人はなぜ戦うのか - 考古学からみた戦争 (中公文庫)
日本人は、極端にリスク回避的で争いをきらう。これは統計データでも客観的に示されているが、それはなぜだろうか。いちばん簡単な説明は、島国で平和が長く続いたからだということだが、これは最近の人類学の知見と一致しない。

ホモ・サピエンスは石器時代から戦争を続けており、その遺伝子には戦いに生き残る闘争本能が組み込まれているというのが最近の人類学や考古学の通説だが、日本人はその例外である。縄文時代と呼ばれる1万5000年前~3000年前の遺跡には、ほとんど戦争の痕跡が見当たらないのだ。

これはグレーバーも「西洋中心の発展段階論に対する反証」として注目している。狩猟採集=移動社会から農耕=定住社会へという順序で文明が発展するという通説に反して、三内丸山遺跡などの縄文時代の遺跡は、農耕なき定住社会の存在を証明しているからだ。世界的にみてもこういう民族は、縄文人以外には北米西岸の先住民族しかいない。

もう一つの特徴は、縄文時代が戦争のない時代だったことだ。戦争に関する遺跡の9割は農耕社会のもので、中国では紀元前6000年ごろから農耕と戦争がワンセットで始まっていたが、縄文時代の遺跡からは武器も損傷した人骨も出てこない。青銅の短剣などが発掘されるのは弥生時代(紀元前600年~)の遺跡で、中国より5000年ぐらい遅い。日本人は太古から平和主義だったのだが、それはなぜだろうか。

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