河野太郎氏が自民党総裁選に出馬する意向を固めた。彼が本命だと思うが、そのエネルギー政策には問題が多い。彼の暴走の背景には、再エネ開発の挫折がある。すでに日本の平地面積あたり再エネ発電量は世界一。土地集約的な再エネが平地の少ない日本で行き詰まるのは、農業と同じだ。

これを打開するために河野氏は、内閣府の再エネタスクフォースを使って「規制改革」を要求しているが、これは逆である。再エネで後発の日本が世界最大の「再エネ大国」になったのは、民主党政権が2011年に火事場泥棒的に再エネに巨額の利益を保証する固定価格買取制度(FIT)を導入し、再エネを規制免除したからだ。

おかげで各地で乱開発が起こり、環境破壊や災害を心配する地元住民の反対運動が起こって開発が止まっている。奈良県平群町のメガソーラーでは森林破壊に地元住民が反対し、奈良県知事が工事停止を命令した。

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平群町で止まったメガソーラーの工事(Yahoo!Japanより)

こういう問題が起こるのは、民主党政権がメガソーラーを建築基準法の適用除外にし、環境アセスメントも免除したからだ。特に建築確認が必要ないため、平群町のように48ヘクタールも山林を切り開いて約6万個の太陽光パネルを設置する工事にも、奈良県の許可が必要ないのだ。いま必要なのは、こんな無法状態の再エネの規制強化である。

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