エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層 (ベスト新書)
自民党総裁選挙では「女系天皇」を認めるかどうかが争点になっています。天皇家の正統性が血統にあると思われているからでしょうが、日本の伝統の中では血縁はそれほど重要ではありません。「家」は血縁集団ではなく機能集団だからです。

平安時代に実権をもっていたのは男系男子の天皇ではなく、まったく血縁関係のない藤原氏でした。鎌倉時代に軍団としての「家」が生まれ、それが武士だけでなく農民社会のコアになりました。江戸時代の幕藩体制は、大名家の連合政権でした。

このような構造は明治維新で大きく変わったようにみえますが、明治憲法の天皇と政権の関係は江戸時代とそれほど変わらなかった。明治政府は長州藩の「家」を拡大したもので、近代の総力戦には不向きでした。

戦後は明治民法の「家」制度は廃止されましたが、夫婦同姓を事実上強制する規定が残りました。これをいまだに守ろうとする政治家がいますが、そんな話は時代錯誤です。「家」は企業系列や長期雇用という形で、日本社会に残っています。「家」は人々の心に深く根づき、私の行動に影響しているのです。

続きはアゴラ