ロンボルグもLancetの論文を紹介している。


凍死など寒さによる死亡率は、世界のどこでも熱中症などの暑さによる死亡率よりはるかに高い。世界でもっとも寒さによる死亡率が高いのはサブサハラのアフリカであり、インドでさえ寒さによる死者は暑さによる死者の7倍である。地球温暖化は、多くの命を救うのだ。

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長期でも3℃上昇までなら死者は純減

これは2100年までにどうなるだろうか。Lancet論文と同じ国際チームがそれを予測した2017年の論文は、2010年と比較して2099年までの超過死亡の変化を予測している。

次の図のRCP2.6はIPCCのシナリオのベストケースで、パリ協定の2℃目標に近い。RCP4.5が標準的な予想で、2100年に(産業革命前から)3℃上昇する。RCP8.5は何も対策をとらないで4℃上昇するケースである。
  • 北欧、東欧、東アジア、オーストラリアなどの温帯地域では、寒さに関連する超過死亡率が大幅に減少するため、正味の影響がゼロまたはわずかにマイナスになる。
  • オーストラリアでは-1.2%、東アジアの-0.1%と超過死亡率は減少するが、トレンドは世紀の間に逆転する。
  • アメリカや南ヨーロッパ、東南アジアでは、暑さの影響が急激に増加し、中央アメリカでは3.0%、東南アジアでは12.7%超過死亡率が増える。

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地域差が大きく、日本を含む東アジアでは、最悪のRCP8.5でも超過死亡率は純減するが、東南アジアでは大幅に増える。しかし標準的なRCP4.5では、ほとんどの地域で純減になり、世界全体としてはほぼプラスマイナスゼロである。

これは暑さや寒さだけの影響をみており、災害の死者は計算に入れていないが、ロンボルグの論文によると、次の図のように災害の被害は1/50近くに減っている。

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今世紀中に3℃上昇までなら、災害の被害を入れても死者は純減になる可能性が高い。CO2排出削減は、それ以上に上がることを防ぐ程度の意味はあるが、RCP8.5はIPCCも確率が低いと予測している。2050年に排出量ゼロにする意味は、科学的にはまったくないのだ。