士(サムライ)の思想: 日本型組織と個人の自立 (ちくま学芸文庫)
アゴラでも書いたように、日本経済を制約する最強の「岩盤」は雇用規制である。1990年代以降、政府はいろいろな規制改革をしてきたが、判例として確立した解雇権濫用法理に手をつけないどころか、労働契約法で立法化してしまった。

ヨーロッパでも雇用規制は問題になり、OECDも「労働者の過剰保護が構造的失業の原因だ」として緩和を求めてきた。ドイツのシュレーダー改革でも、2010年代のイタリアの労働市場改革でも、解雇規制を緩和したが、日本だけは、雇用を聖域にしてきた。

この原因は複雑だが、会社を「乗り物」と考えるヨーロッパとは違い、日本人は会社を「家」と考える潜在意識があるからだろう。制度をあまり宿命的に考えるのはよくないが、そういう組織原則は少なくとも鎌倉時代から受け継がれてきた。

その一例が婿養子である。親族以外から婿を迎えるのは世界的には珍しく、中国では「異姓不養」として異なる宗族から養子を迎えることは禁止されている。これは日本的な能力主義だ、というのが著者の見立てである。名君として知られる徳川吉宗も上杉鷹山も婿養子だった。

続きは10月11日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)