新しい中世 相互依存の世界システム (講談社学術文庫)
プラットフォームをめぐる最近の動きは、資本主義と国家の関係という古い問題に新しい光を当てている。多くの人が誤解しているように、資本主義は近代国家によって生まれたものではない。ウォーラーステインが指摘したように、資本主義は「長い16世紀」からのヨーロッパの植民地支配で近代世界システムとして生まれたものだ。

本書はそれが冷戦とともに終わり、「新しい中世」に回帰しているというが、今はむしろ中世末期にヨーロッパの封建社会が崩壊した時代に似ている。中世にはヨーロッパが精神的にはキリスト教で統合される一方、政治的には領邦が分立していた。このころまで日本とヨーロッパは(キリスト教を除いて)よく似ていた。

しかし12世紀ごろから領邦を超える商取引や遠距離貿易が盛んになり、領主の支配を逃れてヨーロッパ全域を商圏とする商人が増えた。彼らは個人の契約による株式会社を組織し、株式でリスクを分散して全ヨーロッパ的に活動したが、領邦はローカルな統治機構を維持し、カトリックは教会による精神的支配を維持しようとした。

それに対して教会を超える「聖書による救済」を主張し、全ヨーロッパ的な普遍主義を掲げたのがプロテスタントだった。その組織が株式会社のモデルになり、個人が地域を超えてヨーロッパを移動するようになった。これと伝統的な地域支配を維持しようとした領主とカトリック教会が戦ったのが宗教戦争だった。

中世末期に起こった領邦を超える商人の活動とパラレルな現象が、いま起こっている主権国家を超えるGAFAMなどのグローバル化である。それが宗教戦争のような内乱をまねくことは考えにくいが、アメリカの現状をみているとその可能性はゼロではないようだ。

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