日本の医療の不都合な真実 コロナ禍で見えた「世界最高レベルの医療」の裏側 (幻冬舎新書)
コロナで「医療が崩壊する」と騒がれているが、アゴラで著者も指摘するように、日本の人口当たり病床数は世界一、CTやMRIの数も突出して世界一である。おまけに死亡率はヨーロッパの1/50なのに、医療が崩壊するとすれば、問題は医療資源の配分にあるとしか考えられない。これは医療問題というより経済問題である。

こう書くと「命を経済で考えるな」などという批判が来るが、人間の死亡率は100%なので、必ず何かの原因で死ぬ。90歳で老衰で死ぬはずだった人が85歳でコロナで死ぬとすれば、それは5年という時間を失っただけだ。経済を破壊して現役世代が自殺すると、失われる時間はそれよりはるかに多い。

資源配分を最適化するときは、どこにボトルネックがあるかを考える。ベッドが余っているのに医療現場が逼迫するのは、それを使う医師の数が少ないことが一つの原因だろう。日本の人口あたり医師数はOECDで下から6番目だ。しかし看護師は先進国でも多いほうで、人手が絶対的に足りないわけではない。ほとんどの病院はガラガラだ。

それなのにボトルネックが発生するのは、人的資源を機動的に配分するシステムが整備されていないからだ。その一つの原因は、日本の病院や診療所の7割が民営で、公的な命令で配分を変更できないことにある。感染症指定医療機関でも、ベッドをどう使うかについて厚労省は「お願い」しかできないのだ。

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