総務省の4人の幹部が東北新社の菅正剛部長の接待を受けていた問題は、単なる首相の長男の会食問題ではない。東北新社メディアサービスの木田由紀夫社長と総務省情報流通行政局の秋本芳徳局長の会話は、週刊文春の明らかにした音声ファイルによると次のようになっている。

菅「今回の衛星の移動も……」
木田「どれが?」
菅「BS、BS。BSの。スター(チャンネル)がスロット(を)返して」
木田「あぁ、新規の話? それ言ったってしょうがないよ。通っちゃってるもん」
菅「うちがスロットを……」
木田「俺たちが悪いんじゃなくて小林(史明衆院議員)が悪いんだよ」
秋本「いやぁ、でも(小林氏は)どっかで一敗地に塗れないと、全然勘違いのままいっちゃいますよねぇ」

これだけでは文脈がわからないが、この会食が行われた昨年12月10日は、衛星放送のチャンネル割り当てが吉本興業など3社に決まり、昨年11月に放送のスロット(中継器の割り当て)が変更された直後である。スロットを減らされた東北新社が秋本局長に文句を言ったのに対して、彼が小林議員を「勘違い」としている点が注目される。彼が総務政務官だったとき、BSに新規参入を認めたことが不満らしい。

この発言が国会で追及され、秋本氏は「能力不足の私からすると、(小林氏は)仰ぎ見る存在で常に成果を上げ続けている。失敗したことがある者のことも身を寄せていただくとありがたいな、という気持ちは持っていた」と発言を認めた。

こんな行政と業者のベッタリの関係は、今どき珍しい。ここでは電波官僚と業者の意見が一致していて、彼らの共通の敵は小林氏のような改革派の政治家である。そしてこの会話では、小林氏を「一敗地に塗れ」させる相談が行われている。

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