緊急事態宣言についての国立感染症研究所のプレプリントが投稿された。なぜ2回目の宣言が終わる前に出したのかよくわからないが、よほどあわてたとみえて、明らかなタイプミスが散見される。肝心の統計的な分析にも、疑問が多い。この論文の主要な結論は、次のようなものだ。
1回目と2回目の緊急状態宣言が感染を減らした効果は、統計的に有意だったが、GoToキャンペーンの影響は有意ではなかった。これは気候や移動の影響をコントロールした推定である。気温の影響は統計的に有意だが、湿度の影響を除くと有意ではなかった。
次の図の黒い線が実効再生産数R(t)で、緑の線が気温、オレンジの線が湿度、点が移動性である。これをみるとまずR(t)が昨年3月末にピークアウトし、ほぼ同時に移動が減り、5月中旬に最小になった。GoToトラベルの始まった7月下旬から逆にR(t)は下がり、8~9月には1を下回った。

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7月以降はR(t)に最大の影響を与えたのは気温で、ほぼ一貫して逆相関になっている。移動は9月から増えたが、R(t)が上がり始めたのは11月以降である。

こうした要因をコントロールして、緊急事態宣言などの人為的介入の効果を推定した値が次の図の赤線である。4月以降は一定の相関があるが、因果関係については何もいえない。R(t)がピークアウトした3月末以降に介入が始まったので、この時期には何もしなくてもR(t)は下がったはずだ。今年1月もR(t)が下がってから介入の影響が出ている。

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