週刊文春によると、NTT持株の澤田純社長が谷脇康彦総務審議官をたびたび接待していたようだ。先日辞職した山田真貴子前内閣広報官も接待の対象で、NTTの鵜浦博夫前社長も同席していた。会食の事実はNTTも認め、総務省も事実関係を否定していない。

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金額は3回で58万円と、贈収賄に問われるような額ではないが、注目されるのはそのタイミングである。文春によれば2018年9月4日に谷脇氏と鵜浦氏ら3人で会食し、20日には澤田氏ら3人で会食したという。これは社長が澤田氏から鵜浦氏に交代した直後で、菅官房長官(当時)が「携帯電話の料金4割値下げ」をぶち上げた時期である。

総務省は菅氏の「天領」ともいわれ、その腹心が谷脇氏だった。彼は若いころから将来の事務次官と目されたエリートで、一貫して通信行政の本流を歩んできた。彼とNTTの新旧社長が何を語ったかは知るよしもないが、この時期に総務省とNTTがこれほど密接な関係にあったことは重要な事実を示している。

それはNTTが菅氏の携帯料金引き下げ戦略の尖兵を引き受けたということだ。これが2020年のドコモ完全子会社化と、2021年から始まるドコモの激安サービスahamoに結びつき、通信業界に激変をもたらした。その司令塔が谷脇氏である。

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