反省記―― ビル・ゲイツとともに成功をつかんだ僕が、ビジネスの“地獄”で学んだこと
西和彦さんとは10年ぐらい付き合いがあり、いいところも悪いところも知っているが、ひとことでいうと「パッション」の人である。これはいい意味では「情熱的」で、一つのことに熱中して大事業をなしとげるが、悪い意味では「感情的」で、カッとなると前後を考えないで暴走する。

本書の最初に書かれているマイクロソフト初期のエピソードは有名である。IBMがOSを買いに来たとき、マイクロソフトにはOSがなかったので、ビル・ゲイツは断ろうとしたが、西さんは近所のメーカーからOSを買ってきて改造することを提案した。これがMS-DOSの誕生である。

本書には書いてないが、このときマイクロソフトがわずか2万5000ドルで買ったOSはディジタルリサーチのCP/Mの模造品で、今なら著作権法違反だった。マイクロソフトは大急ぎでそれを改造し、自社開発のOSとしてIBMにライセンスした。これがコンピュータの歴史を変えた決断だった。

このときマイクロソフトがMS-DOSをIBMに売却していたら、それはIBMのOSになったが、ビル・ゲイツはその著作権をもち、IBM以外のメーカーにもライセンスした。他のメーカーが同じようなマシンをつくってもIBMと競争できるはずがない、とIBMは考えたが、これがIBMを倒産の瀬戸際まで追い詰める大失敗となった。

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