EVと自動運転 クルマをどう変えるか (岩波新書)
アゴラシンポジウムでも話題になったように、日本の製造業の最後の砦になっている自動車がEV(電池駆動車)になるかどうかは、製造業のみならず日本経済の今後を左右する問題である。

重要なのはガソリン車と電気自動車の違いではなく、ハイブリッド車(HV)とEVの違いだ。HVは基本的にはエンジンだが、EVはモーターである。今や中国は毎年2500万台以上を販売する世界最大のEV大国だが、すべての自動車がEVになるだろうか。

それを予想する上で、本書のあげているブラウン管と液晶のケースは示唆的である。かつて日本のテレビは世界を圧倒する競争力を誇っていたが、ブラウン管から液晶に転換した1990年代に覇権を失い、今はテレビの90%以上が輸入品になってしまった。

その原因は技術ではない。初期には液晶の技術で日本の電機メーカーが世界をリードしていたが、それはブラウン管より劣る技術だった。カラー液晶のコントラストは悪く、解像度も低く、応答速度が遅かった。価格もブラウン管のほうが安く、液晶テレビの価格は1インチ1万円以下には下がらないといわれていた。

しかし液晶の価格は2002年ごろ1万円/インチを切り、今では1000円以下である。テレビはすべて液晶になり、日本の電機メーカーは敗れた。その最大の原因は日本の技術が劣っていたためではなく、技術力が高すぎるためだった。

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