このごろ日経新聞やNHKなどで取り上げている東大経済学部の仲田泰祐氏と経済産業研究所の藤井大輔氏の緊急事態宣言の経済損失シミュレーションには疑問が多い。最大の疑問は、この図のように感染の人的被害をコロナの累計死亡者数で考え、今後1年で1万人~2万5000人と予想していることだ。

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今後1年の感染被害と経済損失(経済産業研究所)

緊急事態宣言による自粛や休業要請はコロナだけではなく、すべての感染症を抑制するのだから、人的被害はコロナとその他の感染症を合計したすべての感染症の超過死亡数でみなければならない。昨年の死亡数は平年の予想より3万人ぐらい少なく、超過死亡の閾値と比べると4万人以上少なかった。これはコロナの死者の6~8倍である。

上の図で感染症対策が最小で経済損失がGDPの1.5%のとき、コロナの累計死亡者数が2万5000人出るとしても、他の感染症の死者はそれ以上減るので、超過死亡はマイナスになる。つまり緊急事態宣言で大きな経済損失が発生するが、そのメリットはほとんどないのだ

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