なぜ世界は不況に陥ったのか
池尾さんが死去した。他人事とは思えない。私と同じ年で、生まれも育ちも同じ京都。私がNHKにいたころ番組でお世話になってから、ずっと付き合いが続き、一緒に本も書いた。アゴラにも何度も原稿を書いてもらった。

不良債権問題のときは、彼は早期処理を主張する「過激派」だったが、政治は自民党政権、非自民連立政権、自社さ連立政権と混迷を続け、そんなリスクを取れる状況ではなかった。処理を先送りしているうちに、1997年末からハードランディングが始まった。

それがデフレの時代の始まりだった。初期には日銀が流動性を供給すれば解決するという楽観論もあったが、池尾さんは一貫してゼロ金利では金融政策はきかないという正統派の立場だった。それは不幸にして正しく、今も日本の金融政策はきかないまま、財政ファイナンスに移行している。

池尾さんは狭い意味での金融政策にできることはないと見切りをつけ、経済システム改革に関心を移した。明治以来続いてきた政府中心の「開発主義」システムを成熟した市場経済に変えることが彼の目標だったが、いま時代はそれとは逆方向に回転している。

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