無形資産が経済を支配する―資本のない資本主義の正体
資本蓄積が成熟すると成長率は下がるが、中央銀行が金利を下げると、投資が増えて景気は回復するというのが、伝統的な資本主義のルールだった。ところが金利は下がり続け、ゼロになったのに投資は増えない――これが2000年代に日本で起こり、2010年代に先進国で起こった長期停滞である。

これを説明する理論はいろいろあるが、有力なのは有形資産が無形資産にシフトしたという説明だろう。コンピュータの性能は1990年代から100万倍になり、資本コストは大幅に下がった。本書は、欧米では2010年代に無形投資が有形投資を逆転したと推定している。

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ソフトウェアや個人情報やブランドなどの無形資産への投資の多くは経費として扱われるので、企業のバランスシートに残らない。国民所得勘定に出ないのでGDPも増えない。その特徴は次の「4S」である。
  • スケーラビリティ:投資を拡大すると単価が下がるので収穫逓増が起こる。
  • サンクコスト:人的資本への投資が多いので、回収や取引がむずかしい。
  • スピルオーバー:コピーしやすいので外部性が大きい。
  • シナジー:補完的な情報を組み合わせると規模の経済が大きい。
これは知的財産権を無形資産と言い換えたもので、それほど独創的な洞察とはいえない。これまでにも経済学で指摘されたように、無形資産は外部性が大きく収益が見えにくいので、過少投資が起こりやすい。このため無形資産を可視化し、その価値を正しく評価することがビジネスとって重要である。

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