いま世界的に起こっているインフレをどう理解するかは重要な問題である。これを一時的なサプライチェーンの混乱とみるには、インフレは世界的に広がっており、その率も40年ぶりと大きい。

その一つの明らかな原因は資源価格の上昇だが、これは一時的なものではなく、欧州を中心に始まった脱炭素化による化石燃料への投資が減ったことによるグリーンフレーションと考えられる。

もう一つの要因としてEconomist誌が指摘しているのは、コロナ対策の莫大な財政支出による政府債務の膨張である。FTPLによれば、

 物価水準=名目政府債務/財政黒字の現在価値

ここで右辺の分母は株式の時価総額のような主観的な予想だから、財政赤字が大きくなると小さくなる。ゼロ金利の国債という広義のマネーが増えたために、分子の名目政府債務が増えると同時に分母の財政黒字が縮小し、左辺の物価が上がる財政インフレが起こるのだ。

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