歴史なき時代に 私たちが失ったもの 取り戻すもの (朝日新書)
4度目の緊急事態宣言が出ることになったが、これは奇妙な言葉である。ヨーロッパでは、よくも悪くもロックダウンという戦時体制がとられ、罰則で政府の命令に従わせる態勢がとられたが、日本では自粛要請という曖昧な方針がとられた。当初は罰則もなかったが、それは法の支配を超え、われわれの日常を支配するようになった。

與那覇さんとは『「日本史」の終わり』という対談本を出したことがあるが、そのときから彼のテーマは同じである。天皇に象徴される日本の意思決定の二重構造は「江戸時代」的な長い平和の中でできた独自のシステムで、平時には便利だが危機管理に弱い。コロナ騒動では、その弱さが露呈した。

公式の命令系統がはっきりしないため、専門家会議など法的根拠のない「令外の官」が実質的な意思決定を行ない、何の権限もない感染症学者が「8割削減」という方針を安倍首相に吹き込んで緊急事態宣言を発令させ、世論は強硬な方針一色になった。

このような事態は、今に始まったことではない。1930年代にも大政翼賛会という正体不明の組織で戦時体制が進められ、青年将校がクーデタを起こし、勝ち目のない日米戦争に国民はこぞって賛成した。このような病理は、少なくとも江戸時代にさかのぼる。

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