球の公転運動で寒冷化し、氷河期だったが、1.2万年前から温暖化が始まった。世の中では地球温暖化は「産業革命以後」の出来事と思われているが、図1のように温暖化のトレンドはそれよりはるかに早くから始まり、1万年以上続いているのだ。

suigetu
図1

1.2万年前に温暖化が始まった原因は太陽活動や地球の公転周期の変化と考えられるが、8000年前から、それまでにないパターンの温暖化が始まった。その一つの原因は、大気中の温室効果ガス濃度が増えたことだ。図2のようにメタン濃度は5000年前から増え始めた。

スクリーンショット 2022-02-06 130314
図2

CO2は図3のように、8000年前から増え始めた。

スクリーンショット 2022-02-06 125650
図3

この温室効果ガスのデータはおおむね正しいとされているが、問題はその濃度がなぜトレンドから外れて上がったかだ。その原因は、人類の始めた農耕と森林伐採だったというのが、本書の紹介しているラディマン仮説である。

続きは2月7日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)